第638.5話 学園・情報発信端末・誰でもチャット掲示板52




420、名無しの調査3年生

 速報よ。

 二学期選択授業の臨時講師に再び勇者君就任したわ。


421、名無しの神官2年生

 ちょ、マジかよ!?


422、名無しの盾士1年生

 ガタッ! ついに来たわ!


423、名無しの商人1年生

 ガタッ! みんなにも教えなくちゃ!


424、名無しの女兵1年生

 ガタッ! 絶対に来ると思って準備していた勇者ファン結束の時ね!


425、名無しの調査3年生

 すでに勇者ファンにもグループチャットで報告済みよ。


426、名無しの錬金2年生

 ガタタタタッ!! 今度こそ名前以上のことを覚えてもら、いえ、それ以上のことだって! そしてギルドに誘われて、ごくり、大チャンスよ!


427、名無しの剣士2年生

 お、落ち着くっす!

 欲望が漏れまくってるっすよ!


428、名無しの支援3年生

 な、何事だ!?

 急に女子学生たちが職員室に押し寄せ――おおおおわ


429、名無しの神官2年生

 し、支援先輩?

 支援先ぱーい!?


430、名無しの剣士2年生

 何が起きたっすか!?

 支援先輩にいったい何があったんっすか!?


431、名無しの調査3年生

 …………支援はタイミングが悪かったわね。

 勇者ファンの子たちに通達よ、いくら急いでいたとしても勇者君に引かれることをするべからず。勇者君に好かれる女子を見せなさい。


432、名無しの神官2年生

 え? いやいやいや、状況よく分からんけど今の状況で掲示板を見るわけが――。

 って止まった!?


433、名無しの魔法使い2年生

 競歩状態なのだわ。

 みんな早歩きすぎるわね。

 同じく掲示板を見て集まってきたと思われる人たちがそれを見て二の足を踏んでるわ。いえ、おののいているのかしら?


434、名無しの盾士1年生

 私たちは勇者ファンよ。

 走ったり騒いだりなんて、そんなはしたないことはしないわ。


435、名無しの女兵1年生

 そして私たちは第一期生。

 もう勇者君の一番弟子と言っても過言では無いわ。

 つまり私たちの行動が勇者君の品位に直結すると言って良いもの。


436、名無しの剣士2年生

 だいぶ過言だと思うっす!


437、名無しの神官2年生

 いや、まあ、そう思うのは勝手じゃないか?

 おかげで先ほどの、なんだ、支援先輩を襲ったと思われる津波のような何かは収まったんだ。良い事なんだよ多分。


438、名無しの斧士2年生

 しかし凄まじいな。

 俺も偶然職員室の近くを通りかかってここで状況を見守り続けているが、

 女子の勢い、……迫力が凄すぎて男子がまったくと言っていいほど入れない。


439、名無しの剣士2年生

 あの、いったい何がどうなってるっすか?

 説明を求めたいっす!

 いつも説明をしてくれる先輩はどこに行ったっす!?


440、名無しの調査3年生

 仕方ないわね。支援が出てこられないのは私にも原因の一端があるから今日は私が担当するわ。


441、名無しの剣士2年生

 おお! 調査先輩っす!

 よろしくお願いしますっす!


442、名無しの調査3年生

 まず端的に言うと今のこの騒ぎは勇者君がする二学期の選択授業、その申し込みに殺到してる学生たちね。


443、名無しの神官2年生

 ちょっと端的すぎ!?

 勇者ファンが先頭になって職員室が大混雑しているんだが?

 というか、誰か職員室内部の情報が分かる人いませんか!?


444、名無しの斧士2年生

 そういえば先ほどから冒険者の奴が見えないな。

 いつもなら呼ばれてもいないのになぜか中心地にいてやられてしまうのに。


445、名無しの神官2年生

 さすがに冒険者も学習したんだろう。

 あの波に首を突っ込んじゃいけないぜ。HPがいくつあっても足りる気がしない。

 しかし、確かにいつもならすぐに現れるくせにさっきから見ないな。


446、名無しの錬金2年生

 冒険者ならさっき倒れてるのを見たわ。


447、名無しの神官2年生

 …………遅かったか。


448、名無しの剣士2年生

 ごくりっす。

 まさか支援先輩もっすか?


449、名無しの調査3年生

 それはともかく。

 今情報が入ったわ。


450、名無しの神官2年生

 それはともかく!?


451、名無しの調査3年生

 これは……、ちょっと荒れるかも知れないわね。

 どうやら二学期の〈育成論〉の授業だけど。

 一学期に参加した人は参加出来ないらしいわ。


 ・

 ・

 ・


622、名無しの盾士1年生

 うう、こんなのあんまりよー!


623、名無しの女兵1年生

 私たちは勇者君講義の第一期生なのよ、私たちがいないと授業が始まらないわ!


624、名無しの剣士2年生

 いえいえいえっす。別に第一期生さんたちがいなくっても授業は始まるっすよ。


625、名無しの魔法使い2年生

 みんな荒れているのだわ。

 私も少し聞きかじったのだけど、やっぱり〈転職制度〉を利用していて、前回〈育成論〉の受講者じゃない、というのが条件みたいね。

 あと2年生と3年生が対象だとも書いてあるのだわ。


626、名無しの調査3年生

 順当な理由ではあるわね。

 勇者君の授業待ちの人は多いから。


627、名無しの盾士1年生

 もう私は第一期生全員集めて愚痴り大会やるわ。飲むわよ。

 商人ちゃん、場所とジュースお願い~。


628、名無しの商人1年生

 はいはい。用意しておくわ。

 場所が決まったらグループチャットに流すね。


629、名無しの女兵1年生

 私は第一期生全員に連絡取るね~。


630、名無しの剣士2年生

 あそこは仲いいっすね。これで一件落着っすか。


631、名無しの神官2年生

 錬金以外はな。


632、名無しの斧士2年生

 何人か〈秩序風紀委員会〉に連れて行かれてたからな。

 抗議のしすぎで。


633、名無しの神官2年生

 俺たちの目的は講義であって抗議ではないんだがな。

 錬金のやつ、最後まで抵抗して連れて行かれちまったぞ。


634、名無しの斧士2年生

 ずっと現場を見ていた俺なのだが、

 なぜか捕まる方も捕まえる方も慣れている感があって不思議だった。


635、名無しの神官2年生

 常連……。


636、名無しの調査3年生

 まあ、明日には釈放されるでしょ。

 結局勇者君の〈育成論〉の応募は締め切っちゃったからね。

 応募、1時間で千通を超えたらしいから。

 応募用紙の棚がすっかり空っぽになっちゃってるわ。ちょっと面白いわねこれ。


637、名無しの神官2年生

 冒険者、また間に合わなかったのか。


638、名無しの冒険者2年生

 あの俺、なんで保健室で寝てたんだ?




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