第649話 第四アリーナ、〈12つ星〉フィールド!
ギルドバトル当日。
今日も清々しい朝だ!
今日の試合は朝一番で組まれたもので、10時より開催される。
どこでこの情報を聞いたのか観客席には人が溢れているんだが……、どうしてこんなに集まってるんだ?
しかし、ギルドバトルを勉強することは良いことだ。みんな勉強熱心なんだなぁ。
さて、本日開催場所は第四アリーナ。
Cランクギルドバトルによく使われるアリーナで、俺たちにとって初めて利用する場所となる。当然ながら今までギルドバトルをしてきたアリーナの中でも一番大きく、マスの数も豊富だ。
今回のルールは、〈城取り〉〈15人戦〉、そして〈12つ星〉フィールドだ。
〈12つ星〉ってなんだよってなるが、多分5つ星とかの延長線上の名前だと思われる。
そして障害物観客席も有りなフィールドだ。
この〈12つ星〉フィールドも久しぶりだな。
第四アリーナの時しか使わないからフィールドの中でもマイナーなフィールドだ。
当然俺たち〈エデン〉も初だし、元Aランクにいた〈テンプルセイバー〉にとっても初か久しぶりのフィールドのハズだ。
その辺、相手が極端に有利にならないように学園長たちが平等にしてくれている。
しかし、フィールドは広く、障害物もあるにはあるが少なく、機動力に自信のある相手には中々に悪くないフィールドだ。つまり、騎乗する騎士にとって〈騎獣〉や〈乗り物〉を走らせやすいフィールド、ということだ。
腕が鳴るな。
朝10時の少し前、いよいよ〈テンプルセイバー〉と顔合わせだ。
控え室に集まっていたメンバーに向くと、拳を上げるポーズで聞いた。
「さて、いよいよギルドバトルだ! 皆、気合いは十分かぁぁぁ!!」
「当り前じゃない! 私の〈白の玉座〉は渡さないわ! けちょんけちょんにしてやるわよ!」
「テンション高いわね」
「凜々しいです、ラナ様」
どうやらメンバーのテンションには違いがある模様だ。
ラナは気合い十分で、シエラはいつも通り冷静沈着。
エステルは燃えるラナを見つめて片手を頬に当ててうっとりしていた。
「クスッ。なんだかみんな変わらないですね」
「だねぇ。ぼくはこの〈エデン〉の雰囲気こそが強みだと思っているよ」
「ああ。それにはまったくの同感だよ。この雰囲気いいよねぇ」
「なんやうちら参加できんのがちょい寂しくなるけどなぁ」
ハンナ、ニーコ、カイリ、アルルの生産支援組が俺たち参加メンバーを見て和んでいた。
これから〈決闘戦〉であり、元Aランクギルドと戦うというのに、和みすぎでは無かろうか?
「みんな頑張ってねー!」
「応援してるからー!」
「私たちの分まで勝って来てくれ!」
ほら見ろあの仲良し3人娘を。アレこそが正しい姿じゃないだろうか?
応援プリーズ!
「応援ありがとう! 任せてくれ! 絶対勝ってきてやるぜ!」
「「「きゃー!」」」
応援に手を振り返したら黄色い声をいただいた、俺はとても気分が良くなった。
「わ、わたくしがちゃんと指揮いたしますのでご安心ください!」
「私も、騎馬突撃なんて全て受け止めてあげるわ」
おう、リーナとシエラの意気込みが上がったぞ。応援の成果だ。もっと応援プリーズ!
