第1366話 見られてる。上級生と違う下級生〈金箱〉回。
「あ、〈金箱〉出たよ~」
「やったー!」
「! 攻略者の証です! 嬉しいですー」
そう言ってアリス、キキョウ、アルテが集まる。
「これが、下級生のボス攻略の反応なのか……」
「ゼフィルス君との差が凄い。こっちは癒やされるね~」
純粋!
〈金箱〉を囲むアリスたちの姿が純粋すぎて心の中の何かが溶けそうである。
フラーミナよ、なぜ俺を見る?
まあ同意しかないけどな! この光景は大事にしたい。
下級生メンバーとパーティを組むときはもう少し気をつけようと思う。
「あ、倒されたんですのね!」
「おめでとうございます。アリスさん、キキョウさん、アルテさん」
「3人ともおめでとうですの~」
そこへ、入り口から残りのメンバーズがやってくる。
全員集結。
1年生で初の上級ダンジョン攻略者、アリスとキキョウとアルテをそれぞれお祝いの言葉で囲ったのだ。
新メンバー、良い雰囲気だな~。
なぜロゼッタは俺を見ているのだろう? フラーミナといい、言いたいことがあれば言ってもいいんだよ?
俺たちも3人を祝う。
「えへへ~、お兄ちゃんたちが居てくれたおかげだよ~」
「はい。咆哮、あまり怖くは無かったですから」
「キキョウちゃん凄かったんですよ。もう〈クジャ〉の攻撃を封じて封じて、アレをハメと言うんですかね」
まあ、キキョウの【嫉妬】は最適な使い方をすると、マジ相手に何もさせずに勝つことすら可能な
「では、そろそろお楽しみの〈金箱〉タイムと移るか!」
「はい! 私開けてみた~い!」
「こんなに主張するアリスは珍しいです!」
「私は良いですよ。アリスちゃん、開けてみます?」
「うん!」
ということで〈金箱〉を開けるのはアリスに決定!
え? 俺たちはいいのかって?
もちろん構わん。俺は上級生なのだ!
せっかく下級生たちが初の上級ダンジョンを攻略したんだ。宝箱だって開けさせてあげたい!
「アリス、〈幸猫様〉と〈仔猫様〉へのお祈りも忘れないようにな!」
「うん! 〈幸猫様〉〈仔猫様〉、どうかアリスたちにとても良いものくださいな!」
うむうむ。良いお祈りだ。「くださいな」がポイント。
幼女にこんなこと言われたら、俺なら一番良いものをあげてしまうだろう。
「あ、あの純粋なアリスちゃんが……! ゼフィルス君の影響受け始めてるよ!? 後で
フラーミナが後ろであわあわしていたが、気のせいということにした。
いざ、アリスが〈金箱〉を開ける。
「これは~レシピみたい?」
「「「「おお!」」」」
アリスが取り出したのはレシピだった。すぐに『レシピ解読LV8』を持つ〈解どクン〉を使い、鑑定。
ミミズがのたくったような文字が、全て日本語へと変化する。
〈金箱〉産のレシピである。みんなの期待が集まったのを感じた。
「お兄ちゃん、〈レビテーションブロウ〉と書いてるよ~。知ってる?」
「おお! 〈レビテーションブロウ〉か! もちろん知ってるぞ。フラーミナが持っている〈レビテーションスノー〉の姉妹武器だ!」
「あ! これの姉妹武器!?」
みんながフラーミナに注目する。正確にはフラーミナが左手に装備している片手杖、〈レビテーションスノー〉だ。
効果は『レビテーションLV7』と『浮遊移動LV10』。『レビテーション』で浮遊し、『浮遊移動』で空中を移動することのできる杖だな。
テイマーなどは主が狙われるため、空中に逃げたりするための装備だ。
おかげでフラーミナの安全にかなり役立っている。
「この〈レビテーションブロウ〉も片手杖でな。スキルは『追い風移動』と『防風』の2つだ。防御スキルで身を守りながら空中で移動することができる杖だな」
「すごい!」
