第90話 ヒーロー幼女ってジャンルは有りだと思う。




 意外にもラナが有能なところを見せ、期待できるメンバー2人の面接が決まった。

 本人に伺わなくていいのかと聞いたが、エステルみたいにラナと同じギルドに参加していた方が都合つごうが良いので構わない、とのことだ。


「他に勧めたい希望のある人はいるか?」


「私も1人、良いかしら?」


「お、今度はシエラか。どんな人物だ?」


「私の家と昔から交流のある子爵の子なのだけど」


「子爵!」


 シエラのオススメの人材に思わず大きな声が出る。


「ちょっと。叫ばないで」


「悪い。それで、男子か、女子か。職業ジョブは!?」


 矢継ぎ早に聞くとシエラに手で制される。


「うるさいわ」


 うるさくもなる。

 「子爵」は貴重なんだぞ!?

 分かってるのか? あの「子爵」だぞ!?


「……やっぱりやめとこうかしら」


「そんな事言うなよ。俺なら【ヒーロー】を取らせてやれるぞ?」


「……はぁ」


 深々とシエラがため息をついた。



 「人種」カテゴリー「子爵」。

 ゲームの時では必ずと言っていいほどメンバーに加えていた強キャラだった。


 その特徴はなんと言ってもその見た目。シンボルでもあるそれが、ものすごいインパクトを誇る。

 なんと男子ならショタ、女子ならロリが標準体型だった。


 ハンナみたいな一部大人なロリとか、マリー先輩のギリギリ中学生に見えなくもないロリとは次元が違う。年齢一桁間違ってんじゃないの? というロリ、むしろ幼女にしか見えない体型なのだ。


 男子も同じで小学校低学年にしか見えない幼さ。

 それが「子爵」。


 〈ダン活〉は幅広いキャラクターメイキングが可能な作品だった。当然そっち方面も幅広く展開していた。マジ思い切った導入をしたもんだぜ。一生付いていきます!


 俺はロリコンではないが、超絶可愛い幼女が超強いという展開が大好きだった。

 「とりゃー」とか掛け声上げて無双する超強い幼女。萌えと燃えのコラボレーション、最高です。


 それで、どっちなんだ。女子か? 男子か?


「……女子よ」


「採用!」


「……はぁ」


 何故か言ったことを後悔したようなため息をつくシエラ。

 だがこのチャンス、俺は逃す気は無い。


「それでシエラ、その子の職業ジョブと学年は?」


「一年生よ。職業ジョブはまだのはず、確か【ロリータヒーロー】を目指していたはずだから」


 【ロリータヒーロー】! 俺がゲーム時代にも使っていた強力な職業ジョブだ。「子爵」「姫」のカテゴリーを持つ者が就けるれっきとした〈姫職〉。

 ちなみに男子なら【ショタヒーロー】だが、能力は【ロリータヒーロー】の方が高かった。だって〈姫職〉だし。必要な名声値(スカウト値)が全然違ったからな。仕方ない。


 【ロリータヒーロー】はデバフアタッカーだった。ゲーム時代の説明文には〈その魅了で敵を惑わせ狂わせるであろう〉とか書かれていたっけ。つまりロリの魅力で敵を殲滅! みたいな事だろう。キッズ向けの魔法少女なんかによくあるアレだ。(そんなアレはありません)


 実際は強力な攻撃にデバフや状態異常攻撃を乗せた一撃で相手を弱体化させつつ撃破するスタイルだな。これがマジ強い。


 是非〈エデン〉に欲しい人材だ。シエラの紹介だし変な人ということも無いだろう。


「シエラ。採用で話を進めたい。俺ならすぐにでも【ロリータヒーロー】を取得させてやれると言って連れてきてくれ」


「…変な気は起こさないでね」


「いや、そこは安心してほしいんだが…」


 別に同い年なのだから変な気も何も無い。と言いたいがあの見た目だからなぁ。シエラの言いたい事も分かるがもっと俺を信用してほしい。


「今までのメンバー、全員女の子なんだけど?」


「…………」


 しょうがないじゃん。〈ダン活〉は女の子の職業ジョブの方が強いんだから。

 俺だって好きでハーレムを作っていたわけじゃ……まあ好きだけどさ!

 別に狙ったわけじゃないから、そこは信用してほしい。


 本音を喋ってしまうと連れてきてもらえなさそうなので黙秘するが…。


「分かったわ。近いうち連れてくるから」


「おう。楽しみにしてるぜ!」


 これでギルドメンバーは9人。残り枠は1人。


「他にはいないか?」


 見渡すとスッと手を挙げるメンバーが一人。

 ラナ、シエラと来たら、やっぱりエステルも来るよな!


「枠があれば、勧めておきたい人材がいます」


 さて、どんな人物だろうか?




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