第1344話 ヴァンVSクイナダ戦。分校由来の技炸裂!?
必殺技直撃。
〈エデン〉最初の退場者は、意外にも白チームのシュミネだった。
「ごめんねシュミネちゃん! 通らせてもらうんだよ!」
クイナダはさらに奥へと向かう。そこに居たのは、もちろんヴァンだ。
「! クイナダ殿でありますか!」
「ヴァン君、おとなしく退場してもらうよ」
「なんの! 自分は本拠地守りの要! そう簡単には討ち取らせないであります! 『堅力アップ』!」
「『レギオンスラッシュ』!」
バフで自分の防御力と魔防力を強化するヴァン。
そこへ突っ込んで来るクイナダがまず小手調べに〈二ツリ〉の範囲横薙ぎスキル『レギオンスラッシュ』を放った。
横薙ぎ系は受け流すことが難しく、受け止める系を使って防御するのがセオリー。
「『堅固盾』!」
ヴァンが使ったのも同じく〈二ツリ〉の防御スキルだ。
小技には小技で対応。
クイナダとヴァンは同じパーティに所属しているため、その手の内も大体分かっている。普通に仕掛けても優秀なタンクであるヴァンを抜くことは難しいだろう。
「『烈火連檄』!」
「『頑強盾』!」
クイナダの〈三ツリ〉連続斬撃、しかしヴァンも〈三ツリ〉スキルで防ぎきる。
「このままやっても自分の首は取れないでありますよ、クイナダ殿!」
ヴァンが言葉で挑発する。いつもはクイナダの姿に上がってしまうヴァンだが、戦闘では冷静沈着。これまで戦闘訓練を受けて育ってきたヴァンは戦闘中であれば切り替える
大きい女性になすすべも無くやられるようでは〈エデン〉メンバーにはなれない。
だが、焦ってもいる。
ヴァンが戦いに集中しているということは、第二拠点が危険にさらされても回復も防衛もできないということで、いつでも破壊される可能性があるということだ。
さらにヴァン自身は回復魔法を覚えないためじり貧でもある。
『堅力アップ』で硬くなっていてもクイナダもまた『
いくら硬くても回復がないタンクとアタッカーなら最終的にアタッカーが勝つ。
ヴァンができるのは時間稼ぎ。ゼフィルスたちが到着するまでの時間稼ぎである。
しかし、クイナダにはタンクを抜くスキルがあることをヴァンはもちろん知っていた。
その名は『狼仙斬・一の太刀』。
攻撃を当てて良し、防御されても相手の防御を崩し、二の太刀へ続けるクイナダの強力なタンク崩しスキルだ。そして不用意に防御スキルを発動してこれを決められてしまえば最後、続く『狼仙斬・二の太刀』で一気に形勢は決まってしまうだろう。
だが、正直に言うとヴァンにとって警戒するスキルはこれだけだ。他のスキルは全て受け止める自信があった。
故に相手を焦らせ、『狼仙斬・一の太刀』を不発にさせようというのがヴァンの狙いである。
「そうかもね! ――『
「む!」
クイナダの〈四ツリ〉スキル『大軍無双乱舞粉砕』は本来ならば集団に使うスキル。敵陣に突っ込み武器をとにかく乱舞しまくって敵集団を吹き飛ばす無双スキルだ。防御スキルだろうがカウンタースキルだろうが格が低ければぶった切って突き進み、多少の攻撃ではノックバックもしない。
故にヴァンは乱舞を全部盾で対処しなくてはいけない。
本来ならばそうだが、ヴァンのタンクは盾に頼ったものだけではないのだ。
「はぁぁぁぁ!」
「ここだ! 『ジョウキ・ハクッション』!」
「!」
ヴァンが選択したのは体勢崩しスキル『ハクッション』の上位ツリー、〈四ツリ〉の『ジョウキ・ハクッション』。
射程は1メートルほどだが杖から衝撃波を放ち、相手を受け止め、弾き、ノックバックさせる。体勢が悪い時に受けるとダウンするスキルで、受け流し系の防御スキルと相性が良い。
これをヴァンは、盾で受けたと見せかけて隠していた杖で、攻撃の振り抜かれた瞬間に向けて解き放ったのだ。だが、クイナダはノックバックはしない。しかし、ヴァンの狙いは足止めにあった。ノックバックはしなくても攻撃を受ければ多少は止まってしまう。そこへヴァンが前に出てクイナダに盾で接触を図ったのだ。
