第1171話 ボス祭り〈エデン〉VS〈ミーティア〉戦。決着
◇引き続きアンジェ視点。
「うん。とても〈エデン〉らしいのだわ」
「こんなときに冷静ねマナエラ!?」
見てよほら! あの筋肉すら相手にもならなかった〈クジャ〉を、切り札を切ってようやく倒したというのに、何よあれ!?
レアボス? 上級の? しかも追加で3体? いったいコストはどうなってるのよ!? ちゃんと仕事しなさい!
これを見てマナエラはなんでそんな冷静で居られるの!?
「ラララ~」
あ、レアボスの〈アリドレン〉? が攻めてきたわ!?
いえ、落ち着きなさい私。冷静になるの。よく思い出して。
レアボスとはいえ樹木型。樹木は〈火属性〉に弱い。私たちは〈山ダン〉攻略で3番目の攻略ギルドよ。なら、なんとかなるわ!
「みんな〈火属性〉で合わせて!」
「「「「『マルチフレイムマジカル』!」」」」
「「「「『フレアストリーム』!」」」」
「ジャジャヤァアアア!!」
〈アリドレン〉に一斉攻撃を放つと、近くにいたカマキリゴーレム型レアボスの〈カママクラス〉が庇ってきて――あれは盾!? うそ、防いだ!? ボスが連携しちゃダメーー!!
「ギャアアアアア!」
そこへ〈炎帝鳳凰〉が襲来した。
「わ、きゃああああ!?」
「結界を!」
「「「『三重守護結界』!」」」
〈炎帝鳳凰〉が飛びながら尾羽を伸ばして攻撃しながら飛び込んで来る。
すぐに結界で防いだけど。
「ラララ~」
「かはっ!? げっ、これ、〈毒〉!?」
「こっちは〈睡眠〉よ! たたき起こして!」
「見て! 眷属召喚よ!」
「ラララ~! ララ~!」
レアボスの〈アリドレン〉の枝が結界を迂回して攻撃してきた。
受けた子はダメージは少なかったものの状態異常に掛かってしまう。
さらに〈アリドレン〉は眷属召喚で〈山ダン〉のモンスターを量産し始めた。
ちょ!? 上級ダンジョンのモンスター量産しちゃダメーー!!
「みんな範囲攻撃で眷属と〈アリドレン〉を狙って! ゴーレムごと巻き込むのよ! 『小隕石流星群』!」
「「「「「『フレアストーム』!」」」」」
こうなったら範囲攻撃で一掃するしかない。
下と上からの同時範囲攻撃。
これが上手く決まって〈炎帝鳳凰〉が下がり、眷属モンスターの半分以上を光に還すことに成功する。どうやら召喚眷属モンスターはかなり弱体化しているらしいと知って少し心に余裕が出来た。
でも、その余裕は瞬時に吹き飛ばされた。
「うわすご! でも負けないよ~。〈カマクラ〉を強化して〈狩猟解放杖〉! 『首領解放』! 『真の力を取り戻せ』! 『召喚盤よ本気を見せよ』! リーちゃん回復魔法!」
「ジャジャヤァアアア!!」
「――――♪」
気が付いたら〈カママクラス〉のHPバーが3本になってたの。
後HPも回復してた。何それ、ボスのHP回復しちゃダメーー!
しかも〈カママクラス〉は明らかに形態変化していたの! 巨大な盾を四方向へ翳し、本体は引きこもって――。
「アンジェ、〈アリドレン〉と〈炎帝鳳凰〉来てるのだわ!」
「!! みんな狙いを〈アリドレン〉と〈炎帝鳳凰〉に変更して!」
「ラララ~ララ~!」
「ギャアアアアア!」
幸い〈アリドレン〉と〈炎帝鳳凰〉のHPバーは1本のまま。
どうやらあの3本にするスキルは1体にしか使えないみたい。
タンクを強化して防御力を上げる作戦?
そう、思ったのも束の間だった。
「ジャジャヤァアアア!!」
「へ? ふひゃああ―――!?」
「え?」
何か遠距離攻撃的な物が目の前を通過し、一撃でメンバーのHPをゼロにした。
その先に居たのは先ほどのカマキリゴーレム、に似ても似つかない重厚な要塞のようなゴーレム形態。4つの巨大な盾に覆われ、その上には巨大な大砲がこちらに砲身を向けていた。
「これが〈カマクラ〉の第三形態。フラーミナの能力発動中しかなれない移動要塞形態だ!!」
どこからかゼフィルスさんの声が聞こえてきて驚愕する。
第三形態!? HPバーが3本全回復しているのに!?
