第499話 上級職ランクアップ! カルア編!
「次はカルアだな」
「……ん。出番……来た?」
「待たせて悪かったな。だから起きてくれ~」
信じがたいことに、待ちくたびれたのか立ったまま寝に向かっていたカルアを揺すって起こす。
静かだと思ったらうつらうつらしていたらしい。
どうやったらそんなことができるのか、ちょっと気になるぞ。俺も出来るソレ?
「ん、準備万端。いつでも――ふわぁ――ふぅ、いける」
「むっちゃあくびしてたけどな?」
まあカルアが良いと言うなら行きましょう。
ラナたち〈姫職〉組、いや〈上級姫職〉組はキャッキャとハンナを祝い、さらに上級職について少ない情報を交換しているようだ。
仲良きかな仲良きかな。
後でさらなる最強育成論をプレゼントしよう。
下級職ではたどり着けなかった高み、四段階目ツリーについての説明もある!
楽しみだ。
しかし、今はカルアの〈
「カルアに就いてほしい
「ん。おけ」
「軽いなカルア」
「【スターエージェント】は最速最強。断る理由無し」
どうやらカルアは「猫人」の上級職が一角、【スターエージェント】を知っているようだ。
実はカルアの上級職の選択肢はかなり広い。
カルアの持つカテゴリーは「猫人」「獣人」。
つまりカルアは「獣人」の方の上級職へ〈
獣人系のカテゴリー持ちはその分かなり選択肢が多い。
しかし、カルアはこのまま正規のルートたる【スターエージェント】への〈
ここで「獣人」の【ビーストマスター】がいい、とか言われなくてよかったぜ。
――【スターエージェント】。
速度に特化している【スターキャット】の上級職で、【スターキャット】をさらに強力にした感じとなっている。短剣二刀流での素早い攻撃に回転力のあるスキルの連打が魅力のアタッカーがさらに磨きが掛かるのだ。
回避能力も高く、【スターキャット】の時以上に回避する、前衛に組み込んでも全然当たらないため使いやすい
さらに探知、索敵、罠突破、地形突破、インビジブルも可能で活動範囲も広いため斥候としての能力も非常に高い。さらには敵集団を離れた場所から観察するスキル『ピーピング』や、眷属を召喚するスキル『エージェント猫召喚』を新しく憶え、エージェント的能力を新たに覚醒させた優良職だ。
ふむ。〈上級姫職〉とは違い高の中レベルの
「でも団のみんな、憧れの
「そいつはよかったぜ。断られたらどうしようかと思った。早速始めるか」
いや、本当によかった。
カルアの気が変わらないうちに〈
獣人系は普通の一般
有名処では、大罪系
当然のように高位職、高の上でめちゃくちゃ強いのだが、AGI型の【スターキャット】からの〈
「ん。お願いする」
「まず渡すのが、これだな。〈風の結晶〉だ」
俺は〈
上級職、高の中に就くために必要なのがこの〈結晶〉系アイテムだ。
見た目はトランプのマークであるダイヤ型で透き通った水晶のような形をしている。
15cmはあるので結構な大きさだ。
〈風の結晶〉は色が翡翠色に淡く光っており、中心に光球が輝いている。
とてもキレイなアイテムだ。宝石に近いかもしれない。〈結晶〉系アイテムってなんでこんなに無駄にキレイなんだろうな。おかげで無駄にすごい値段だった。
使用すれば消える消費アイテムに宝石的価値を付けるのやめようぜ!? 〈結晶〉系アイテムだけゲームの時よりお値段高かったんだけど!
俺はそれを今一度見つめ、内心でもやっぱきれいだなぁと思いつつ、カルアに渡した。
カルアはそれをむんずと掴むと、――そのまま速攻で使った。
「あぁ……」
なんだか俺の口から悲しい声が漏れた。
美しき宝石がエフェクトに消え、溢れた粒子がカルアに吸収されて消えていく。
「ゼフィルス? どうしたの?」
「……いんや、なんでもない。次いくか」
お高いアイテムが消えていく光景にちょっと切なく思ったがそれを振り払い、次の工程へと進む。
「次は何をすればいいの?」
「いや、もう【スターエージェント】の発現条件は満たせているはずだ。後はこの〈上級転職チケット〉を使ってみな」
「ん?」
カルアがみんなみたいなカッコイイ装備とか着けなくて本当にいいの? みたいな目で見つめているが、【スターエージェント】はそういうのが無いので問題ない。
スキルもステータスも良い感じに育て終わっているからな。
少し難しいのが【STR350】以上という条件だ。
【スターキャット】は〈制限〉で【AGI】を強制的に7ポイントも振られるため、実質12ポイントしかステータスビルドを振り分けられない。
その少ない数値をSTR特化で伸ばした先に【スターエージェント】はあるのだ。
これで【AGI】を伸ばしていたら速度ばっかり速くて他が貧弱な弱々キャラが誕生してしまう、気をつけろ。
しっかり計画を練って【STR350】以上まで持っていくのがコツだな。
あとの条件は〈特定のスキルか魔法をLV○○まで育てる〉だったが、これも余裕でクリアしている。
ということで、〈風の結晶〉を使った後は、特にカルアにやってもらうことは無い。
「そう?」
ちょっと寂しそうな顔をしたカルアをよしよし撫でる。
先ほどからのノリでつい頭を撫でてしまったが、実は初めてネコミミを触ったことに気がついた。
お、おお、これが本物のネコミミ。意外にサラサラした手触りだ。
「ん」
「ゼフィルス、いつまでやってるの?」
シエラの不満そうな声にビクッとする。
いつまでも触っていたい手触りだったが、グッと我慢して手を引いた。
「あ、ああ。そうだったそうだった! これがカルアの分の〈上級転職チケット〉だ」
カルアに〈上級転職チケット〉を渡して、受け取ったカルアを〈竜の像〉の前に立たせた。
そのままカルアは〈上級転職チケット〉を持った手とは反対の手を〈竜の像〉の頭に乗せる。
「ん。【スターエージェント】ある。選んで良い?」
「おうよ。ドンと行け」
「ん、おけ。――【スターエージェント】」
俺のほうを向いてコクリと頷いたカルアが無表情のまま【スターエージェント】をポチっとした。
――カルアは、【スターエージェント】に〈
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後書き失礼します。
読者の皆様、今年一年、〈ダン活〉を愛読していただき、誠にありがとうございました。
本話で今年の更新は最後となります。
また来年も〈ダン活〉をどうかよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
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