第699話 判明、中級上位ダンジョンの全ての名称!




 翌日の日曜日。

 今日はフリーの日だ。しかも、今日は上級ダンジョンに行くメンバーたちが全員空いている日でもある。素晴らしい日だ!


「ということで今日は、中級上位ダンジョンの一つを攻略したいと思う!」


「何がというわけで、なのよ。それと、一日で攻略する気なの?」


 おお! シエラのジト目だ。久しぶりかもしれない! ありがたやありがたや。

 いや、ちょっと言葉足らずだったな。別に今日一日で攻略する気はない、ちゃんと分割するさ。別にシエラのジト目が見たくてわざと言葉足らずにしたわけではないぞ。


「まあ出来る限り進めるということで。目的は上級下位ダンジョンへの進出だ。でも今すぐ行きたいというわけではないからな。じっくり準備してから行きたい」


 俺たちの目的の一つ、上級ダンジョン。その入門口となる上級下位ダンジョンだが、入ダンには中級上位ダンジョン5箇所の〈攻略者の証〉が必要だ。


「現在俺たちがゲットしている証はランク7である〈鎧獣よろいじゅう鉄野てつのダンジョン〉とランク8である〈強者の鬼山ダンジョン〉の二つだ。攻略途中なのがランク4の〈芳醇の林檎ダンジョン〉、こちらは20層までクリアしているな」


 つまり上級下位ジョーカー入ダン条件は約半分をクリアしているというわけだな。


 ここギルドハウスに集まったラナ、エステル、シエラ、カルアに現状を説明しつつ再確認する。


「じゃあ今日は〈リンゴダン〉に行くの!?」


 身を乗り出して聞いてくるラナ。相変わらず分かりやすい。


「それもいいけどな。今回は別のダンジョンに行こうと思っている。レベル上げは最後のダンジョンで仕上げたほうがいいから後回しで、攻略優先で行きたい」


 効率を求めるなら最後の5つ目のダンジョンをクリアする際、ボス周回でレベルを一気に成長限界の上級職LV15まで持っていきたいところだ。

 成長限界になると経験値がもらえなくなるので勿体無いからな。


「そうね。ということは、最後はランクの高い・・・・・・ダンジョンに挑むのね?」


「シエラは察しがいいな。ああ、5つ目に攻略するダンジョンはもう決めている。ランク10、〈宵闇よいやみ祭壇さいだんダンジョン〉。ここで周回しようと考えている。最大で上級職LV15まで上がるからな。経験値も美味しいし、ドロップも美味しいダンジョンだ」