でも驚いている暇も考えている暇も無かったわ。追加があったのよ。
「よし、フラーミナ! 〈カマクラ〉のユニークスキル――発動だ!」
「『レアボスユニークスキル解放』!」
「ジャジャヤァアアア!!」
まるで「待ってましたー!!」とでも言わんばかりに〈カマクラ〉と呼ばれたボスが叫ぶと。
頭上の砲身が合体して二つの巨大な砲身に変わる。でもその向きがおかしい。なぜか私たちが居る場所とは別々の方向へ向いていた。
「行っけー〈カマクラ〉! 前は(使う前にやられて)使えなかったユニークスキル! 『強打
「ジャジャヤァアアア!!」
ユニークエフェクトが舞い上がったかと思うとズドンという音と共に2方向へ発射される特大の砲弾。
そしてそれは、途中でゲートのようなものが現れてその中へ消え、他のゲートから飛び出して私たちに2方向から襲いかかってきた。
「クロスファイア!? 防御!」
「「「『パーフェクトバリア』!」」」
「「「『バーンフレア』!」」」
クロスファイアなら知っている。私たちもよく使う攻撃方法。別名十字砲火。
片方が攻撃している時に他の片方のメンバーが攻撃する。この攻撃がクロスしているように見えることからクロスファイアと呼ばれる、防御の隙を撃つ攻撃方法。
でもそれは受け手が1人ならの話。私たちは複数人居ることから2箇所同時に防ぐことができる。と思っていたら――貫通された!?
「「「きゃあああああ!?」」」
「嘘でしょ!?」
バリアや
そこに飛び込んだ砲弾はターンして戻ってきた。嘘でしょ?
「ちょ!? みんな回避!! 回避――!!」
「ひゃああああ!?」
「他のボスたち、来てるよ!!」
「くっ! こうなったら――『連なる破壊の流星』!」
2度目十字砲火を回避したと思えば他のボスが2体すぐ近くまで来ていた。
嘘でしょ。
やっぱりボス3体相手は強すぎるわよ!
もう温存している余裕は無いと対〈エデン〉用に残していた最後の奥の手を発動。
上から連なるように星が落ちてくる五段階目ツリー。
同じ軌道で連打する様に落ちてくる星は相手を完膚なきまでにたたきのめすという魔法。のはずなのに。
「ここで真打ち登場なのです!」
気が付けば近くに幼女がいた。
この子、確かルルちゃん。
とんでもない強者が集まる〈エデン〉の中でも、見た目によらずかなり上位の強さを持っていると有名の子なはず。
え? なんでここに居るのかしら? だって今さっきまで居なかったわよね?
「お覚悟なのです! 『クレセントスラッシュ』!」
「うきゃあ!?」
「「「「きゃー!?」」」」
そこでクルリと一回転しながら、おそらく周囲範囲攻撃が放たれた。
ここ、私たち〈ミーティア〉のど真ん中で範囲攻撃!?
しかも威力大きい!? 崩された!?
そこへ。
「ギャアアアアア!」
「ラララ~」
ボス2体の攻撃。ダメーー! これ以上は無理!
「撤退よ! バリア張って!」
「『異界隔離大結界』!」
「結界は私が斬ろう。『抜刀術・
「え?」
時間稼ぎのためのバリアを展開。
だけど、シャキンと何かが斬られたような音と共にボスを押しとどめようとしたバリアが斬られて消えていった。
「防御破壊スキル!? それにこれは侍の技!?」
「ご明察。名高いミーティアに私の技がどこまで通用するか、試させてもらおう」
そこに居たのは前回の拠点落としで〈ミーティア〉に致命傷を与えた侍、キリちゃん先輩の妹、リカさんだったわ。
五段階目ツリーの結界でも容赦無く斬られるの!? この姉妹どうなっているのよー!
「逃がさないのですよ! 『
「うっ!?」
え? 一瞬の出来事に頭が追いつかない。
まだルルちゃんとは距離があったはずなのに、いつの間にか斬られていた。
しかもクリティカル判定が出ちゃったらしく、そのままダウンしてしまう。
「このスキルは背中を見せていると威力が上がるのです! さらに逃げると必中なのです!」
か、解説ありがとう。でも、ダウン中でもう言葉も出せない。
うう。ああ。これ、もうダメかも。
「ギルマスがやられちゃった!?」
「〈エデン〉本隊が来てる!」
「みんな冷静に、集まって一斉攻撃なのだわ! 『アイビーム』!」
「とう! 『ヒーロー・バスター』!」
「発射!」
「「「「「『プロミネンス・バースト』!」」」」」
「ギャアアアアア!」
「ラララララ~」
「ジャジャヤァアアア!!」
「『制空権・乱れ椿』!」
「ゼニス行きますよ。『騎竜突撃』!」
「クワァ!!」
ああ。竜も来ちゃった。
ダウンから復帰するまでの約10秒間で4体のボス級モンスターと〈エデン〉のメンバー20人以上が〈ミーティア〉メンバーに突撃する光景を見た。あと私の側に立つルルちゃんの姿も。
マナエラ後は任せたわ。
「トドメの、
それは多分
そしてサクッと通常攻撃。
もうほんの僅かしか無かった私のHPはそれでゼロになり、〈敗者のお部屋〉へと転送された。
それからすぐに、〈エデン〉の逆侵攻によって〈ミーティア〉の拠点は陥落したのだった。
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