第940話 レアボス狩って帰り、新装備のお披露目!




 しょっぱなから〈パーフェクトビューティフォー現象〉という出だし最高の結果にテンションが盛り上がり、さらにレアボス周回に挑みまくった。


〈カマグマ〉は俺たちの〈五ツリ〉があればどうということは無いボスなので、もうボッコボコである。

 まあ、本来なら〈五ツリ〉は上級中位ジョウチュウを攻略するのに必要なものだ。レアボスとはいえランクの低い上級下位ジョーカーのボスでは抵抗も難しいだろう。


 さっきはユニークスキルを使わせることもさせずに屠ってしまったためにあまり脅威には思わなかったが、その後は何回かユニークスキル『辻怪異つじかいい流・撲殺鬼之我熊ぼくさつきのわがくま』をしっかり使って来たよ。


 一瞬で回り込んで防御の無い背後から撲殺だ。普通に脅威。

 狙われたのはシエラと、たまに俺だったが、シエラは最初の1回だけ防御が間に合わず鎧部分で受けて大きなダメージを受けるという展開もあったが、〈即死〉効果は発動しないのですぐにリカバリーして復帰。問題は無く、次からは〈カマグマ〉からユニークスキルのエフェクトが発生したら自分の四方を守る新スキルで防御することで完全に防いでいた。


 俺? 俺は『自動防御』と『超反応』があったからな。

 後ろに回り込まれても余裕で防御が間に合って、まあ吹っ飛ばされたけど普通に耐えたよ。


 そんな感じで、1日で〈カマグマ〉を19回、〈クジャ〉を13回狩って今日の活動は終わりとなった。

〈笛〉は8本持って来ていたが、あまりにも呆気ない戦闘に1戦平均10分~15分で32戦。フルで使い切ってしまった。


 そして〈カマグマ〉のお宝だが、〈銀箱〉が14回出て、そのうち普通の〈ビューティフォー現象〉が1回で30個。〈金箱〉は最初の〈パーフェクトビューティフォー現象〉を入れて5回で12個ドロップした!

 素晴らしい。素晴らしすぎるぞ! 〈金箱〉バンザイ! 〈幸猫様〉バンザイ!


 〈上級転職チケット〉はレアボスだと確率が4%に上がる、だがなぜか無茶苦茶ドロップして8個中4枚も落ちた。マジかよ。

 残りの4個は、装備が2個で笛アイテムの〈フルート〉が1個、やったぜ! 最後のは料理アイテムのレシピだった。しかも〈ティー〉系レシピの〈蜂蜜入り高級ティー〉。これ、ヤバいやつ。さすがはクマさんだぜ。やはりセレスタンには……あとで相談してみようと決める。


〈クジャ〉の方は〈金箱〉2個、片方は〈上級転職チケット〉で、もう片方は装備だった。

〈上級転職チケット〉は今日だけで5枚もドロップしたな。〈マグメタ〉戦で2枚、レグラムチームが昨日までで2枚ドロップしていたはずなので、あれ? 〈エデン〉と〈アークアルカディア〉の人数分を超えたぞ? 早ッ!? Aランク戦が終わったら早速カンストしている全員を〈上級転職ランクアップ〉させようか!

 ふはは!


 そんなこんなで俺たちの周回は終わったのだった。

 その後、ちょっとだけとあるダンジョンに行って〈捕獲召喚盤〉を使ったのだが、なにを捕獲したのかはAランク戦までの秘密である。


 これで準備はあらかた整っただろう。


 俺はその後ちょっとガント先輩のところへ寄り道したのちギルドハウスへと帰還したのだった。

 ガント先輩、〈イブキ〉の最上級品、頼んだぜ!




「ゼフィルス君、お疲れ様」


「待ってたで兄さん」


「ハンナ、マリー先輩! ただいま~」


 さて、いつもなら〈上下ダン〉で解散するところだが、今日はBランクギルドハウスに帰還だ。

 その理由は明日の〈拠点落とし〉の最終調整のためである。


 つまりは装備の更新、お披露目会だ!


 ギルドハウスにはすでにほとんどのメンバーがいて、きゃっきゃきゃっきゃとはしゃいでいた。

 みんな装備のお披露目、大好きだからな~。


「んじゃハンナはん、ここは任せるで、うちはアルル手伝ってくるわ」


「はい! ここは任せてください!」


 装備のお披露目会にマリー先輩は欠かせない。

 こっちの部屋に顔を出していたマリー先輩だが、数人のメンバーを連れて控え室へ連れて行くと、ハンナはシズやセレスタン、マリアやメリーナ先輩たちと一緒に色々と食事を用意し始めた。

 宴会は勝利後、と思ったのだが、なんか宴会っぽくなってしまったな!


 さて、俺も進行役として前に出なければ。

 舞台に立つとおしゃれなパーティションに遮られた、大部屋から見えない扉がそっと開き、奥のアルルと目があった。


「お、ゼフィルス兄さん来よったな。こっちは1人目の出番がすでに整ってるで」


「オーケーアルル、こっちは任せてくれ」


 扉をちょこっと開けたアルルと目があったので軽く話し、準備が整ったようなので進行する。


「待たせたなみんな! そろそろお披露目会が開催されるぞ! 心の準備はいいか!」


「「「おー」」」


 うむうむ、良い返事だ。

 この装備お披露目も結構やってきているからな。

 じゃあ、場の熱が冷めないうちに1人目、いってみようか!


