世界が滅ぶまであと100日

Chibi

第0話 終わりの始まり

僕、シノノ・オルタは寝室で父の形見の宝石を見ていた。緑に輝く楕円形のそれは銀の装飾で縁取られて煌めきを増していた。

「その宝石を片時も肌身離すな。」

それが失踪した父の最後の言葉だった。彼が亡くなったことになってから5年、その言いつけ通り。朝起きてから夜寝るまで、いや朝起きてから次に朝起きるまで。首からその宝石をかけていた。

優しかった父が失踪した理由は分からない。しかし、この宝石をつけていると、父が自分の中に生きているのを感じる。いや、もしかしたら彼はまだ・・・

「父さん・・・」

その時、地面が大きく揺れた。

「うがっっつ!!」

天井に叩きつけられて全身から血が出ているのを感じた。

「な・・なに・・・・が・・・?」

視界が遠くなっていき、意識が暗闇に吸い込まれていく。最後の瞬間、僕はあの宝石を見つめていた。


「あと99回」

父の声が、聞こえた気がした。


世界が滅ぶまであと100日。

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