第835話 〈交換所〉出発! まずは発現条件を確保する!
非常に悩ましかった〈
正直、ノエル、シェリア、レグラムの3人は誰が上級職になってもおかしくはなかった。
今回見送りとなったシェリアやレグラムはアタッカー特化型で非常に強い。
上級や最上級ではこの火力はとても重要なものとなる。
特に2人の上級職は火力ランキングで上位に来るからな。
とはいえ、2人の真骨頂は〈五ツリ〉からなので今すぐ欲しいというわけではない。
なら、タンクやヒーラーを先に選ぼう。要は優先度の問題だった。
「シェリアもレグラムも次は選ぶつもりだから、それまで待っていてくれ」
「絶対ですよ? 破りましたらひどいですからね? サトルみたいになりますよ?」
「へ? どういうこと?」
「構わない。それまでにしっかり自分の
「ではレグラム様参りましょう。今日はデートですわ」
「いや、今日も5人パーティでダンジョンだぞオリヒメ?」
シェリアはルルを抱っこしながら覗き込むようにチラッと見て妙なことを口走る。いきなり名前を呼ばれたサトルがハテナを連発していたよ。
レグラムのほうは本当に気にしていないようだ。
シェリアよ安心して欲しい。シェリアの上級職は鬼強い。絶対次辺りに〈
発表後メンバーを解散して、俺と6人は〈
発表したが吉日。すぐに〈
この日のために色々準備を進めてきたのだ。
しかし、発現条件に足りないものが少しあるので、先に〈交換所〉へと向かう。
「ここは、初めて来たのです! 何だかとても豪華なのです!」
「おお! これは綺麗な直刀なのデース。でも
〈交換所〉は豊富な品揃え、知る人ぞ知る老舗みたいな雰囲気の場所で、店内には多くの装備が飾られていた。
ここにあるのはどれも中級産以上で〈銀箱〉以上のレア度が高い物だけだ。
最近は上級産の品も少しだが扱い始め、とても人気が高まっていた。
店内を物色する学生の数は多い。
俺たちが店内に入ると、全員が思い思いに店内を見始めた。ルルとパメラのテンションが高い。
〈交換所〉ではQPでのみの支払いでとても高額なため、あまり来るメンバーはいないのだ。物珍しいのだろう。
俺も店内を物色していると、なんだかヒソヒソとした声が聞こえてきた。
「お、おい、あれは〈エデン〉一行だぜ」
「あのレイドボス戦で大活躍した!?」
「ギルドマスターの勇者氏がここに何の用なんだ? まさか、上級装備目当て!?」
「確か学園祭では〈エデン〉ががっぽりと報酬を受け取ったはずだ。おそらくその関係だろう」
「あ、なるほど」
「くっ、俺もああなりたい!」
「ルルちゃんが可愛い」
なんだか注目を集めてしまった。
ふっふっふ、学園祭で大活躍してしまったからな。
察しの良い者は気が付いている様子だが、ここには〈ヘカトンケイル〉戦の報酬を受け取りに来たのだ。
俺たち〈エデン〉は上位入賞者多数なのでがっぽりと報酬が手に入った。
QPもウハウハだ。
さらには賞品も出る。
俺は優勝賞品の〈煌めく夜空の腕輪〉をゲット。
そして上位4位~10位までは〈交換所〉で使える〈交換券(上下)〉が与えられていた。これは〈交換所〉で
まあ、〈交換所〉に並んでなかったら交換できないんだけどな。
ちなみに11位~100位までは〈交換券(中上)〉が、100位~300位までは〈交換券(中中)〉が、301位~500位までは〈交換券(中下)〉が与えられている。501位から下は参加賞だ。
俺は店員さんの前まで進んだ。
「いらっしゃいませ。何をお求めかお決まりですか?」
店員さんがカタログを差し出しながら聞いてくれるので答える。
「報酬を受け取りに来たんだが、〈幻想衣〉と〈賢者の石〉、あと〈ヒーローの変身ベルト〉が欲しい。学園長には押さえてもらっていたはずだ。それと、〈スポットライトステージ〉はあるか?」
そう言って〈学生手帳〉を出すと店員さんは素早く対応してくれた。
「Cランクギルド〈エデン〉のゼフィルス様ですね。はい、承っております。〈スポットライトステージ〉も在庫はございますね。では〈交換券〉をご提示ください。もしくはQPで支払われますか?」
「いや、〈交換券〉で頼む。ラクリッテ、メルト、ルル、ノエル、〈交換券〉を出してくれ。〈ヒーローの変身ベルト〉だけ上級品だからちょうど良かった」
「そ、それを交換されるのですか?」
「これが例の〈賢者の石〉か。ではゼフィルス、これを使ってくれ」
「おおー! これはいかしたベルトなのです! ルルのチケットと交換なのです!」
「何これかっこいい! このステージもドロップ品なの!?」
「良し。じゃあ、このチケットで頼む」
「畏まりました」
4人を呼び寄せて〈交換券(中上)〉を渡してもらう。ルルだけ〈交換券(上下)〉だ。ルルの順位は5位だったからな。これが『小回り剣技』の力よ。
また、カタログの〈スポットライトステージ〉を見てからノエルのテンションが高い。
そこには円形の小さなステージ、どういう原理なのか空中にライトを照らすスポットライトが浮いており、小さなステージに乗った人を照らしてくれる、持ち運び型コンパクトステージだった。
なお、これは見栄えを良くするだけで特に効果は無い。インテリア系に近いアイテムだ。
ノエルはこれが〈
他の三つも学園長に前もって抑えてもらっていたので回収することに成功する。
「ありがとうございました」
「また来るよ~。――さて、準備完了。次は測定室に行くぞ!」
「もう終わりなのです!? ラジャなのです!」
「兵は迅速を尊ぶと言うデース」
出発を言って回るとルルとパメラがなぜか敬礼した。ロリの敬礼姿が可愛い。
あとパメラ、迅速じゃなくて神速だぞ。迅速の方が現実的かもしれないが。
「別に私たち兵じゃないよパメラちゃん」
「物足りなければまた来るといいだろう。俺ももう少し見てみたいからな」
「それってもしかしてデートのお誘いなのメル君!?」
「……言うと思った。あと俺のことをメル君と呼ぶな」
ミサトとメルトは相変わらずだ。どうやら後日一緒に〈交換所〉を回るらしい。それってデートでは? と思うがスルーしておく。
今日はこれから〈
測定室に到着すると「順番は?」という話になり、じゃんけんでラクリッテが1番に決まる。
「うちが1番!? え!? いいのかな」
「ルルが2番なのです!」
「私は3番デース!」
「よし、順番は決まったな。ラクリッテ、じゃあ早速上級職へ〈
「ひゃ、ひゃい! お願いします!」
姿勢正しく気をつけのポーズでガッチガチになっているラクリッテへ、俺は宣言した。
「よし、ラクリッテに就いてほしい上級職は高の上、――【ラクシル・ファントム】だ」
それは幻影妨害タンクとも呼ばれる【ラクシル】から伸びる特殊ルート。
盾防御と幻影妨害を備えた、より強固なタンクへと発展してほしい。
――――――――――――
後書き失礼いたします。
本日11時より、TOブックスコロナEXにて〈ダン活〉コミカライズの第6話が公開予定です!
よろしければ、読んでいただけると作者とても嬉しいです!
今後も〈ダン活〉をよろしくお願いいたします!
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