第500話 上級職ランクアップ! ゼフィルス編!
前書き失礼いたします!
明けましておめでとうございます!
新年最初の話は、祝500話ジャスト! ハッピーニュー勇者!
ということでどうか今年も〈ダン活〉をよろしくお願いいたします!
ーーーーーーーーーーーーーーー
「やったわねカルア!」
「ぶいぶい」
ラナが〈
おお……、いつもは「ぶい」と一つしか言わないのに今回は「ぶいぶい」だ。
こう見えて、カルアは結構はしゃいでいるのかもしれないな。
表情も、よく見ればいつも以上に緩んでいるように見えるかもしれない。
俺も祝いの言葉を贈る。
「カルア、【スターエージェント】の〈
「ん。ありがとうゼフィルス。これで団のみんなにも自慢できる」
「就いただけじゃ自慢にならないだろう。いっぱい活躍しないとな」
「そうだった。ん、頑張る。上級ダンジョンもクリアする」
「おう、一緒に頑張ろうな!」
その意気や良し。
その後カルアもラナにだっこされて女子女子した空間にさらわれてしまった。
みんなから〈
カルア、よほど嬉しかったんだな。嬉しさが伝わってくるようだ。
一通り騒ぎ終わると、シエラの一言からついに俺の番となる。
「――ゼフィルスは、どんな
「あ、それ私も気になります!」
「ゼフィルスだもの、きっと色々とんでもない
「【勇者】の上級職ですか。【勇者】だけでも稀有であるのにその上級職、いったいどんな
「ゼフィルスも、ぶいぶい、する?」
シエラ、ハンナ、ラナ、エステル、カルアの順に俺に注目して言う。
ふふふ、気になるだろう気になるだろう!
では早速、刮目してもらおう!
「いいだろう! 俺の
俺は〈上級転職チケット〉を指で挟み、一瞬だけ決めポーズを取ったのち〈竜の像〉へ触れた。
ちなみに〈宝玉〉はもう使ってある。
せっかくの勇者の〈
それがこちらだ!
―――――――――――
〈上級転職一覧〉
低位職=星無し 中位職=☆ 高位職=★
【超勇者】★
【真の勇者】★
【救世之勇者】★
【真の魔王】★
【大魔王】★
―――――――――――
うむ。ツッコミは今は置いておけ。その振り上げた手を下ろすのだ!
――【魔王】入ってるやないかーい!!
いや、すまん。我慢できなかった。
プレイヤーはみんなこれを見るとツッコミを入れるのがお約束なんだ。許してほしい。
こほんこほん。
解説しよう。
下級職【勇者】からの上級ルートは五つ。
正規ルートの【超勇者】、反転ルートの【真の魔王】。
え? 正規ルートより反転ルートのほうが気になる? 実は俺も最初そうだった。
なので【超勇者】は置いといて、先に【大魔王】と【真の魔王】から行こうか。
――【魔王】系ルート。
これはあれだ。勇者と魔王は紙一重という言葉から来ているらしい。(そんな言葉が存在するのかは不明。でも意味は理解できちゃう)
要は、勇者は下手をすれば魔王にもなりうるという話だな。決して俺が魔王っぽいということではないはずだ。
この【魔王】系ルートに〈
さらにこの【魔王】系に就いている時しかできない専用の魔王イベントや魔王エンディングなんかも用意されていて中々味わい深かった。
あ、リアルではさすがにやらないぞ?
ちなみに【大魔王】は魔法型、【真の魔王】は近接物理型の
どちらに就きたいかは好みによるな。
さて、【魔王】はこの辺でいいだろう。【勇者】行くぞ、【勇者】!
