第414話 二回目の侵攻、ラナの攻撃が多段ヒット!
相手が本拠地アタックをしてくる前に手を潰した。これは大きい。
いや、結構偶然だったけどな。
障害物は使いようによってはこのように出会いがしら、角の部分で強襲することもできる。
今回は別に待ち伏せなんてしていなかったのだが、偶然障害物を利用した待ち伏せみたいになってしまった。
おかげで人数が半分近かった〈エデン〉がこの場を勝利で飾ってしまった。こういう偶然もある。
今まではだだっ広いフィールドに小さな城と巨大な城。そして防衛モンスターくらいしかいなかった。
おかげで目視である程度の状況は見ることができたのだが、ここは
今まで『出会いがしら』なんてものは無かったがこうして対人戦で強襲することができるようになるのだ。
これだからギルドバトルは面白い。リアルだと相手の反応がまた新鮮だ。ゲームのAI相手だとどうしてもビックリしたとか手が止まるとか、そういうのは無かったからな。
ということで思った以上の戦果で相手を
しかし、それが御気に召さなかった方もいる。
「『回復の祈り』! 『回復の願い』! はい、リカとルルは終わりよ。ゼフィルスは自分で回復しなさい」
「へーい」
「もー、ゼフィルスはまったくもーよ」
語るまでもない。ラナである。
せっかく北の方で小城Pを順調に増やしていたのに救援要請で呼ばれ、駆けつけてみたらすでに勝負が着いた後だったのだ。とてもぷりぷりしていらっしゃる。
ちょっとラナのほっぺが膨らんで見えるのが可愛い。
おかげでラナの回復は俺には与えられなかった。無念。
冗談だ、ラナの回復魔法は今下級と中級を発動したからクールタイムで残っているのは上級のみ。俺は掠った程度だったので勿体無い。俺の『オーラヒール』で十分という話なだけだ。多分。
と、俺が自分に『オーラヒール』を使って回復していると近づいてくる影があった。
シエラである。ちなみに、他のシズ、パメラ、エステルは西の方の警戒を任せていた。
今のシエラはラナとペアなのでラナの回復が終わるまで待っていた形だ。
「これからどうするのゼフィルス、本拠地を攻め返すのかしら?」
「賛成よ、今がチャンス、ゼフィルス、行くわよね!?」
「ん? ……いや、これまでどおり小城Pを集めよう。今は相手との差を引き離すが吉だ」
シエラが言ったことにラナが賛成するが、俺は一瞬だけ考えてそれを却下した。
おそらく、撤退させたのだから相手は浮き足立っている。要は逆侵攻のチャンスだ。
これもゲーム時代なかった事だ。AIは浮き足立たないからな。
しかし、今相手の本拠地を潰すことのメリットはあまりない。
〈敗者復活〉ルールがあるので相手をいくら退場させても復活してしまうからな。
巨城だってリードしているのだし、赤の巨城2つをゲットしたところで状況もあまり変わらない。
ならば、小城リードを広げるほうが重要だと考える。
そうシエラにも伝えた。
「了解したわ。では、私たちも東側に行くわね」
「もーゼフィルス! 仕方ないわね、何かあったらすぐに呼んでよね。次こそ活躍してやるわ!」
「おう。いってらっしゃい」
シエラから行き先を聞き、ラナがぷりぷり言ってから東へ向かっていった。可愛い。
行き先を告げるのは呼べということだろう。
シエラも肩透かしを食らったのが残念だったようだ。
俺たちAチーム5人はそのまま西へ移動した。
撤退した〈
しかし、これは杞憂に終わる。
〈
また、シエラが提案していた〈エデン〉逆侵攻を警戒しているようにも見える。
とりあえずさらなる進行は無いと見て、西を警戒してくれていたエステルたちにもシエラたちと同じ事を伝えてマス取りに戻ってもらった。
俺たちAチームは見つからないように
「ん、『ソニャー』! 周囲、敵影なし」
「ありがとうカルア。ふむ、あれは逆侵攻を警戒しているのか? 防衛を整えている」
「リカもそう思うか。これは、しばらく足止めに使えるな、今のうちに障害物の向こう側のマスを全部取っておこう。見つからないようにな」
「ん、わかった」
リカも同じ判断だったため、俺たちはそのまま西側の
俺とカルアはそのまま南へ回り込み、リカたちは白の本拠地周辺へ向かい小城Pを獲得していった。
数分後、相手側もようやく動き出し、小城を取って巻き返そうとするが、その時には結構な差がついており、このまま巻き返すのは不可能な差になっていた。
向こうもそう判断したのだろう。
早々に小城Pを取ることを諦めて2回目の白本拠地侵攻する様子を見せた。先ほど退場した1人はまだ復活していないのだろう。6人での侵攻だ。今度は西から回りこんで、しっかり出会いがしらも警戒しているみたいだ。
さすが上級生、判断と対応が早いな。
また俺とカルアが先に気がついたのでカルアを東のラナたちのところに送り、俺はリカたちと合流して迎撃の構えだ。
さっきと同じ展開だ。結果も同じにならないことを祈る。
障害物を生かしながら壁沿いに展開し、相手が北側に出てきたところを今度は待ち伏せをして強襲した。
「『グラキエース』!」
「やっぱり! また待ち構えていたわ!」
「今度は大丈夫よ! みんな、固まらないように!」
「了解サブマス! 反撃よ!」
残念ながら〈
そしてとうとう援軍がやってくる。
「待たせたわね! 『獅子の加護』! 『聖魔の加護』! 行くわよー『聖光の耀剣』!」
今度は間に合ったラナが素早く攻撃力と魔法力を上げるバフを掛けて『聖光の耀剣』をぶっ放した。
「やば! 皆避けてー!」
「わーぁ!?」
しかし、そんなド派手な攻撃を上級生たちは全力で回避した。
そりゃあとんでもデカい剣が飛んでくるのだ、剣士の直感か、みんなこれがヤバいものだって瞬時に判断したみたいだ。さすが上級生。
だが、1人、不幸にも直撃する。さっき1人だけ退場した方だった。
「みんな、助けに来たわ―――ほびゃぁぁっ!?」
「ギルマスー!?」
彼女はおそらく本拠地で復活して慌てて合流しに来たのだろう。
そして障害物の角から飛び出し、仲間と合流するところで、ラナの強烈な一撃が直撃した。不運だった。
しかも、
「む、まだまだ行くわよ! 『聖光の宝樹』! 『光の柱』! 『光の刃』!」
「ちょ、ひぎぃ! 待っ、ひゃぁ! 助けっ、みゃあぁぁぁぁ!」
「ギルマスがまたやられたー!?」
執拗に狙ったラナの追撃で、哀れにも合流した方はまた〈敗者のお部屋〉へ送り返されてしまった。
これは
他の〈
防御やかばうことすらできず固まっていたほどだ。
ただ1人ラナだけが「いい仕事したわ」とおでこに手の甲を当てている。
後で聞いたが、なんか相手から邪悪な気配がしたとのことだ。邪悪な気配とは……。
……まあよし、チャンスだな。
「今だ! 全員総攻撃!!」
「とうー!」
俺の総攻撃に反応し、まずルルが跳んだ。
「まっず! 皆撤退! 撤退だよ!」
「下がって下がって!」
「ちょ、みんな待ってよー」
部隊が崩されたと判断したのだろう、〈
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