第850話 祝勝会! 初の防衛戦、余裕の勝利に乾杯だ!
「いやあみんな初の防衛戦、お疲れ様だ!! ギルドバトル開始から10分で決着するとは、完勝だったな! それもこれも全員がギルドバトルでしっかり活躍したからだと思う! ということで祝勝会を行ないます! みんなよく頑張った、防衛戦初勝利にカンパーイ!!」
「「「「カンパーイ!!」」」」
ギルドバトルが終わったので、祝勝会で乾杯だ。
いつもの流れだな!
ギルドハウスにメンバー全員が集まって打ち上げだ!
俺もグイッと一杯
さて、今回はどこに向かおうか? やっぱり東側だな!
俺たちがいなかった東側の状況も知りたいし、ということで指揮官だったリーナの元へ向かう。
「あら、ゼフィルスさんいらっしゃいませ。ギルドバトル、お疲れ様でした」
「おう! リーナも東側の指揮官お疲れ様。聞いたぜ? 『ギルドコネクト』を駆使して指示だししてくれたおかげで全部の巨城を取ることができたって!」
「ふふ。わたくしもお役に立てて嬉しいですわ。でも〈竜の箱庭〉を使う前に終わってしまったのはわたくしも予想外でしたわね」
今回のギルドバトルも東側はリーナに指示だしを任せていたからこそあそこまで短時間での決着になったと言っても過言ではない。東側はもうリーナの采配で一方的だったそうだ。
さらにはメルトやカルアのいた〈北西巨城〉や〈南西巨城〉などの西巨城にまで応援を出してくれたらしい。
「そういえば東側の初動は具体的にどんな感じだったんだ? そっちは平均的なスピード持ちしかいないし、もしかしたら巨城だって一つは持っていかれるかもと思ったが」
まあ、そのためにリーナを配置したので一つも渡さない可能性の方が高かったけどな。
「平均的とはいえそれは〈エデン〉の平均ですわよゼフィルスさん。普通LV50前後でAGIが200を超えている人なんてカルアさんみたいなほんの一握りですわ」
「おっとそうだったな」
〈エデン〉のAGIの平均は200を超える。
LV50の時と言えばカルアが〈装備制限:AGI200以上〉の〈爆速スターブーツ〉をゲットした辺りだ。あの時は〈爆速スターブーツ〉を装備できるほどAGIが高かったのはカルアしかいなかった。
そう考えれば〈ディストピアサークル〉でAGIが200以上持ちはいないというのも分かるな。
「東側は圧倒的でしたわね。相手が〈スタダロード戦法〉でしたか。速い2人が突出して〈南東巨城〉を取りに来たのですが、わたくしたちの方があらゆる面で速くて、そのまま〈南東巨城〉を〈エデン〉が先取したとき彼らは〈南東巨城〉に届いてすらいませんでした」
「まあ、そうなるのか」
実際東側は〈エデン〉に有利だ。〈南東巨城〉にしたって
「あれ? 〈ディストピアサークル〉は〈中央東巨城〉に進路を変更しなかったのか?」
〈12つ星〉フィールドの初動で取り合う巨城は全部で四つ。
東側で赤チームが狙うとすれば最初は〈南東巨城〉、それがダメなら〈中央東巨城〉へ進むのがセオリーだ。
〈南東巨城〉へは〈エデン〉の方が圧倒的に近いので、先を越されたらおとなしく諦めて〈中央東巨城〉へ進むべきなのだが。
「いいえ、誘い込みました。そしてラクリッテさんとタバサ先輩、シエラさんに抑えていただき、後ろから私たちが挟み込みました」
「ああ、なるほど。あの戦法に引っかかったか」
思い出すのは〈テンプルセイバー〉を相手に俺がしようとした戦法だ。
あの時はあちらが引き際を弁えていたため挟撃されることはなかったが、どうやら〈ディストピアサークル〉は前後を挟まれてしまったらしい。
それでも保護期間があるので東へ逃げることは頑張ればできなくは無い。
案の定〈ディストピアサークル〉は東に逃げようとしたらしい。しかし、
「東に逃げようとしましたので追撃をかけようとしましたところ、後続の〈ディストピアサークル〉が助けに来たのです。そして対人戦が起こりましたわ」
「無謀すぎる!? いや、仲間を助けようという心は美しいがっ!」
「おかげで挟まれて動けなかった2人は東へ逃れることが出来たのですわ」
〈南東巨城〉を落とした東部隊は、ラナ、シズ、リーナ、リカ、ルル、ミサトだったはずだ。
何その強力な部隊ってくらいの過剰戦力に、同数の6人の〈ディストピアサークル〉が仲間を救うべく躍りかかったらしい。
おそらく逃げに徹した先陣の2人が引き返してくれば逆に挟撃できると踏んだ可能性もある。
だが、上級職6人を相手に下級職6人が挑んじゃった時点で結果はお察しだ。
彼らは決して対人戦を挑んではいけないというのに。どうやら引かなかった様子だ。
「それで、どうなったんだ?」
「えっとその……ソークルというとても声が大きくて目立つ人の号令で飛び込んで来まして。引きもせず結局最後の1人になるまで頑張っていましたわ」
言い方は柔らかいが、それは無謀な対人戦で全滅したということでは?
