第24話 お宝超ゲット! 邪眼でしか見えない向こう側。
不思議に思わなかっただろうか?
この〈初心者ダンジョン〉はフィールド型ダンジョンだ。
なのにボス部屋だけ
他のダンジョンではそんな事は無い。
洞窟型ダンジョンならボスは洞窟の最奥だし、城型ダンジョンなら城の最奥の一室にいる。
他のフィールド型ダンジョンもボスは
なのに〈初心者ダンジョン〉だけは何故か建物内だった。明らかに場違い。違和感バリバリだ。
ゲーム時代、これは何かあるに違いないとすぐに気づいた。
しかし、探しても探しても何も無かった。
チュートリアルダンジョンは多くの生徒が利用するし、宝箱なんて取り尽くされている。当然隠し部屋なんかも捜索されていて何も残っていない。という設定だった。
今更取りこぼしなんて有るわけがない。
だが、ゲーマーにとってそんな事は関係ない。
しっかり『隠し部屋発見LV10』スキルと『直感LV10』スキルを揃えて捜索したとも。
しかし、あるだろうと思っていた何かは発見出来なかった。
こんな初期のダンジョンに『隠し部屋発見無効』の扉なんて使われているはずが無いし、やはり最初だから特別感を出そうとして建物作っただけなのか? と結論づけかけた。
今言った『隠し部屋発見無効』スキルが付いた扉は上級ダンジョンに多く配置されている、スキルで探せない隠し扉だ。たとえ『隠し部屋発見LV10』でも見つけることは出来ない。
じゃあ見つけられないじゃん。
と、思うかもしれないが対抗手段はちゃんと用意されている。
『隠し部屋発見無効』スキルが付いた扉だけを見分けが出来るユニークスキル。
【中二病】の『我の邪眼に視えぬ物無し』が唯一の対抗手段だった。
ちなみに【中二病】ジョブは、ユニーク以外クソスキルのオンパレードで非公式クソジョブランキングで第一位の栄冠を手にする超クソジョブだった。
掲示板では「中二病の何が悪いんだー」「邪眼ちゃんは最高だろ!?」「邪眼ちゃんはまだ覚醒してないだけなんだ!」と【中二病】を擁護する声が上がって一部のプレイヤーが猛抗議をしていたが、すべて無視された。
さらにそのユニークスキル。
【中二病】で唯一と言って良い強スキルだったが攻略サイトに〈隠し扉全集。全てのダンジョンは丸裸〉が掲示されてから本当に使い物にならなくなった。
二度とランキングが下がることは無いだろう。
閑話休題。
でだ。結論から言えば『我の邪眼に視えぬ物無し』で見たら、あったよ。隠し扉が。
まさかマジでチュートリアルダンジョンに『隠し扉発見無効』の扉があるとは思わなかった。『我の邪眼に視えぬ物無し』ってLV40から覚えられるユニークスキルなのでそりゃ見つからんわ。と思ったのを覚えている。
ここからは本来なら隠し扉を開ける用のスキルで開くのだが、ここはリアルだ。
ゲームでは無理だった方法が使えるかもしれない。
つまり無理矢理こじ開けられるんじゃない? と考えちゃったわけだ。
ピンクに耀く転移陣の裏側に回り込み壁を叩くと、
カツンカツンと空洞のような音がする。ここで間違いは無い。
「ここに何かあるの?」
「ああ。さっき壁に触れたら『直感』が囁いたんだ」
どうせバレやしないので適当に答えつつ、腰からショートソードを抜く。
さて、成功するかな?
「先生になんで報告しなかったの?」
「なに、見てれば分かるさ」
ハンナが先の授業でフィリス先生へ報告しなかった事に文句を言っているが、悪いがここから先は教えるわけにはいかないんだよ。
「は! 『
青いエフェクトと共に一閃、【勇者】のユニークスキルが発動すると、ドガンっと衝撃音がして隠し扉が吹っ飛んだ。
相変わらず素晴らしい爽快感だ。
結果は大成功だった!
「わ! なにこれ!」
埃が散っていくとその全貌が明らかになった。
ゲームでは隠し扉の中と言ったらレア宝箱が置いてあると決まっている!
ここも同じく金に耀く立派な宝箱が鎮座していた。
「ゼフィルス君宝箱がある! しかも金箱!」
宝箱には三種類ある。
木箱、銀箱、そして金箱。金に近づくほどレア度が高い。
つまりこの金箱には大当たりが入っているとすでに決まっているわけだ。
ハンナは大はしゃぎだった。
「ねぇ開けてもいいの!?」
「バカ言え。俺が見つけたんだから俺が開けるに決まってるだろ」
ハンナが図々しくも金箱に飛びつこうとしたので制する。
ハンナめ、少し前から思っていたがわりと金目の物に目が無いなこいつ?
隙あれば宝箱を開ける気満々のハンナを牽制しつつ宝箱を開ける。
ここは一応〈初心者ダンジョン〉。罠の類いは考えなくていい。
ドキドキの一瞬だ! リアル宝箱、それがしかも金箱だ。
やっべ興奮するな! 中身知ってるけど!
宝箱を開いて中身を取り出すと、今後重要になるアイテムが八点入っていた。
これこそが俺の目的。
俺がわざわざ〈初心者ダンジョン〉に入り直してまで欲しかったものだ。
モンスタードロップの宝箱とは違い、設置型の宝箱は中身が最初から決まっている。
俺は宝箱の中身を知っていたので、これだけはどうしても手にしておきたかったのだ。
中に入っていたのは。
・〈天空の剣〉
・〈天空の盾〉
・〈天空の鎧〉
・〈
・〈性能限界玉〉×3
・〈上級転職チケット〉
まず目に付くのが〈天空シリーズ〉の剣・盾・鎧。
別に【勇者】の専用装備というわけでは無いが、
見た目もさることながらその性能も高い。何しろ本来はLV40の【中二病】で発見しなければならなかった場所にあった宝箱。しかも金箱に入っていた装備だ。
このままでも中級上位ダンジョンに通用する性能を持っているし、〈性能強化〉すれば上級中位ダンジョンまで現役で使い続けられる。
まさに【勇者】の俺にふさわしい装備だ。早速装備する。
続いて〈
〈ダン活〉では持てる荷物の容量が無限ではない。なので使わない物はギルドホームなどに保管し、持てる容量でダンジョンをやりくりしなければならなかった。
そして〈
ちなみに学園側からの支給品に〈
これも換装だ。
次に性能限界玉。これは武器防具の性能強化に使うアイテムで、限界まで強化された性能をさらに強化させる事が出来る。
〈ショートソード+2〉が強化限界だったなら〈ショートソード+3〉に強化出来るアイテムというわけだな。
後半になればなるほど重要になってくるアイテムだ。
イソイソと〈
そして最後だ。
俺がここに来た一番の目的。
上級転職チケットだ。
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