第1321話 上級職ランクアップ! カグヤ編!
「ヴァン。これでヴァンも【一国一城の主】だ。おめでとう」
「おめでとうですの!」
「〈
「ありがとうございます! とても嬉しいでありますな!」
まずヴァンの〈
お祝いの言葉を贈る。
ヴァンは満面の笑顔だ。
自分でステータス画面を開いて、それを感慨深そうに見つめている。
傍から見ると、空中を見て満面の笑みを浮かべているように見えるぞヴァン。
そっと〈最強育成論〉を渡しておく。
「さて、じゃあ次は――」
「「じゃんけんポン!」」
「私だ!」
「くぅ~~悔しいですの!」
「カグヤか!」
話を振った瞬間、一瞬でじゃんけん勝負が開催された。
なんの合図も無かったぞ。なのに2人ともなんの問題も無く勝負。結果カグヤが勝利のチョキで勝ち上がっていた。
うーん、息ぴったりだな! これが普段からノリとツッコミを分かち合っている2人の距離感か。以心伝心だな!
先程は腹筋がやられて大変ピンチな状況に陥っていたが、2人とも無事復活を果たしたらしい。
「えへへへへへへ~」
「カグヤニヤけすぎですの!?」
「だってついに私も上級職かって思ったらもう込み上げてくるんだもん! こう愉悦が!」
「確かに夏休み前に上級職になれるとは嬉しいものですが、ゼフィルス先輩の前ですの! 男性の前で言っていい話ではないですの!」
おっと、カグヤはこれから上級職に就けるとあってだらしない顔だ。
サーシャに言われて表情を引き締めたが、少しするとまた徐々に崩れ出す。どうやら耐えられなかった様子だ。
うむうむ。分かる、分かるぞ。
「えへへへへへ~。私も上級職か~」
「ゼフィルス先輩、このままではカグヤは向こうの世界に行ってしまいますの。その前に引き留めてくださいですの」
向こうの世界!?
もうすでに向こう側にいっている気がするんだぜ。
ということで、呼び戻した。
「おーいカグヤー、戻ってこーい。やっぱりサーシャを先にするぞー」
「! それはちょっと待ってもらおうか!」
「あ、戻ってきたですの」
やっぱカグヤとサーシャってノリが良い。
「それでカグヤの上級職だが、俺としては【
「神使!」
俺の提案に素早く反応するカグヤ。
「お、神使を知っているのか?」
「狐の伝説だよ! その昔、人々を癒やして回った強いお狐様がいて、その方が神使だったんだって! 見た目は人の姿だったり、狐の姿だったりしたらしいよ!」
「狐の伝説!? 何その話詳しく!」
「ゼフィルス先輩、話が脱線していますの!」
はっ! いかんいかん、知らない〈ダン活〉話に気を取られ掛けたんだぜ。
あとで詳しく教えてもらおう。
「ゲフンゲフン。ということはカグヤ、【神使の巫女狐】は少ないのか?」
貴族で伝説の
何しろ〈獣王ガルタイガ〉や〈世界の熊〉でも、ほとんど
それくらい獣人系の
しかし、カグヤのこの物言いからすると、【神使の巫女狐】は結構少ない感じなのかもしれない? そう思ったのだが。
「ううん、結構いると思うよ。私も3人くらい知ってるし」
「どういうことだってばよ?」
「ゼフィルス先輩、伝説の
「ああ~。なるほど、そういうことか」
どうやら【神使の巫女狐】自体は伝説じゃなかった模様だ。
ああ、ということはレイドボスのあの神使のことか。
これはその伝説とやらの話を詳しく聞かなければならないな!