「それではまず1人目から! 長らくお待たせした、小柄ながらも頭脳明晰、小さい身長とその頭脳のギャップが甘―――」


「おいゼフィルス。なにいい加減なこと言ってる!」


 ――しまった。

「小柄」とか「小さい」の部分が余計だったのか、こめかみに怒りマークを載せたメルトが出てきてしまった。

 ええい、ここは勢いで押し通す!


「メルトの登場だー!」


「「「「おお~~」」」」


 勢いで紹介すると大部屋から歓声と拍手。

 みんなメルトの姿に注目している。

 ふう、何とかなりそうだ。


「メルト様~こっちむいて~!」


「……ふん」


 ミサトからの声に澄ましながらも体を向けるメルトがツンデレ。

 メルトが装備しているのは〈引力賢者シリーズ〉。

 黒を基調としたローブ風な装備だが、実はコートだ。

 前を向くとローブが開いており、中に制服っぽい見た目のカジュアルな服を着ていてかっこいい。背中には大宇宙を表すような光の渦の意匠をしていた。


 いやマジでかっこいい装備だ。俺のリクエストでその場で一周回転してもらう。是非背中も見てほしい。

 ミサトから、というか大部屋中から歓声が送られた。メルトも悪い気はしていないようだ。


 よしよし、まず1人目から大好評だな。

 チラっと少し開いた扉を覗けば様子を見るマリー先輩と目が合った。俺は後ろ手に親指を立ててグーしておく。もちろんマリー先輩も怪しげな笑顔でグーを返してくれたよ。


 マリー先輩はテスト期間中でも装備の作製を進めてくれていたらしいからな。

 マジ感謝だぜ。


 このまま2人目も行こうか! え? 3人目も? え、そのまま4人目も頼むって?

 まあいい、どんどん行こうか! メルトが席へ向かうと俺は司会を進行した。


「さーて会場も暖まったところで2人目行きましょう! 我が〈エデン〉の歌姫の1人、ノエルの登場だー!」


「「「きゃー」」」


 簡単な紹介に示し合わせたように数人の女子が黄色い声で出迎えると、ノエルが背筋をピンとしながら堂々と歩いて舞台の中央まで来て一旦止まり、クルッと正面を向いてポーズを取った。

 おお! その仕草、アイドルっぽい!


「みんなー! どうかなこの衣装! すっごく可愛いと思わない!? すごくない!?」


「うん! ノエルちゃん可愛いですー」


 はしゃぐノエルに、おお、今答えたのはラクリッテだな。

 大人しいラクリッテがあんな大声を出すなんて珍しい。

 実はノエル、【歌姫】だったこともあり歌が凄まじく上手だ。

 しかもスキルを使うと音楽が流れるためよく歌う。

 そしてギルドメンバーの多くはそんなノエルの歌が好きなんだ。


「じゃあ、このまま一曲歌っちゃおうか~!」


「ダメですよノエルさん。後ろがまだまだいるのですからね」


「あ、オリヒメちゃん!」


 あれ!? 俺が進行する前に3人目の女子、オリヒメさんが出てきてしまったぞ!?

 ほら見ろ、パーティションのところで控えていた4人目のレグラムがそわそわしている。


 ちなみにノエルの装備は〈歌姫愛旅あいたびシリーズ〉。

 白系をベースにしたアイドル衣装で、旅をしつつ各地で歌を披露する歌姫をテーマにしたちょっと落ち着いた装備、だったはずがかなりフリフリに改造されている。なのに動きやすそうでかっこいい。肩からスカートに向かって斜めに伸びたチェック柄の広いベルトがワンポイントだ。


 続いて出てきたオリヒメさんは〈氷姫貴装シリーズ〉の〈軽装〉版。

 水色をベースにしたドレス衣装でキラキラと輝く氷の結晶が美しい装備だ。

〈氷姫貴装シリーズ〉は〈氷属性〉を強化する特化装備で他に〈鎧〉版などもあり、様々な職業ジョブで使える良装備シリーズだ。オリヒメさんは属性を伸ばしてみた。

 回復はすでに過剰なレベルで強いからな。属性を強化しようという試みだ。

 これも〈青空と女神〉にあったレシピである。


「じゃあ私はこの辺で! 次はレグラムさん、入って良いですよ~」


「まあ、ですってレグラム様。お言葉に甘えましょう」


 ノエルがそう言って舞台を降りみんなの方へ合流すると、残されたオリヒメさんがにっこりしながらレグラムを誘う。

 俺の進行役のお役目~!


「やれやれ。ゼフィルス、すまないな」


「はっはっは、まあこういうのも良いんじゃ無いか?」


 レグラムが困った顔でこっちに来たので俺は流してあげる。

 オリヒメさんはそんなレグラムの腕に抱きついて、仲の良さをアピールし始めた。


「見てくださいレグラム様の衣装、かっこいいでしょう?」


 ついでにレグラムの衣装の紹介も忘れない。さすがだ。


 レグラムの装備は〈貴人剣帝シリーズ〉。

 剣士系の装備だが、〈貴人〉と入っているのがポイントでかなり貴族っぽい見た目の作り。

 黄緑色を基調とした膝裏まである長いコートに将軍が着るような内服。三つのボタンからベルトが斜めに3本伸びているのがかっこいい。

 貴族がしているような白い手袋を装着し帯剣もしていて、キラキラエフェクトが出まくっていた。

 レグラム、まさにザ・貴族って感じだな!


 これはオリヒメさんが抱きついて誰にも渡さないってしたのも分かるぜ。


 さて、続いて、えっとあと何人だ? え? まだ半分も終わっていないって?

 どんどん行ってみよう! 今度は俺が進行させるぞ!



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