第836話 上級職ランクアップ! ラクリッテ編!
「ふぁ! 【ラクシル・ファントム】ですか!?」
うむうむ、いい驚きっぷりだなラクリッテは。
すごくいいリアクションだ。
盾防御系の【ラクシル】から〈
デバフ系を多く習得し、幻により敵の攻撃をミスさせることを得意としている。相手の大技、必殺技を逸らす事すら出来る強力な
盾タンクをしながら避けタンクまで出来ると言えばこの
【ラクシル】から就ける「狸人」の上級高位職ルートは魔法攻撃デバフ型の【幻想の化身】や、狸人大罪系である【強欲】、獣人大罪系の【憤怒】などにも就くことが可能だが、そっちは【ラクシル】ではなく別の
俺は【ラクシル・ファントム】を支持する。
「ラクリッテは【ラクシル・ファントム】を知ってるのか?」
「え、えっと、【ラクシル・ファントム】のフィクション能力は私たちの間では知られていますし、その強さも知っています。ので、是非、お願いします?」
上目遣いで「お願いします?」された。もちろん良いですとも!
いや~、やっぱラクリッテ良いわ~。
「よし! じゃあ早速さっき交換所で交換した〈幻想衣〉を装備してくれ」
「はい!」
「んで〈宝玉〉系は〈
「は、はい」
「それと装備だが、すまんが両手盾を外して〈
「え、えっと、じゃあ貸してもらっていいですか?」
「もちろんオーケーだ。メルト、貸してもらえるか」
「がくっ、俺かよ……」
おお、メルトが珍しい反応を!
普段クールなメルトがこんな反応をするということは、かなり気分が高揚しているようだな。
【ラクシル・ファントム】は杖系を装備していることが条件に入っている。
でも盾を装備していることは条件に入っていない不思議。いや、盾を装備しているが条件ではすぐに達成されちゃうだろうから入れる意味がないのかもしれないな。
そしてもう一つ、〈幻想衣〉という体装備も必要だ。
別に〈幻想衣〉じゃなくちゃいけないという話ではなく、必要なのは装備カテゴリー〈呪われた〉系のフル強化された装備だ。
ドロップで手に入った時は〈呪われた◯◯〉という名前の装備で、強化すると装備品として使える物になる、〈錆びた〉系や〈未覚醒な〉系と同系統の装備だ。
強化する〈装備強化玉〉が勿体ないのでフル強化済の装備を〈交換所〉で手に入れた訳だな。
上級ダンジョンから〈呪われた〉系の装備がドロップすればそれを強化しても良かったのだが、残念ながらボス周回がまだな俺たちには〈呪われた〉系はまだドロップしていないので代用。
〈幻想衣〉を装備したラクリッテに〈
「〈宝玉〉。本当に使っても良いのですか? 今すごい値段で取引されていると聞きますが!?」
「問題無し! 使っちゃってくれラクリッテ」
「は、はい!」
宝玉を手に持つラクリッテがオドオドを加速させていた。
うむ。〈上級転職チケット〉回収組織、〈ハンター委員会〉を立ち上げた影響かは知らないが、実は最近、上級高位職の特殊系に就くために必要な〈
特に〈宝玉〉なんてこの前チラっと値段見たらやべえ金額になってた。前買ったときのお値段から二桁くらい変わってたんだよ。極端過ぎる!
お値段が安かったあの時に買い占める勢いで買っておいて本当によかったぜ。
あれ? ……買い占め……俺のせいじゃないよな? うん。
つまりそういうことだ。
「俺は〈宝玉〉を安く仕入れていたのでラクリッテが遠慮する必要はないぞ!」
「お安いときにたくさん買っておくなんて、さすがゼフィルスお兄様なのです!」
「勇者だからな!」
ルルのキラキラした視線に俺は浄化されそうなくらい気持ちよくなった。
「つ、使います」
ラクリッテはふるふる震える両手でワールドカップトロフィーのようなそれを受け取り、使用する。
〈天杯の宝玉〉が粒子化して解け、そのままラクリッテに吸収されるように消えていった。
「よし、メルト」
「ああ。これだ。持てるか?」
「だ、大丈夫です」
「ダメそうなら杖を支えにしてもいいぞ」
「ありがとうございますメルトさん」
メルトから両手杖を受け取って装備したラクリッテ。今思ったが、ミサトの片手杖の方が良かったかもしれない。これは言わないでおこう。
準備が完了したので最後に〈ラクリッテ〉へ〈上級転職チケット〉を渡す。
「良し、ラクリッテ、準備は完了だ。これを持って〈竜の像〉に手を載せ【ラクシル・ファントム】を選んでくれ」
「は、はい!」
俺たちが固唾を呑んで見守る中、ラクリッテが両手杖を片手と肩で持ち、チケットを受け取って〈竜の像〉の上に手を置いた。
「あ、出てます。【ラクシル・ファントム】出ています!」
「よし、ラクリッテ、間違えないようにな」
「は、はい! 【ラクシル・ファントム】を選びます!」
震えるラクリッテがそれをタップして宣言すると、他のジョブ一覧が消え、【ラクシル・ファントム】だけがクローズアップして残った。
そしてラクリッテの周囲にエフェクトが巻き起こる。演出の始まりだ。
「わ、わわ、わわわわ!?」
「こ、これは、覚醒の光か!」
「知ってるのかメルト?」
覚醒の光? 俺の知らない言葉が出てきた。
これは高位職、高の上に〈
【ラクシル・ファントム】は「狸人」の
「ゼフィルスは知らないのか? これは覚醒の光と言って、これを身に宿した者は英雄に近い力を得ると言われている。俺も初めて見た」
「なるほど」
〈
なるほど覚醒の光か。ラクリッテの周りで躍る薄緑色の光を見てなるほどと頷く。覚醒っぽい。
俺も今度から覚醒の光と呼ぼう。
そして、ラクリッテの覚醒の光が止む。
瞬間、ノエルがラクリッテに抱きついた。
「ラクリッテちゃんおめでとうー!」
「わっぷ!? の、ノエルちゃん!? あ、ありがとうね」
ノエルを筆頭に〈
「おめでとうラクリッテ」
「おめでとうなのです!」
「まさか覚醒の光が現れるなんてな。おめでとうラクリッテ」
「み、みなさん、ありがとうございます!」
ペコペコ頭を下げてお礼を言うラクリッテにほっこりする。
杖をメルトに返し、ラクリッテが下がると、
「次はルルの番なのです!」
ヒーローの出番だ。
「ゼフィルスお兄様、ルルは何に就けばいいのです?」
「おう、ルルに就いてほしいのはな、ヒーロー系最強
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