第216話 始まる体験学習。〈罠外課〉アスレチック!
「ここが〈
「やっぱ最初に見るとビックリするよな。この練習場」
モナが目と口をポカンと開けて見るのは〈ダンジョン攻略専攻・
何と言うか独特な建物で、一言で言えばアスレチック。
〈戦闘課〉のだだっ広いだけの練習場とは違い、様々な模擬的な罠がいくつも試せるようになっている、罠のアスレチック施設である。
景観も独特でサーカスのテントっぽい建物に色とりどりで、統一感の無い模様が書き殴られるようにして
選択授業では、主にあの中に無数に設置してある罠を発見、解除、そしてお持ち帰りするために腕を磨くのだ。今は上級生がここで腕を磨いている最中のはずだ。中からなにやら悲鳴が聞こえてくるし。それを聞いてモナがビビる。
補足すると、ここの施設には今まで発見された全ての罠が設置されているという噂だ。
「とりあえず入るか」
「な、なんか威圧感があるのですが」
「大丈夫だって。何か罠に引っかかってもHPが全部受け止めてくれるから」
「あの、ぼくHPが初期値…」
そんな会話をしつつセレスタンとビビってるモナを引っ張って中に入場する。
中は体育館以上に広い。
様々な罠が目に入り、その前で四苦八苦解除に勤しむ上級生たちが見える。
基本的に罠はスキルで解除可能だが、お持ち帰りするには相応のDEX値とスキル、技能がいる。あとアイテムとかだな。結構な難易度があるんだ。
現在ここで授業を受けているのは選択授業を受講した上級生たちなので、本業の学生はいない。そのせいか至るところで罠に掛かっている上級生が続出しているな。ちょっと面白い。
俺たちの他にも1年生が見学しており、中には体験学習を受けている者もいる。
あ、罠に掛かった。遠くに見えた体験学習をしていた男子1年生が棘のついた栗に埋もれているのが見える。あ、無事救出された模様。
「あ、あわわ。すごく難しそうですが!?」
「大丈夫だってDEXが高ければ解除なんて余裕だから」
「あの、ぼくDEXも初期値…」
まあ、俺もそんなに高くはない。
【勇者】には『直感』があるので罠は見つけられるのだが、解除スキルはないので
ゲームでは解除できるかはスキルやDEXを初めとするいろんな要素によるパーセンテージだった。所謂「この罠を解除できる確率60%」というやつ。解除も破壊も失敗すれば発動します。
上手く解除できれば持って帰れるので、できればどうやって解除するのか、手順や技術を知っておきたい。リアルならなんかその辺も補正掛かってそうだし。技術があればスキルはLV低くても解除できます的なやつ。
将来的に俺でもアイテムだけで罠解除出来るのか、その辺も知りたいね。
ちなみに罠は初級上位ダンジョンから現れ始める。
中級ダンジョンではそこそこ出てくるようになり、ダンジョンの難易度が上がるに比例して罠の数がどんどん増えていく仕様だ。
ダンジョンで罠の宝箱が生えてくるのは中級ダンジョンからで、たまーに行き止まりなどに宝箱が生えている場合がある。採取ポイントなんかと一緒の扱いだな。
この生える宝箱はたまに罠が仕掛けられているので罠の破壊か解除が出来るキャラが居ると非常に役立つんだ。
出来れば俺も習っておきたいところ。
まあ解除できなくてもその時は身を犠牲にすればいいのだけど。ドカンッ。
そんな事を考えながら見回っていると、とある男性教師と目が合った。
男性教師がニカッと笑ったかと思うと声を掛けてくる。
「そこの1年生、体験してみるか?」
どうやら〈
ふむ、せっかくのお誘いだし、体験してみたいと思っていたのでちょうど良い。3人で体験させてもらうことにした。
「「「よろしくお願いします」」」
「おう。俺はガイス。ナイスガイなガイス先生と覚えてくれ」
なかなかユーモアのある先生のようだ。ナイスガイかは、ちょっと分からなかったが。
「とりあえずこれを解除してみようか。罠を解除した経験はあるか?」
そう言ってガイス先生が指さすのは典型的な矢が飛び出るブービートラップのようだ。
ロープが張られ、仕掛けに矢が備え付けられている。
簡単な仕掛けっぽいがとりあえず罠を解除したことは無いので首を振る。モナも同様のようだ。セレスタンは何故か首を振らない。え、罠の解除経験有るの?
「罠の解除くらい出来なくては良い執事には成れませんから」
「そんな基準は初めて聞いたぞ」
さすが〈ダン活〉、奥が深い。まあセレスタン個人のこだわりだろうけど。
ちなみに【バトラー】に罠の解除スキルは無い。ただ、セレスタンは『宮廷作法』にSPを振っている関係でDEXをそこそこ育てている。
アイテムさえ万全なら罠解除も出来るだろう。もしかしたら良い鍵開け師になれるかもしれない。
「では、早速やってみます!」
トップバッターはモナだ。上手く解除出来ればロープと仕掛け、そして矢をゲット出来る罠だ。初歩の初歩らしいがモナにとっては貴重な収入源になり得る事もあって燃えている。
「よし、まずはこれを受け取れ。小道具だ。使い方を説明するな」
ガイス先生から罠外し用のアイテム、〈花の七つ道具〉という花柄の小道具が渡された。
「……あの、ガイス先生。なぜ花柄を?」
「似合いそうだったからだが?」
「……そう、ですか。ありがとうございます」
しかし、先生がまさかの花柄小道具をチョイスした事でモナのテンションは一気に鎮火した。女物っぽい小道具を凄く微妙そうに見つめている。女物に何か思うものがあるのかもしれない。
ガイス先生に悪気は無さそうなのでおとなしく礼を言って受け取るモナ。
「よっし、では基本的な事を教えるぞ。そっちの2人もよく聞いておけ」
体験学習が始まる。
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