 やっぱ最後は難関突破だよな。その方がかっこいいし達成感もある。

 それに今言ったように一番難易度が高いのでその分経験値が美味しいし、ドロップもむちゃくちゃ美味しい。ここ重要。


 中級上位ダンジョンで育てられる限界値のLV15まで最終調整するなら一番適したダンジョンだ。

 故に最後まで取っておく。


「〈宵闇の祭壇ダンジョン〉。聞いたことがありますね。日が沈む直前の薄暗い環境に篝火かがりびで囲まれた祭壇のみがあるという、特殊なダンジョンだとか」


「そうそうエステルの言うとおりだ。最終的にそこでレベルの上限まで持っていく予定だから、今日は残り一箇所を決めたいところだな」


「なるほどね」


 俺の話に納得したように頷くシエラ。

 これで残り攻略しなくちゃならない三つのダンジョンのうち、二つが決まった形だ。残り一つを今日決めて挑みたい、という話だな。


「カルアは、話についてこれているか?」


「ん。大丈夫。ダンジョンでは本気出す」


「それって話についてこれてないってことじゃね?」


 まあいい。カルアは希望するダンジョンは無いってことだな。あとでまた説明はしよう。


「それでどこのダンジョンにするの? やっぱりランク9のダンジョンかしら?」


「いや、ランク9の〈猛禽もうきん渓谷けいこくダンジョン〉は飛行型モンスターの山だ。遠距離アタッカーがいる。このメンバーじゃちょっと難しいんだ」


 このメンバーは近距離戦特化、ランク9を攻略したければ遠距離攻撃のアタッカーが必要だ。

 選ぶとすればランク6以下のダンジョンだな。ただ――、


「ランク1〈夏日の荒野ダンジョン〉。ランク2〈角兎の庭園ダンジョン〉。ランク3〈猪突の猛進ダンジョン〉は聞いたことがありますがレベルが上がりませんしね」


「それなんだよな」


 ランクの低いダンジョンは経験値量も少なく成長限界であるLV上限も低い。

 俺たちのメンバーはLV8~LV11。しかしランク1~ランク3までのダンジョンだとLVは8までしか上がらないのだ。ちなみにランク4~ランク7が上限LV12、ランク8~ランク10が上限LV15、という形になる。


 この学園ではランク8以上はギルドランクが高い者しか挑めない、みたいな風潮がちょっと前まであったようだが、これのせいだな。


 おっと、話が脱線したが、ランク1~ランク3まではちょっと無しだ。

 俺たちのレベルが上がらない。


「なら2択じゃない。ランク5の〈四季の妖精ダンジョン〉かランク6の〈無人の巨城ダンジョン〉でしょ?」


 ここがデリケートな部分だ。俺が勝手に決めず、メンバーを集めた理由でもある。特にシエラ。


「〈無人の巨城ダンジョン〉には悪霊やらスペクターが結構出てくるんだが――」


「〈四季の妖精ダンジョン〉にしましょう」


 シエラが珍しく被せ気味に即答した。

 やっぱりシエラは幽霊がまだ苦手のようだ。俺の言葉を途中で遮って一瞬で決まったよ。

幽霊ゴースト〉系はRPGの定番だからな。10個もダンジョンがあれば大体1つくらい〈幽霊ゴースト〉が多く出るダンジョンが存在する。


 しかしランク6というだけあって結構美味しいダンジョンで、上層だと洋館から始まり下層に行くほど洋風のお城のような形に徐々に変化していくダンジョンだ。デカイ洋風の城なのに無人で静か。なぜか絵画や甲冑が多く並んでいるという、もう完全に何か出そうな雰囲気がバンバン出ているダンジョンだ。実際出るし。


 うん、シエラは行かないほうがいいかもしれないな。

 洋風のお城なので隠し扉が多くて当たりも多いんだけどな。仕方ない、また別の機会に挑もう。


「よし、決まりだ。今日は〈四季の妖精ダンジョン〉に行くぞ!」


「「「「おおー!」」」」


 消去法で決まってしまったが、なに問題ない。〈四季の妖精ダンジョン〉にも結構色々有用な素材やらが落ちている。

 特に注目すべきはHPとMPを両方回復できる〈薬用キノコ〉だ。

 是非ハンナ用に確保したいところだな。


 俺たちは早速〈中上ダン〉へと向かったのだった。




 ―――――――――――

 後書き失礼いたします! お知らせ!


 昨日、TOブックス コロナEXにて〈ダン活〉第4話が更新されました!

 ラナとマリー先輩、そしてメリーナ先輩が初登場!

 読み終わったらGOODを10回押してくださるととても嬉しいです!


 よろしくお願いします!


 中級上位ダンジョンの名前と通称名を記載。

 ランク1〈夏日の荒野ダンジョン〉通称:〈夏ダン〉

 ランク2〈角兎の庭園ダンジョン〉通称:〈兎ダン〉

 ランク3〈猪突の猛進ダンジョン〉通称:〈突ダン〉

 ランク4〈芳醇の林檎ダンジョン〉通称:〈リンゴダン〉

 ランク5〈四季の妖精ダンジョン〉通称:〈妖精ダン〉

 ランク6〈無人の巨城ダンジョン〉通称:〈妖館ダン〉

 ランク7〈鎧獣よろいじゅう鉄野てつのダンジョン〉通称:〈鉄獣ダン〉

 ランク8〈強者の鬼山ダンジョン〉通称:〈鬼ダン〉

 ランク9〈猛禽もうきん渓谷けいこくダンジョン〉通称:〈猛禽ダン〉

 ランク10〈宵闇の祭壇ダンジョン〉通称:〈さいダン〉



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