第919話 上級職ランクアップ! サチ・エミ・ユウカ編!
〈エデン〉の方針を決めてこの場は解散し、俺は宣言通りサチ、エミ、ユウカ、フラーミナを連れて測定室まで直行していた。
道中、仲良し3人娘がこれまでの経緯を思い出したのか、なんだかしみじみとしていらっしゃった。
「ついに私たちも上級職か~」
「なんだか感慨深いよね~」
「私たちもついに〈エデン〉のレギュラーが張れるんだね」
「そっか、3人は第一回大面接からのメンバーなんだっけ」
そんな3人組にフラーミナが聞く。
「そうなんだよ~」
「私たちは第一回大面接組~」
「他の合格者が全員上級職なのに私たち3人だけ下級職だったものな。このまま第二回大面接組に抜かされるのではないかって、ちょっとヒヤヒヤしていたよ」
そう、仲良し3人娘のサチ、エミ、ユウカは第一回大面接の合格者だが、同じタイミングで合格した、所謂同期メンバーはすでに支援職や生産職も含めて全員が上級職になっている。
彼女たちはちょっと出遅れた形だった。
「でもやっと私たちも〈
「第二回組のシャロンちゃんとオリヒメさんが〈
「大丈夫。私たちも〈
「「「おお~!」」」
「わ~、さすが、仲良いね」
「だがそれくらい絆が深ければ今後の
仲良し3人娘は本当に仲が良い。フラーミナもカタリナとロゼッタと同じグループで仲が良いが、仲良し3人娘の仲の良さには負けるだろう。いや、勝ち負けじゃないが。
そして、そんな3人だからこそ【魔装】系やその上級職シリーズとは相性が良い。
彼女たちの
そんな話をしながら進むと、あっという間に測定室へとたどり着いた。
隣の職員室で鍵を受け取り中へと入室する。
「おじゃましま~す?」
「おおお~、殺風景なのになんだか雰囲気あるね」
「ここで私たちは上級職になるのだな」
「これでルーちゃんたちを上級進化させられるよ~」
それぞれが測定室で思い思いの感想を漏らす。
測定室には邪魔になりそうな物の類いは一切無く、ただ部屋の奥に置かれたテーブル、その上に置かれた〈竜の像〉があるだけだ。これで〈竜の像〉の周りにロウソクでも立てて暗くすればもっと雰囲気が出るだろうな。やらんけど。
「さて、最初は誰にする?」
「「「はい!」」」
「私は最後でいいよ」
「じゃ、3人でじゃんけんしてもらおうか」
「よっし負けないよ~!」
「望む所だよ~!」
「誰が勝っても文句無しだからね」
というわけで仲良し3人娘でじゃんけんしてもらうと、サチ、エミ、ユウカの順に順番が決まった。いつもと同じだったな!
「私が一番だよ~!」
「がくん」
「う~ん負けちゃったか。じゃあサチ、頑張ってね」
「おう。だがその前に3人には言っておくことがある。
肩を落として下がろうとしたエミとユウカにも声を掛けて戻ってきてもらう。
「3人は【魔装】系統の
「「「いいよ」」」
「早っ! というか即決でいいの!?」
「うん! それにゼフィルス君が決めてくれた
「ゼフィルス君に任せとけば間違い無しだよ~」
「さらっと伝説の
どうやら他のメンバーから色々と話を聞いていた様子。信頼が嬉しいぜ(?)。
「よし、じゃあ発表するが、俺は3人に【神装】シリーズに就いてほしいと思ってる」
「「「【神装】シリーズ!?」」」
【魔装】シリーズのルートはいくつかあるが、シリーズ系統を活かしたまま進むのであれば大きく分けて3ルート。
一つ目は【乙女】シリーズ。【
カテゴリー「女」しか就くことが出来ないが、単体でも強力な能力を持っており単騎での行動が可能。『魔装共鳴』を持つ者同士で組めばさらに強力な性能の
二つ目は【聖装】シリーズ。【聖剣士】や【聖弓士】などが該当し、【魔装】シリーズの完全上位互換。方向性や戦い方もほとんど【魔装】と同じで、まず『聖装』スキルを発動して戦う形になる。もちろん『聖装共鳴』も持っており【聖装】系統のメンバーで組み合わせた時の能力は高の上クラスと並んで戦えるほど。
そして三つ目が【神装】シリーズ。【神装剣士】、【神装本士】、【神装弓士】などが該当する。
【神装】シリーズは大器晩成型だ。その本領はストーリーが進み、〈ヒヒイロカネ〉や〈オリハルコン〉、〈世界樹〉や〈神木〉などの〈神〉素材系統と呼ばれている素材の装備で身を包んだときに発揮される。神系統装備を着用するほどパッシブスキルが発動しステータスが上昇するのだ。
つまり【筋肉戦士】系統とは真逆の位置にある
さらには【魔装】時と同じく【神装】系統のメンバーで組み合わせればさらに装備のステータスを上昇する共鳴スキルまで持つ。
ノーカテゴリーの中では最強とも呼ばれている
神系統装備はまだ持っていないので本領は発揮出来ないが、それでもコンボスキルなどの強みがあるので火力は無茶苦茶高い。〈拠点落とし〉では大いに活躍が期待できるだろう。
そして将来的には神系統装備を手に入れればめちゃくちゃ化ける。
是非3人には【神装】シリーズに就いてほしいところだ。
「うん! 是非!」
「【神装】! すっごく良い響きだね!」
「【神装】系。スキルが不明なものが多く、好き好んで選ぶような
そうか。ユウカの話から思い到る。そういえばこの世界では〈神〉系統素材がドロップする上級中位ダンジョンまで行ける人は皆無だったなと。
神系統装備とかこの世界ではお目に掛かったことは無いのではなかろうか?
そんな世界で【神装】シリーズに就いても宝の持ち腐れ、神の能力の欠片すら発揮出来ないに違いない。
よーし、いいだろう。そんな常識、俺が粉みじんに吹き飛ばしてやる!
「3人は【神装】シリーズへの〈
「うん!」
「ゼフィルス君を信じてるからね」
「絶対私たちを強くしてね?」
「おう! 任せとけ!」
俺はしっかりと約束する。彼女たちの信用と期待、絶対裏切らないと誓おう!
「それじゃあ、早速〈
「「「はい!」」」
3人に〈結晶〉系アイテム〈聖の結晶〉を渡し使ってもらう。
【魔装】シリーズから派生するルートの中で【乙女】シリーズと【神装】シリーズは高の中になる。SUPは高の下から高の中に上がったため33だ。
「後は『〈神〉カテゴリーの素材、装備、アイテムのいずれかを持って〈竜の像〉にタッチする』だ。ということで持って来たのはこのあまり物の〈ユグドラシルの苗木〉君」
続いて取り出したるはなんと、〈エルフ〉をスカウトするときにも使用するスカウトアイテム。
実はこの〈ユグドラシルの苗木〉って〈神〉カテゴリーなんだよ。ビックリである。いや、名前からしてビックリではないのか? そのまんまかもしれない。
中級で手に入る〈神〉カテゴリー装備や素材は存在しないので、一番手に入りやすいアイテムの一つがこの〈ユグドラシルの苗木〉なんだよなぁ。
ちなみに、この〈ユグドラシルの苗木〉はシェリアが持って来たものじゃない。あれは今Bランクギルドハウスにちゃんと設置されている。
これは〈エデン〉の周回中にポロッとドロップしたアイテムなのでダブり。完全にいらない子アイテムだったのだが、まだ出番が来ることを知っていたため今まで残しておいたのだ。
これ、素材に分解できれば嬉しかったのだが、残念ながらこれを素材にすることは出来ないので用が済み次第〈エルフ〉を相手に売ろうと考えている。来年度新入生を相手に売っても可だろう。
おっと、脱線した。
では3人には〈
「じゃあサチ、これと、〈上級転職チケット〉を持ってタッチしてくれ」
「オッケー!」
〈ユグドラシルの苗木〉は片手で持てる観葉植物サイズなので、それを簡単に手に取ったサチがもう片方の手に〈上級転職チケット〉を握りしめて〈竜の像〉に触れる。瞬間ジョブ一覧が表示された。
「あ! 本当に【神装剣士】あるよ!」
「よし。サチよ、それをタッチするんだ!」
「オッケー!」
気合いの声とは裏腹にやさしくソフトタッチするようにちょんと触れると、【神装剣士】以外のジョブ一覧はフェードアウトしていき、【神装剣士】だけがサチの上に輝いた。
これでサチも【神装剣士】だ。
「おめでとうサチ。これでサチも【神装剣士】だ」
「うん!」
「サチ、おめでとう~! 次は私だね!」
「サチおめでとう。その次は私だ」
「なんだか2人ともおめでとうが軽くない!?」
「「あははは~」」
「もう、フラウちゃん慰めて~」
「仕方ないな~。おめでとうサチ、私の胸に飛び込んでいいよ」
「わーい。――う~ん、でもちょっとこの体勢キツいかも~抱っこして良い?」
「ふん!」
「むぎゅ!?」
フラーミナの胸にダイブしたサチ。
しかしロリ体系のフラーミナの胸は位置的に合わなかったようで、抱っこを要求して頭をキュっとホールドされていた。元〈アークアルカディア〉メンバー同士、仲が良いなぁ。
微笑ましい。
「次は私の番~。ってもしかしてサチと同じ感じ?」
「だな。〈聖の結晶〉を使ったら〈ユグドラシルの苗木〉を持ってタッチだ」
すでに〈聖の結晶〉は使っているのでサチから〈ユグドラシルの苗木〉を受け取り、俺から〈上級転職チケット〉を受け取ったエミが〈竜の像〉へとタッチする。
「わ、【神装本士】が出てるよ~!」
「迷わずタッチだな」
「うん!」
エミがタッチするとジョブ一覧から【神装本士】がクローズアップし、これでエミは【神装本士】に就いた。
「おめでとうエミ~。じゃ、次は私だね。エミ、苗木頂戴」
「あいよ~」
そんなノリで〈ユグドラシルの苗木〉を受け取ったユウカに俺も〈上級転職チケット〉を渡す。
なんだか感慨深そうにチケットを眺めた後、ユウカも〈竜の像〉に触れた。
「うん、私も【神装弓士】が出てる。これをタッチすれば良いんだね」
「おう、やってやれ!」
「わかった!」
ユウカもタッチすると【神装弓士】がクローズアップし、これで今日からユウカも【神装弓士】だ。
「3人とも、改めて〈
「「「ありがとうゼフィルス君!」」」
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