第343話 ネタジョブっていうのはすげぇ弱点がある。
追い詰められつつあったサターンたちに希望の光(?)がやって来た。
【暴走魔法使い】二年生、【デンジャラスモンク】二年生、【殴りマジシャン】二年生が援軍に来たのだ。
確かカルア、エステル、リカが押さえつけていた相手をしていたはずだが、対人を解禁した瞬間、俺のほうへ向かってきたらしい。
リーナいわく、カルア、エステル、リカのチームは現在赤の本拠地の防衛部隊が相手をしているとのことだ。
捨て身の戦法か。一歩間違えば赤の本拠地が犠牲になる。
なかなか勇気のいる戦法だ。戦法なのだが……。
本当にこの援軍でいいの?
「待たせたな。助けに来たぜ」
「先輩方か! さすがだ、いいタイミングである!」
ポリス君の顔に喜色が浮かんだ。
確かにタイミングは良い。良いが、もう一度聞くけど援軍がその3人で本当にいいの?
しかし、これで人数は向こうが上だな。
「勝てる、これは勝てるぞ! 行くぞ、二年生方! ここを突破するのだ!」
「任せろサターン氏! あの時助けられた恩を今返すときなり! ユニークスキル『狂化魔法人』! うおおおおぉぉぉぉ『バーストアウト』!」
サターンの指示に【暴走魔法使い】二年生が仕掛けてきた。
【暴走魔法使い】は【狂戦士】系の魔法使い版に分類される中位職だ。
しかし、中位の癖に防御力やHPを犠牲にすることで高威力の魔法を放つことが出来る強力な魔法アタッカーでもある。
『狂化魔法人』は【狂戦士】系の『凶暴化』や『狂化』などのスキルと同じ自己パワーアップ。
これを使われると、高位職であろうがLV的に勝っていようが普通にやられることもある強力なユニークスキルだ。
さらに広範囲攻撃魔法『バーストアウト』で一網打尽にするつもりらしい。
なるほど。悪くない。
しかしだ、俺には通用しない。
【暴走魔法使い】がなぜネタ
つまり、
「シズ」
「はい『魔弾』!」
「がひゅん!? そ、そんな、バカなぁ!」
「「せんぱーい!?」」
シズの強力な一撃に打ち抜かれて一瞬でHPを食われた【暴走魔法使い】二年生が退場した。
一撃だった。
【暴走魔法使い】の
ネタ
故に俺は堂々と言う。
「邪魔者は消えた」
「な、何をやってんだ暴走の奴は!? く、おい殴りの、俺たちで接近戦に持ち込むぞ!」
「おうよ。俺の拳が燃え盛る!」
続いてこちらに駆けて来たのはツルツルの坊主頭が眩しい【デンジャラスモンク】二年生と拳に白のテーピングをした【殴りマジシャン】二年生だった。接近戦を仕掛けてくる模様。
【殴りマジシャン】は厳密に言えば【魔法】職に分類される。
え? じゃあなんで接近戦するのかというと、例によってユニークスキル『圧縮された魔法の拳』により魔法の射程がほぼゼロなので接近戦をするしかないのだ。
その代わり、魔法の威力はかなり強い。強力な威力を誇るダメージディーラーだ。
当たれば強いぞ! ただ……、
「はあぁぁ『フレアストレート』! 『メガフレア殴り』!」
「『軽業』! ふっふっふデス、当たらなければどうと言うことはないのデス!」
「パメラはどこからそんな言葉を覚えてきた!?」
【殴りマジシャン】はあくまで〈魔法〉を使って接近戦をする。通常攻撃はSTR依存なので貧弱だ、当たっても怖くない。故に魔法を使ったタイミングにさえ気をつけていれば射程も短いので。
「当たれええぇぇぇ『フレアバースト壁殴り』!」
「『軽業』で全然当たらないのデース!」
渾身の拳を放つもパメラは軽ーく避ける。
このように避けタンクとの相性がすこぶる悪い。しかも、
「『必殺忍法・分身の術』デース!」
「な、何ぃぃ!? ぐはあ! ぐ、このお『フレアストレート』! あ?」
4体の分身が現れて【殴りマジシャン】二年生はぼこられた。
みるみるうちにHPが減っていき、1体に反撃したところで、【殴りマジシャン】二年生のHPはゼロになる。
その間、僅か5秒。
【殴りマジシャン】は【魔法】職。装備できるのもローブなどの防御力が低いものばかりだ。故に、物理で接近戦やられると、わりと簡単に負ける。
「そ、そんなバカなぁぁぁぁぁっ!!」
【殴りマジシャン】二年生も〈敗者のお部屋〉に直行した。
「「せ、せんぱーい!?」」
トマとポリスの悲痛な声が響く。
これで上級生の援軍は残り1人。しかし、
「これぞ究極のぉぉぉ『デンジャラス大回て――!」
「『光の刃』! 『聖光の宝樹』!」
「『チャージショット』! 『ジャッジメントショット』! 『マルチバースト』!」
「『シャインライトニング』! 『ライトニングバースト』!」
「ぎゃあああぁぁぁぁ!?」
こっちの相手も遠距離攻撃でフルボッコにされていた。
解説する暇すらなかった。
【デンジャラスモンク】二年生も退場し、またサターンたちは3人になる。
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