第136話 狂乱の宴。ビフォーアフターで何があった!?
〈サボッテンダー〉周回は3回やって終了となった。
ハンナとラナの体力的な意味もあるが、時間的余裕の無さが大きい。
ま、今回はあまり周回はしない予定だったので問題ない。
今日だけでみんな
さすが
ちなみに宝箱だが、〈木箱〉〈木箱〉〈銀箱〉だった。
おかしいな、〈木箱〉がドロップしたぞ? お肉が切れたか?
あと銀箱からは〈下級転職チケット〉がドロップした。ちょっと使い道がない…。
まあ、どこかで使う事もあるだろうし売らずに取っておこう。
「じゃあお疲れ~」
「お疲れ様、いつもありがとね」
「ん? ああ、素材の事か? まあこれくらいなんでも無いさ。任せてくれ」
いつも通り挨拶で締めるとシエラが少し目を伏せぎみにしてお礼を言ってきた。
どうもいつも任せっぱなしな売却手続きを気にしているらしい。
だが、まったく問題ないので気にしないでほしい。
ゲーム〈ダン活〉時代でもダンジョン行った後は売却。これがセオリーだった。
もし売却を忘れ〈
ゲーム時代は何度もその苦難を味わったっけ。アレ、売却に慣れるの凄く時間掛かったんだよな。
全部ダンジョンが魅力的なのがいけない…。出たらまた入りたくて仕方ない魅了状態に掛かってしまう。つい売却を忘れてしまうのだ。
誰か『浄化の祈り』をください。(なお掛けてもらっても解けるかは不明)
〈ダン活〉はアイテムのドロップ量が桁違いに多い仕様だった。
〈
絶対に売却を忘れてはいけない。
あと売却は基本的に他のギルドで行う関係上、夜遅くと朝は営業していない。
売却するタイミングが、ダンジョンから帰ってきた時しかないのでそれも注意が必要だ。まあ、ダメなら倉庫部屋に押し込んでおけば良いのだが。
もし貯め込んで一気に売り払おうとするとマリー先輩が怖い顔をしそうなのでそういう意味でも忘れないようにしたい。
そしてダンジョンから帰還したタイミングしか無いということが女性陣たちには少し辛い。
一日動き回ったり戦ったりした後なので汗だく泥だらけになる事も多く、帰ったらまずシャワーを浴びたいというのが彼女たちの要望だ。故に俺が担当して売却を一手に引き受けている。素材の仕分けにも自信があるしな。
なお、俺が【勇者】の〈魔法〉の一つ『生活魔法』を
ゲームの時は気にもとめなかったが、リアルだとちょっとこの汚れが鬱陶しい事がある。
しかし、SPを振るか? 『生活魔法』に? と思うと躊躇してしまうわけで。現在悩みの種だったりする。今は使い捨てアイテム〈スッキリン〉でスッキリ
そんな事を考えながら転移陣に乗り、一瞬の後、俺たちは初ダンに帰還した。
「わ、凄い人!」
「ごった返しているわね」
ハンナが驚き、シエラが冷静に辺りを見渡す。
どうも初ダンでは人が朝より相当多く増えているみたいだ。
原因は分かっている、あの白衣の連中だろう。
「さあああああ! 次の
ミストン所長が凄くイッちゃった目をしてステージの上で叫んだ。
俺たちがダンジョンに潜っている間にどこから調達したのか特設ステージが設けられ、そしてその上に数人の学生と
学生がそっと〈竜の像〉へ手を乗せると、ジョブ一覧が現れた。そして、
「「「【大剣豪】キマしたぁぁーっ!!」」」
「「「おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」」」
ミストン所長と白衣たちが叫んだ。
その言葉に会場がどよめきと歓声に包まれる。
もうこの時点で何の騒ぎか察するにあまりあった。
展開早すぎるだろう!
さっきのビフォーとこのアフターの差が激しすぎる。俺たちがダンジョンに行っている間に何があったんだ?
見ろ、あのイッちゃった目の白衣の連中を。アドレナリンとか色々分泌されすぎてハイを超えたスペシャルハイテンションになっている。むしろ【大剣豪】に就けた学生より喜んでいるまであるぞ。
そして【大剣豪】に就けた学生は喜びも束の間、白衣たちに囲まれたかと思えば抱えられてどこかに運ばれていった。ドナドナ。
「しゃあああぁぁぁぁてぇぇぇぇ!?? 次イッてみよぉぉぉぉぉ!!!!」
ミストン所長の狂った声が初ダンに響き渡った。
もう狂乱の宴だ。
まさか、高位職のヒントをリークしただけでこんな狂喜な空間が出来上がるとは。
思いも考えもしなかったぜ。
あ、俺関係ないんで。目撃者もいないし知らぬ
なんか皆喜んでいるみたいだし別に良いよな。
「ね、ねぇゼフィルス君。あの――むぐぅ!?」
しまった。ここに目撃者がいたんだった。
慌ててハンナの口を塞ぎ。静かにこの場を去る。
「ねえゼフィルス! この騒ぎは何かしら、なんか楽しそうだからもっと奥で見ましょうよ――むぐぅ!?」
「ラナ様!?」
いいんだよ。この場は去るんだ。
決して関わってはいけない。
汚染されるぞ?
エステルが慌てて俺の下に駆け寄ってくるが、アイコンタクトで行くぞと合図する。
こんな場所にいて、王女に悪影響を及ぼしたとなれば大事。エステルもコクリと頷いてくれた。
いつの間にか両手に花を抱えて、静かに、しかし悠々と初ダンを出る。
なんかハーレムの王にでもなった気分だ。両手の花はむちゃくちゃ抵抗しているが。
あ、こらラナ、足を蹴るんじゃない!
「なんか、悪の首領みたいよ。今のあなた」
シエラが件のカオス空間から両手に美少女を抱え、口を塞ぎながら出てくる俺を見てそう言い表した。
違うぞ。俺は【勇者】だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます