第101話 【姫侍】の最強育成論。今後の展望を夢に見る




 恒例のスラリポマラソンから条件を満たしまくってリカは無事、【姫侍】を取得した。



 装備に刀が必要だったがリカの部屋にあるとの事なので一度取りに帰ってもらった。こういう時同じ貴族舎は便利だよな。


 すぐに刀を手に戻ってきたリカ。

 ほう? 中級装備の刀〈剛刀ムラサキ〉か。STR値が上がるなかなかの装備だ。さすが、良い物を持っている。これだけで12万ミールなんて簡単に稼げるが、それは言わぬが花と言うやつだな。


 そのままスライムを斬る事200匹。元々【ブシドー】までの条件は満たしていたようなのでそれだけで簡単に取れた。


「驚いた。夢幻ゆめまぼろしじゃないんだな?」


「な。言ったとおりだっただろ? 〈覚職かくしょく〉おめでとう」


「ああ。ありがとうゼフィルス。君のおかげだ」


 今まで職業取得のさいは、驚いたり落ち込んだり喜んだりと様々な反応を見てきたが、リカは驚いた側だった。

 うむうむ、良い反応だ。なんかこの瞬間が楽しみになってきたな。


 さて、職業ジョブの取得が終われば次に来るのはLV上げだ。

 スラリポマラソンで一気にLV6まで上げる。ついでに俺流、最強育成論も披露する。


「【姫侍】は近接アタッカーorタンクだ。魔法系は使えないので近距離専門だな。タンクをしつつ相手を削るタイマン系が強いんだ」


 刀で切り返したり、受け流したり、弾いたりする。盾を使わないタンクだな。

 それ故に敵が1体の戦闘時が特に安定して戦える。集団に比較的弱い欠点はあるが。単体戦、特に単体ボスを相手にした時、無類の強さを発揮する。

 その長所を伸ばす育成論だと、メモを作りながら説明する。


「こんな感じなんだが、どうだ?」


「ふむ。道理にかなっている気がする。他のメンバーもゼフィルスのアドバイス通りに進めているのであろう? なら、私も異存は無い」


 リカからも了承が貰えたので、改めてその方向で伸ばす事にする。


 とりあえずステータスはこちら。

 ――――――――――


名前ネーム:リカ

人種カテゴリー:「侯爵」「姫」「女」

職業ジョブ:【姫侍】LV6

SUPステータスアップポイント:合計20P獲得

制限:〈STR+5 or VIT+5〉

【HP 30/30→96/96】

【MP 20/20→50/50】


【STR 10→40】

【VIT 10→40】

【INT 10】

【RES 10】

【AGI 10→25】

【DEX 10→25】


【SUP 120P→0P】

【SP 11P→0P】


《スキル》

『二刀流LV5』『果し合いLV2』


『切り返しLV1』『切り払いLV1』

『二刀払いLV1』


『名乗りLV1』


《魔法》

無し


《ユニークスキル》

未取得


《装備》

〈剛刀ムラサキ〉右手

 『STR+20』

〈小太刀アメ〉左手

〈姫侍装備一式〉頭、体①、体②、腕、足

 ――――――――――


 まずステータスだ。ポジションが近接アタッカーorタンクなのでSTRとVITへメインに振る。

 DEXにも振っているのは正確性や命中率確保のためだ。

 【姫侍】は相手の攻撃に刀を合わせる特性上、DEX値を育てた方が上手く攻撃を防ぎやすい。


 次に〈スキル〉だが。

 まず【姫侍】の方向性は大きく二つに分けられる。


 一刀流か、二刀流か、だ。

 それによってスキル構成が違ってくる。


 一刀流の方は相手の攻撃を受けきって勝つスタイル。主に『構え』系スキルと呼ばれている『青眼の構え』や『居合い』などを使ってチャージしてドカン。大きくダメージを稼ぐ。