詳しく聞いてみると、「我は【用心棒】のソークル! 【用心棒】のソークルである! 【用心棒】のソークルだああ!」とやたら名乗りを上げて突撃してきたのだという。
「おかげで名前だけは覚えてしまいましたわ。悪い意味で」
「悪い意味……」
「狙いだけは良かったですわ。指揮官であるわたくしを狙ってきましたから。ですが指揮官に護衛がいないはずも無く、全力で突撃してきた彼をラクリッテさんが防いで、『リーナさんはやらせません! 『デスタッチ』です!』『え? ええええええ!?』とラクリッテさんの〈即死〉の一撃によって退場していきましたの」
ソークル君、南無。
【用心棒】なのに全然用心してない。リーダー的存在が最初に、しかも一撃で退場したせいで他のメンバーも次々アピりながらも討ち取られていったらしい。
「引き返してきた2人の方もルルさんとリカさんが10秒でやっつけてしまい。東側はこれで全滅してしまいましたわね」
「助けられた2人、10秒しか持たなかったか……」
「リカさんは鮮やかでしたわ。『名乗りの基本がなっていない! 名乗りとはこうするのだ。――我が名はリカ! そなたたちを倒した者の名前だ、覚えておくがいい! ――『二刀斬・
「10秒のうち9秒が名乗りだけで終わってる!?」
むしろリカが名乗っちゃってるよ!? 相手に名乗らせてあげて!?
「ルルさんは『ヒーロー無双が炸裂なのですー! 『インフィニティソード』!』って言いながら反撃をものともせずに突撃しまして、気が付いたら終わっていましたわ。動きと剣速が速すぎて見えませんでしたの」
「ルルの言動には癒されるぜ」
ふう。しかしだからあんなにあっという間に東側は全滅したのか。
西側の3人がメルトたちにやられたときはまだ東側は全員生き残っていたのに、いつの間にか東側の8人が全滅していたから驚いたんだ。
「めぼしい人材はいた?」
「いいえ、東側にはいませんでしたわね」
即答だった。
「こっちは例の2人だ。まだまだ荒削りだが光るものがあるぜ。性格も悪くない。セレスタンに合格も貰った。この2人だけはスカウトしたいところだな」
「〈ディストピアサークル〉は全員高位職、去年までなら全員がスカウトされても不思議ではないはずなのですけどね」
そこはまあ仕方ない。高位職と言ってもピンからキリまであるし、リアルでは性格とプレイヤースキルというゲームには無かった要素まで判定基準に入れなくてはいけないのだ。
今回は高位職、高の上の2人だけで十分である。
まずはこの2人だけ、後日〈アークアルカディア〉に誘ってみようかと考えている。
とりあえず、初の防衛戦はこのように終わった。
色々言いたいことはあるかもだが、これでBランク戦へ挑む資格を得られたな。
さて、ではどこを攻めるかという話になるが、そこら辺はリーナとセレスタンがまずBランクギルドのことを調べることになった。
「お任せくださいですわ!」
「おう、任せるぜ!」
気合が入っていたので大丈夫だと思う。
しかし、Bランク戦をするのに必要なことは多い。
「Bランク戦は〈20人戦〉。つまりは総力戦だ。Bランク以上へ上がるための難易度が非常に大きい理由だな。う~ん、楽しみだぜ」
Cランクの上限人数は20人。こちらは総力戦で挑まなくてはいけないのに、相手はBランクで上限人数は30人。つまり余裕が違う。Bランク戦には一種の大きな壁が立ちはだかっているのだ。
「総力戦をするからにはギルド全体でのレベルアップが求められる。しばらくはレベル上げだな。そして俺は上級ダンジョンの攻略だ」
「楽しみですわね!」
ギルドの方針を決める。
まずは先日〈
次に今回〈
そして俺たちは上級ダンジョン攻略をする。目的は――上級ボスの周回。ギルドメンバーの装備の充実化だ! なお、レベル上げも含む!
〈嵐ダン〉を含むランク1~ランク3までの
五段階目ツリーの開放は出来ないが、装備は揃えられる。
Bランクに挑むのは、全員が上級職になり十分な数の上級装備が揃ってからだな。
ふははは! むちゃくちゃ楽しみだぜ!
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