【勇者】ルートは3つ、
正規ルートの【超勇者】、全体的に【勇者】を強化したような〈スキル〉〈魔法〉構成でオールマイティに活躍する強ジョブだ。正直言って普通に強い。
しかし、それを超えるのが【真の勇者】だ。
別名〈魔王を倒せし者〉とも呼ばれる、RPGなんかでは苦難の果てにラスボスの魔王を倒し終わった勇者に付けられる称号だが、〈ダン活〉では
まあ発現条件には〈魔王を倒せ〉なんてものは無いんだけどな。
能力は非常に強く、〈雷属性〉をベースとした〈スキル〉と〈魔法〉の攻撃力はとんでもなく、地形すら変える勢いの雷魔法の連打で敵を倒す、攻めに主体を置いたむちゃくちゃカッコイイ、じゃなくて非常に強力な
そして最後。これはゲーム〈ダン活〉時代の設定で、
その昔、この世界を救ったとされる古の勇者が、魔を打ち破り、世界に平和を築くために創ったとされる、最も古き、伝説の
この
能力的に見ると、【真の勇者】の方が攻撃特化型で強く、ゲーム時代では最も人気があった。かっこよさも【真の勇者】の方が人気で、雷の豪雨『ライトニング・ダンバー』(全体攻撃魔法)は最高にかっこよかった。
【
〈竜〉に乗った【勇者】は鉄板だしなぁ……。難しいところだ。
さて、話が脱線したが、【
ゲーム時代、この【
――〈救世イベント〉。これをクリアすると見ることができるエンディングだな。
そして、正直なところ俺は【真の勇者】を選ぶ気でいた。
使い慣れた
それに、逆説的な見方になるが、【
開発陣がむちゃくちゃ作りこんだ〈救世イベント〉、あれが実際起こると少々まずい。世界規模の大イベントになる。
それはそれで参加したくもあるが、君子危うきに近寄らず、という言葉もある。
俺が選ぶのは【真の勇者】だ!
―――そう、思っていた。『直感』が反応するまでは。
「おいおいおい、マジか……そっちを選べってか?」
「へ? 【大魔王】?」
「【大魔王】は選ばないぞ!?」
あぶねぇ。絶妙なタイミングで横からラナの驚きの声がしたからうっかり【大魔王】を選択するところだったじゃないかよ。
俺に【大魔王】は似合わないぜ。
――『直感』が反応したのは、【
俺にこっちを選べというのか?
「ゼフィルス君、どうしたの?」
「――ハンナ?」
現れたジョブ一覧の前で固まる俺に向かってハンナが不思議そうに首を傾げる。
「さすがのゼフィルスも【勇者】の上級職は初めて見るのでしょ。あなたが迷っている姿なんて、初めてみたわ」
シエラの発言に俺はすっきりした。
そうか、俺は迷っていたのか。
確かにこの世界に来てから迷ったのなんて初めてかもしれない。
俺を迷わせるとは、やるじゃないか(?)。
「でも、これが【勇者】の上級職……。王宮の重鎮が見たらおったまげそうね」
「それはそれで見てみたいですね」
ラナが顎に手を当てて感想を言うとエステルがクスリと笑う。
それは俺も見てみたいな。しばらく俺の
「でも本当に初めて聞くものばかりだわ……」
シエラが難しい顔で
「しかし、この魔王という
「ん。ゼフィルス、これやめておいたほうがいい」
「おう。【魔王】系は選択しないから安心してくれ」
不安そうに言うエステルとカルアに安心させるように明るく言う。
そうか、彼女たちは、いやこの世界の人たちは【魔王】がどんな
確かに禍々しくはなるし、時折高笑いもするが優良職なんだぞ?
「ゼフィルス君、決められないの?」
「そうだな。確かに俺は今迷っている。【真の勇者】にするか。それとも【
「ん。それなら、こっちがいいっぽい」
スッと、カルアが何気なく指差したのは、
―――【
カルアも『直感』持ちだ。
マジか。【
俺と同じ結果に天を仰いだ。天井しか見えないが。
カルアの『直感』はよく当たる。正直、俺より精度高いんじゃないかと疑っているくらいだ。
そのカルアが、こっちがいいと言った。俺の『直感』も【
「あ、私もそれがいいって思っていたのよ」
ゴフッ!
俺は急所を突かれた。
やばい。ラナの勘はスキルもないのにむっちゃ当たる。信憑性で言えば一番ヤバイやつだ。
そのラナの勘も【
マジか~。
俺は深く息を吸って、そして吐いた。
これは、まずいな。イベントが発生する伏線なのか?
どうやら俺の選択肢は決まっていたらしい。
【真の勇者】は選んじゃダメのようだ。俺の『直感』が全力で【
うーむ、まあ、なんとかなるだろう。
【真の勇者】は確かに強い、しかし反対を押し切ってまで強引に決めるほどこだわりがあるわけではない。それに【
スキル構成は万が一に備え、【真の勇者】になっても【
よし、決めた。
――俺はジョブ一覧、【
――〈
俺は、【
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