 アタッカーメインなタイプだな。

 もしくはパリィで弾いてノックバックを狙い、隙を作ってドカンという方法もある。

 こちらは長期戦も想定しているカウンター型だな。キリちゃん先輩の戦い方がこっちのタイプだった。



 しかし、俺がオススメするのは二刀流の方だ。こちらの方がバランスが良い。

 左手に〈脇差し〉、または〈小太刀〉などを装備して防御用とし、右手の〈刀〉で攻撃するスタイルだ。

 相手の攻撃が激しくなれば両方の刀で対処も可能な防御型だな。逆に両方の刀でもって攻撃に移行も出来るので使い慣れれば非常に強力だ。


 リカも異存は無いとの事なので二刀流でいく事になった。


 スキル構成はまず『二刀流』で適性を上げておく。LVが上がるほど装備の数値が反映されるので、できればLV10まで育てたい。LV5だと左手装備が70%しか反映されないのだ。


 次に『果し合い』。

 これは同じ敵を攻撃し続けるとだんだん威力が上がっていくパッシブスキルだ。

 主にボスなんかに有効だな。違う敵を攻撃してしまうとリセットされるので注意。


 『切り返し』『切り払い』『二刀払い』は防御系アクティブスキルだ。俺の『ディフェンス』と同じく主に相手の攻撃に対し、受けに使用する。上手くいけば攻撃は相殺されるし、敵にダメージが入るし、ダウンが取れることもある。また、相殺以上で挑発が乗るので使いこなせればずっとタゲをとり続ける事が可能だ。カウンターとはまた少し違うスキル群だな。


 最後の『名乗り』は挑発系スキル。これはシエラの『挑発』や俺の『アピール』と効果はまったく変わらない。


 攻撃系スキルが無いのが残念ではあるが、一段階目のツリーの攻撃スキルは初級魔法と同じでザコスキルだからな。SP値の事を考えれば二段階目のツリーが解放されるまでは通常攻撃で頑張ってほしいところだ。ま、〈剛刀ムラサキ〉なら大丈夫だろう。


 とりあえずこんなところだな。


「すばらしいな。ちゃんと合理的に考えてある。こんな組み方があったとは…」


「おうよ。これで問題無さそうか? 二刀流がネックだと思うんだが」


「ああ、問題ない。二刀使いの武士なんて珍しくないからな。私もしっかりおさめている。それに防御寄りのこの構成。私の好みとも合致するしな」


 それは良かった。

 リアル〈ダン活〉だと性格や適性なんてのが絡んでくるからな。【深窓の令嬢】の件もあったが今回は大丈夫なようだ。


 夕方から始めて途中夕食を挟んですでに夜の9時だ。良い時間だな。そろそろ切り上げるか。


「今カルアが待機メンバーだったから助かった。とりあえず二人なら初級中位ショッチューまでは挑めるだろうしな」


「うむ。私も早くダンジョンに挑みたくてうずうずしている。とても楽しみだ」


「カルアの装備が出来るのが多分明日の夕方だろうから、明日の日中に〈初心者ダンジョン〉に合格してくるといい。そうすれば明後日から初級下位ショッカーに挑めるだろう」


「ああ。そうだな。合理的だ。では、そのようにさせてもらおう」


 リカとカルアの方針が大体決まった。


 新メンバーは姫職組に紹介してもらう手筈だったが、懸案事項が思いのほか早く解決された。しかし予定が早まっただけなのでメンバーのスカウトは続行するぞ。


 さて、明日はリカとカルアは初心者ダンジョンに行くとして、俺たちは新しいダンジョンへ向かおうか。


 今後もこうしてどんどん新しいメンバーが増えていくんだろうな。

 ギルドも少しずつ賑やかになり、そして楽しくなっていく。


 次はEランク。条件はギルドマスターが初級上位ダンジョン3つクリア。


 最強の道はまだまだ始まったばかり、メンバーだって人数にしてもLVにしてもまだ初歩の初歩だ。

 ギルド〈エデン〉はこれからもたくさんダンジョンをクリアして、少しずつレベルアップしていく。

 ゆっくりと、しかし確実に。最強まで。一歩ずつ。


 ああ、楽しいなぁ。楽しみだなぁ。




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