ちなみに【神使の巫女狐】はヒーラー。上級職、高の上だ。【巫女狐】の上位互換。
ヒーラーとしての腕は言うことなしで、召喚で鳥と狐を呼び出し、周囲に癒やしを振りまきながら敵の攻撃を結界で防いだり反撃したりできる、召喚系のヒーラーである。【メサイア】に似ているな。
すごいのは召喚獣は鳥が結界使い、狐が炎使いで、独立行動ができるという点だろう。ギルドバトルでは術者から2マス以上離れることが出来るのだ。
【メサイア】と同じく召喚獣をいろんなところに送り込むことができるうえに、【神使の巫女狐】は召喚獣が見ているものを自分も見ることができる索敵系魔法まで使える。
カルアのエージェント的な能力まで兼ね備えている強力な
さらに軽くバフやデバフも使うことが出来るというのだからさすがは高の上である。
軽く聞いた限り、伝説に出てくるレベルの癒やしの使い手だとカグヤも認識しているようだ。
素晴らしい。
「知っているのなら話は早い。カグヤ、【神使の巫女狐】でも大丈夫か?」
「もちろんだよ! ゼフィルス先輩なら多分神使に就かせてくれるんじゃないかなって思ってた」
「よっし、それじゃあ決まりだな! ということで〈
「わ! ありがとう! カグヤ、宝玉使います!」
「ノリが軽いですわ! カグヤ、それかなり貴重なものでしてよ?」
「そんなの〈エデン店〉で従業員していたときにすでに麻痺してるんだよ!」
カグヤ、超お高い宝玉を躊躇無く使う。
どうやら〈エデン店〉の超高額商品の取り扱いに慣れてしまって麻痺ってしまった様子だ。これは良いことなのか悪いことなのか?
良いことだということにしておこう!
「後は鳥と狐の像だな。もしくはぬいぐるみでも可。ということで、木彫りとぬいぐるみ両方用意したぞ。どっちが良い?」
「ぬいぐるみ!!」
「だよな~」
知ってた。
〈エデン〉メンバーなら絶対そっちを選ぶと思っていたよ。
まあ、木彫りの方は一応念のため持って来ただけだからね。もしぬいぐるみを使って、これは鳥と狐ではありません判定された時とかあるかもしれないからね。ゲームではそもそも鳥と狐のぬいぐるみなんて無かったから。
え? じゃあなんであるのって? なんか気が付いたらギルドハウスにあったんだ。
〈上級転職チケット〉も渡して〈竜の像〉へいざタッチしてもらう。
「あ! 【神使の巫女狐】出たよ!」
ぬいぐるみで大丈夫だったみたいだ。
木彫りは仕舞っちゃおうね。
その間に思いきりの良いカグヤは【神使の巫女狐】をタップしていたらしく、俺がみたときにはカグヤの頭上にそれが輝いてた。早っ!
そして出る覚醒の光。
「うわ~、これが覚醒の光! 私、今覚醒してる!」
「じ、自分の時は出なかったでありますのに!?」
「ヴァンはドンマイですの」
ヴァンは下級職、高の中から上級職、高の上になったパターンだったからな。
残念ながら覚醒の光はSUP36の
パシャパシャ。
カグヤの覚醒に俺のスクショが唸りを上げる!
え? ヴァンのスクショ?
ほら、ヴァンは覚醒の光出なかったしね。仕方ない事なんだよパシャパシャ。
「カグヤーポーズ決めてくれー!」
「え~。こうかな? それともこ~お?」
「意外にノリノリですのカグヤ!」
「いいぞいいぞ! 良し。巫女狐覚醒、良し!」
覚醒の光が収まるまで、俺は巫女の狐さんが覚醒しているところをスクショに撮りまくったのだった。
「ふう。カグヤ、【神使の巫女狐】への〈
「おめでとうですの!」
「おめでとうであります!」
「えへへへへへへ~。みんなありがとね!」
―――――――――――――
後書き!
なぜか昨日はヴァンの〈
ここが学園でお子様がいない場所でなければ、お子様ランチの旗で〈
え? 学園にもお子様はいる?
……ルル、もしくはアリスからヴァンにお子様ランチの旗を贈呈するシーンから書き直すか悩む所ですね……!
それはともかくとして〈ダン活〉小説9巻、昨日より発売中です!
ご購入とてもお待ちしております!
すでに購入してくださったみなさま、とってもありがとうございました!
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