そうちょっと騒いでいると、呼び出しの放送が流れる。
「ギルド〈エデン〉はフィールドにお越しください」
「おっと呼ばれたな。皆、行くぞ!」
「「「おおー」」」
時間になったので控え室から15人でぞろぞろとフィールドへと進む。
ハンナたちは本拠地に近い観客席へ移って観戦だ。
俺たち出場者たちがフィールドに出ると、歓声と声援の雨が降り注いだ。
「きゃーきゃー! 出てきたわ!」
「ギルド〈エデン〉だ! 先頭は、ギルドマスターのゼフィルス氏だ!」
「1年生ギルドの期待のルーキー!」
「もうルーキーじゃないだろう。最強の1年生ギルドだ!」
「勝てー! 負けるなよ〈エデン〉! 〈テンプルセイバー〉を倒して1年生最強を見せつけてやれー」
「ゼフィルスさん、堂々としていてかっこいいわぁ」
「これから元Aランクギルドと戦うのに動じなさすぎるでしょ!? 本当に1年生!?」
「他のメンバーも凄いわ。勇者君の影響か動じている人は全然居ないわよ。さすがは1年生最強ギルド〈エデン〉ね!」
「本当に、こんな時期でCランクギルドに挑むなんてマジヤバい。〈エデン〉ってどこまで行くの!?」
「それを見守るのが私たちじゃない!」
「オーイエー!!」
すごい熱の入った声援だ。
まあ1年生最強ギルド対元Aランクギルドの〈決闘戦〉なんてカード、盛り上がらない方がおかしいか。
ふっふっふ。注目を集めるってなんだか楽しいなぁ!
俺は背筋を伸ばし、堂々とメンバーを引き連れて先頭を歩き、肩で風を切って定位置へと向かう。ただそれだけでなんだか名声が上がっているような気がするのだからちょっと楽しい。
今回、フィールドの中央には障害物の観客席が建っているため相手チームとの顔合わせは北側の広いエリアで行なわれることになった。
ちなみに俺たち〈エデン〉の本拠地はいつも通り白チームで、北側にある。
〈テンプルセイバー〉は赤チームで南側だ。
先に審判の人に定位置に案内されて待っていると、彼らは現れた。
―――〈テンプルセイバー〉。
15人のメンバー達。
それを見た最初の印象は、装備が豪華。
見たところ、全員が
この世界、〈公式裏技戦術ボス周回〉が無い中、よくこれだけの装備を集めたなと感心する。
先頭を歩くのは〈テンプルセイバー〉のギルドマスター、レナンドル先輩。
その後ろにはカサンド先輩も見えるな。
タバサ先輩は、いない。当り前だ。その代わりヒーラーっぽい装備の人が3人ほどいるな。
確か、〈テンプルセイバー〉は〈白の玉座〉を失ってから回復に難があるという話を聞く。
つまりヒーラーを多く入れることでその問題を解消しに来たわけだ。ユミキ先輩の調査では〈ホワイトセイバー〉のヒーラー3人を〈テンプルセイバー〉に昇格させたと聞いたが、情報通りだな。
ふむ、しっかり自分の弱点を見つめている様子だ。
しかし、それも仕方が無いのかも知れない。〈テンプルセイバー〉には後が無いのだから。
もう崖っぷちだ。
学園長とユーリ先輩まで巻き込んだギルドバトルである。ただ負けるだけでもピンチなのに、みっともなく負けたとなったら本当にギルドの名声は地に落ちるどころか地面に埋まって出てこなくなってしまうだろう。
崖っぷちの高さが急上昇中だった。落ちたら地にめり込む。大変危険な崖にグレードアップだ。
そんなことを考えていたら定位置に〈テンプルセイバー〉が到着していた。
〈エデン〉と〈テンプルセイバー〉が横一列に並び、互いの顔を見せ合う。
審判が手を挙げると、会場が一時的に静かになった。
「ではこれより、ギルド〈エデン〉と、ギルド〈テンプルセイバー〉の〈決闘戦〉を行なう。互いによく奮闘せよ、礼!」
審判の言葉と共に俺たちが礼をすると、会場はまた歓声が上がる。
レナンドルギルドマスターとカサンド先輩が俺たちの格好を見て何か言いたそうだったが、結局何も言わずに口を閉じて南側の赤チームの本拠地へと向かっていった。
俺たちも白チームの本拠地へと向かう。
向こうの〈テンプルセイバー〉も含め、本拠地に出場者全員が入ったら、俺たちのギルドフラッグを本拠地へと突き立てる。
さてカウントダウンの始まりだ。
―――――――――――――
後書き失礼します。
近況ノートに添付で図を貼り付けました! こちらからどうぞ↓
https://kakuyomu.jp/users/432301/news/16817139555671678055
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