第238話 平日の日常は楽しすぎて瞬く間に過ぎていく。




 学園が始まってからの日常は瞬く間に過ぎていった。


 月曜日、なんかサターン君たちに遊びに行こうと誘われて、せっかくなのでモナもつれてダンジョンへ挑んだ。

 しかしサターン君たちの戦闘があまりに初心者だったので、俺が少し基本的なことを教えてやると約束した。彼らは感涙にむせび泣きながら打ち震えていたのが印象的だった。


 その後は、レアボス連続20周という未だ経験したことのない未知の現象に遭遇。

 レアボス〈金箱〉6個ドロップして全部俺のものになった。ふはは!



 火曜日。授業も楽々進み、むしろもっと〈ダン活〉を学びたいまであったため〈大図書館〉で色々と借りる事にした。特に歴史が面白いです。


 放課後は約束通りサターン君たちに少し教えることにした。何故か脂汗を出しながら我に練習の必要は無い、とか言い出したサターン君たちを無理矢理引っ張って練習場に連れていき基礎を教えてあげた。

 なかなか上達しなかったので少しスパルタ気味になってしまったが、おかげで多少は命中率が上がった。その調子だサターン君、頑張れ!

 ただ、やはり1日では焼け石に水なので明日も練習すると告げると彼らは感涙していた。

 泣くほど嬉しがってくれて俺も嬉しい。


 夕方にはマリー先輩の下へ昨日のドロップを売りに行ってツッコミを頂いた。

 レアボス素材20体分はマリー先輩もどう扱ったらいいのか分からないみたいだ。ちょっと気持ちよかった。


 しかし、その後〈私と一緒に爆師しよう〉ギルドで笛の回数を回復させようとしたら、お値段50万ミール×20回、計1,000万ミール請求で撃沈。さすがにポケットマネーで今すぐ全ては払えないので、当初予定していた8回分(2本)だけ回復してもらい、残りは〈エンペラーゴブリン〉素材の査定が終わり次第回復する予定だ。



 水曜日。その日はダンジョン攻略の専門授業があった。

 ただ、まだ座学だな。本当に基礎的なことのおさらい、復習、ダンジョンの心構えなんかを教えてもらえた。

 うーむ。ゲームで知っていたこととはいえ、改めてリアルで言われると気がつくことも多い。ためになる授業だった。


 放課後はサターン君たちと練習場だ。

 今日も何故か言い訳をしていた彼らだったが、時間も限られているので昨日同様引っ張っていき、最初からスパルタで教え込んだ。そのおかげでサターン君も10回に9回は的を外さずに撃てるようになった。すばらしい進歩だ。

 他の男子たちの成長も目覚しい。まあ、今まで正しいやり方を知らなかっただけなので教えてやればこのとおりである。ここからさらに成長するのは難しいんだけどな。


「フハハハハハ! どうだ! これほどの遠距離でも外さなくなっているぞ! これこそ我の真の力だ! だからもう練習は必要ない」


「ふふ、ふふふ。初めて気が合いましたね。僕も強くなりました。練習はもう十分だと思います」


「ああ。俺も異論は無い。これほど成長をしているんだ。練習は必要ないと思うぞ」


「俺様としても準備万端だ。十分強くなったしいつでもダンジョンに行く準備は出来ている。だから練習はもう必要ない。無いと思う」


 何故か口を揃えて練習は必要ないと言う4人だが、俺からすれば正しいやり方を知ったばかりの素人なので練習は続行だ。

 またも感涙する4人と共に青春の汗を流した。



 木曜日。今日の授業は職業ジョブについて今判明しているこの世界の常識的なものを教わった。

 ただ、近頃その常識が大きく変わったばかりなので教科書の大部分が役立たずになってしまった。それ故、先生も学生からの質問にたじたじになっていた。

 まったく、誰だ常識を変えたのは。おかげで授業がなかなか進まなかったではないか。


 しかし、まだまだ高位職の波紋は広がり続けているようで研究所も先生方も飲み込むだけで精一杯の様子だ。新しい情報をリークするのはもう少し後にしたほうが良いかもしれない。


 またパーティの連携についても授業があった。これについてはまだ基礎の部分なので省略。


 放課後は、サターン君たちの強い希望でダンジョンに行くことになった。

 もちろんモナも連れてきている。

 ただ今回行くのは〈筋肉殺し〉と名高い〈幽霊の洞窟ダンジョン〉だ。〈採取〉の出番はあまり無いので今回モナは〈ポーター〉として経験を積んでもらおうと思う。

 これだけでも【ファーマー】には経験値が入るのでモナも喜んで〈ポーター〉を引き受けてくれた。


 しかし〈幽霊の洞窟ダンジョン〉を攻略する上で大切なことがある。

 属性武器だ。〈幽霊ゴースト特性〉に属性なしの物理攻撃は効きにくい。

 それ故に属性武器の使用が推奨されているが、あいにくジーロン君もトマ君も属性武器は持っていないとの事だった。それでは役に立てない。


 サターン君は魔法を使うので相性は抜群。【大戦士】のヘルクはタンクなので属性武器は必要無いが、アタッカーのジーロン君とトマ君が属性武器を持っていないというのはいただけない。


 ということで、今日のダンジョン探索限定だが〈エデン〉の武器を貸してあげることにした。


「ふふ、ふふふ、ふふふふふ。よ、よくも僕にこんな装備を…」


「ブハァ! ジーロン、よ、よく似合ってるぞ。ブハハハハ!!」


 ジーロン君が持っているのは〈燃えるキノコソード〉。

 火属性を持つネタ武器の大剣だった。まさか出番が来るとは思わなかった。

 完全に見た目がキノコなそれを構えるジーロン君に、サターン君が腹がよじれるくらい笑う。


 トマ君にもどこで出たか思い出せない〈銀箱〉産〈斧〉装備を貸してあげて、そのまま攻略。〈デブブ〉も無事倒したのだった。


 なんか〈エデン〉と違ってこういう、同級生と一緒に狩りをするのも良いもんだと、そう思った1日だった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る