「あっ!」
「これならば止まるでありましょう。『防魔衝撃』!」
ヴァンの〈三ツリ〉スキル。盾に組み付いた、接触している相手を強制的に吹き飛ばすスキルだ。これにより、クイナダの『大軍無双乱舞粉砕』はキャンセルされ、吹き飛んでしまう。
「やるねヴァン君!」
「まだまだ、『マジックバースト』!」
吹き飛んだクイナダに向けてヴァンが放ったのは、まさかの〈三ツリ〉攻撃魔法。
ヴァンはパッシブスキル『ライトウェポンアッパー』と『レフトウェポンアッパー』により、両手系武器を片手で装備することができる。
もちろんヴァンは右手に両手杖、左手に両手盾を装備している。
タンクであっても、両手杖から放たれた攻撃はそこそこな威力。アタッカーが受ければまあまあのダメージにはなる。牽制と時間稼ぎには持ってこいの魔法だった。
これはクイナダが『サイドステップ』で避けたものの、ヴァンの脅威度を示せただろう。食らい続ければタンク相手だとしても負ける可能性があるとクイナダに印象付けられたはずだ。ヴァンはこれで戦局が優位になるだろうと思った。
しかし、クイナダを甘く見てはいけない。
この子は留学生。〈第Ⅱ分校〉の1年生でトップクラスの実力を誇っていた才女なのだ。
「はあああああ!」
ヴァンの攻撃に対し、まさに冷静さを欠いたような真っ直ぐな突撃。
ヴァンは何が来てもいいように警戒を高めて盾を構えた。
そしてクイナダが選択したスキルは――。
「『ブレイドバーン』!」
〈三ツリ〉のスキル高威力の横薙ぎ。
それを聞き、ヴァンが対抗スキルを発動する。
「『堅固盾』ぇあ!?」
それは〈二ツリ〉の防御スキル。
しかし、対抗スキルを唱えている最中にヴァンは違和感に気付いた。
クイナダのスキルが発動していないのだ。
『ブレイドバーン』はヴァンももちろん知っていた。クイナダとは同じパーティのメンバーなのだ。そのスキルは何度も見たし、防ぎ方もイメージ出来ていた。
しかし結果は不発。それもそのはずで、クイナダの『ブレイドバーン』は先程シエラとの戦いで使用し、まだクールタイムが明けていなかったのである。
これは分校で使われていた小技の一種だ。ゲームでは選択自体できなかったが、リアルでは唱えることだけは可能。ただ発動しないだけ。スキルエフェクトが発生しないので気をつけていればブラフだと分かるし、手の内をよく知っている相手じゃないとどんな攻撃をしてくるかも分かっていないのでブラフをする意味があまりないが、嵌まるとこうして相手の対処を誘発することができる。
それに気がついた時には、すでに遅し。
ヴァンの防御スキルはしっかり発動してしまっていた。今更取りやめることは不可能。
クイナダの前に無防備に張られる防御スキルを前に、やることは決まっている。
「『狼仙斬・一の太刀』!」
「しまったであります!?」
そこへ防御崩しスキルが炸裂。
ズザンと振り抜かれた一瞬の攻撃にヴァンの体勢が大きく崩された。
そして次の瞬間には二の太刀が炸裂する。
「『狼仙斬・二の太刀』!」
「ぐおおおお!?」
防御スキルなんて紙同然に破られてノックバックしたヴァンは、この二撃目が直撃してなすすべ無くダウンした。
これぞ【武将】系
もちろんダウンしたからには追撃だ。
バフをかけ直し、ユニークスキルから始まる連続攻撃を叩き込む。
「『
ズドンと衝撃。
クイナダ大活躍のおかげでヴァンは退場してしまい、ついに第二拠点を消すことに成功したのだった。
―――――――――――――
後書き! 次回予告!
シュミネとヴァンを打ち破った赤チーム。
第二拠点が消え白チームがピンチになる中、そこへ颯爽と助けにヒーローが見参する!
「そこまでなのです!」
「そ、その声は!」
果たしてその正体は!?
次回、「王や武将の精鋭5人VSロリレンジャー大集結!」
お楽しみに。
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