「おう、結構凄い装備なんだ。ただこれ自体に浮遊能力はないから完全に〈レビテーションスノー〉と合わせて二杖使いとして運用することが前提になっているんだけどな。まあ無い場合は普通に地上で使う移動速度上昇スキル『追い風』と、風による防御スキル『防風』で攻撃から身を守れるから、それだけでも悪くはない」
ただ2つ揃ったらやべぇ運用ができるよってことだな。
「なぜゼフィルス様はこれを知って?」
「クラリスさん。それは言わないお約束なんですよ」
「え?」
この武器が如何に優秀か説明しつつ、俺はこのレシピの活用法を考えていた。
おかげでクラリスとロゼッタの会話は聞こえなかったよ。
う~む。〈レビテーションブロウ〉はレシピでゲット出来たが、〈レビテーションスノー〉は装備ドロップだった。
なので姉妹両方とも量産はできない。まあ、量産できたとしてもちょっと強すぎて売るにしても躊躇する品だな。
また、現在フラーミナは【大罪】系専用武器〈
だが、せっかく2つ手に入ったのに使わないのは勿体ない。
ちょっと使いどころを考えておこう。
おっとそれはともかくだ。
アリス、キキョウ、アルテが攻略者の証をゲットしたし、続いて1年生たちに順番に攻略者の証をゲットしてもらおう。
他の学生などが来る前にガンガン〈クジャ〉を倒そう。
時にはロゼッタが、時にはカタリナが加わり、1年生たちと一緒にボスを撃破してもらう。
やはり最初の咆哮がネックなので、テイムモンスターで動けなくなった子を連れ去ったりリカバリーできるフラーミナや、単純に盾として攻撃を防いでくれるロゼッタ。
変幻自在の結界で防御したり、そもそも隠して見えなくしてしまうカタリナは1年生たちのサポートにもぴったりだった。
こうしてトモヨを抜きにして12人、全員が攻略者の証をゲットするまでそう時間は掛からなかったのだった。
「おーっほっほっほ! わたくしに掛かればこんなものですわ!」
「相手は上級の最奥ボスだったはずなのですが……。本当にここのボスはボスだったのでしょうか?」
「ちゃんとボスだぞクラリス?」
なお、最速だったのはノーア組。
ノーアが最初の咆哮時にぶった斬ってタゲを取り、そのままどこまでカウンターをとり続けられるか、みたいなことをし始めたので俺がタイミングを口頭で指示してたら、なんかすんごい勢いで〈クジャ〉を削りまくってしまったのだ。
ロゼッタなんてタンクなのにアタッカーしてたくらいだしな。
そしてズシーンと沈む〈クジャ〉の前で高笑いするお嬢様と、風で千剣が吹き飛ばされて上手く扱えなかっただけで、それほど苦労という苦労もせずに倒してしまい困惑するクラリスの図が出来上がった。
やっぱボス戦を全部指示できるっていいわ~。
全員が攻略者の証をゲットしたら周回だ!
ここではLV25まで育成ができる。レアボスはさすがにまだ早いとしてもLV25までは上げておきたいところ。
次第に俺や上級生のサポートも無くなっていき、2日も経てば5人全員が新メンバーで〈クジャ〉が攻略できるようになっていた。
うちの新メンバーは成長が早いなぁ。しみじみ。
そうなると、次は〈霧ダン〉――はちょっと人が多すぎるから、〈山ダン〉にでも行こうか。
その次はランク4からランク6ダンジョンだ。
新メンバーの育成はまだまだやることがたくさんだ。
夏休みの日数は有限。計画的に進めていかないとな。
そうして新メンバーを集中して育成していると、いつの間にか夏休み恒例、エクストラダンジョン合宿の日になっていた。
――――――――――
後書き!
明日は掲示板。
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