104
「プピ。ぜぶしゃま、おいも! あちっ、あちっ!」
「ああ、ありがとう。火傷してないか?」
「だいじょぶ! プピッ!」
仔豚はいい。コロコロポテポテしていて癒やされる。笑顔も可愛い。茹でたての芋をお手玉しながら持ってきてくれる様なんて、人の幼児と何も違わない。落とさない分、食い意地は張ってる?
服も着てるしな。っていうか、着せたし。俺のお手製ワンピース。この子はメスだから。俺にはオスにワンピースを着せるような趣味はない。
クリス? あの娘は男の娘だから。そういう需要があるから。
ふむ、舌足らずな仔豚幼女に需要はあるのだろうか? ロリコンの鈴木さんなら、あるいは? ケモナーでロリコン……業が深い、深すぎる。やるな鈴木さん、俺の中で株が上がったぜ。
オークの集落も大分落ち着いたな。
こうして広場で落ち着いて飯が食えるようになったし、オークたちも性質が若干大人しくなった気がする。
芋や麦を育てて、収穫して食べる。ようするに農業というものをようやく理解したっぽい。もう既に芋二回麦一回の収穫をしたからな。成長促進様々だ。
今も、二回目の芋の収穫後のお楽しみ、芋煮会の最中だ。といっても、塩ゆでの芋を食うだけだけどな。こういう楽しみがあれば物事の覚えも早くなるってものよ。
おかげで、もう種芋を掘り起こして食べようとする不埒者はほとんどいない……若干名はいるけど、これは仕方ない。今まで狩猟採取生活だったし、それをいきなり変えろって言われても受け入れられない、馴染めない奴が出るのは当然だ。時間が解決してくれるのを待つしかない。なるべく尻は叩きたくない。もうお腹いっぱい。
住居も建ててやったしな。大工スキルバンザイ!
オークは穴蔵が好きみたいだから、窓の少ない石造りの半地下構造にしてみた。半地下といっても盛り土してるから、実質普通の平屋だったりするけど。その分、一軒一軒をかなり広めに作ってある。オークは一世帯の人数が多いから。
オークは、基本的に
というのも、一回の出産で二〜四匹の子供を産むし、その上絶倫
結果として、ひとつの世帯で普通に子供が二十匹くらい居たりする。多いところでは三十匹以上いる。ビッグダディなんて可愛い可愛い。いや、愛でるという意味での可愛いじゃないからな? おっさんは可愛くない。
とはいえ、その子供たちのうち、巣立ちできるまで育つのは半分くらいだったりする。狩猟採取生活のうえに不衛生な環境だったからなぁ。それを考えると、半分も生き残るのは多いほうかも。
しかし、それも既に昔の話。
俺の眷属になって病気耐性を手に入れたし、農業を覚えて食料事情も改善した。俺の水生成技能で手洗い水浴びをするようになって衛生環境も改善した。これからはもっと多くの子供が生き残るようになるだろう。
ふむ? そうなると、今よりもっと多くの食料が必要になって、もっと畑を広げなければいけなくなるな。そうしたらもっとオークが増えて、さらに多くの畑が……。
あれ? これってヤバくない? 人口爆発で土地と食料が足りなくなるんじゃね? 養いきれなくて飢えちゃうんじゃね?
「プピ、ぜぶしゃま、おかゆ!」
「ありがとう。お前もたくさん食べなさい」
「うん、いっぱいたべゆ! プピィーッ!」
やだよ、間引くなんて! こんな可愛い生き物を選別して屠殺なんてしたくない! ここでの可愛いは愛でるという意味での可愛いだ!
見ろよ、あのプリプリのお尻! 非常に愛らしいじゃないか! いや、幼女のお尻じゃなくて、仔豚のお尻な!
去勢もなぁ。そもそもやり方が分からん。俺は獣医じゃない。
そういう技能なり魔法なりがあればいいんだけど……絶倫の反対って、不能? それはそれでヤバいな。そっちはナシの方向で。
となると避妊具だな。コンドームを作って過度の人口増加を抑制するしかない。言葉はだんだん覚えてるんだし、避妊具も必要性を教えれば使うようになるだろう。
そもそも絶倫を持て余してるような奴らなんだから『避妊具を使えば妊娠しなくなって一年中やり放題だぜ。ぐひひ』とでも言っておけば、喜んで使うんじゃね? いや、ぐひひはいらないか。
意外にいけそうな気がしてきた。前向きに検討しよう。
異世界に転生して、オーク用のコンドームを作る、か。なんかテンプレと違うなぁ。くっころ好きの人が怒鳴り込んできそうだ。『俺の白濁ドリームを返せ!』って。それ、夢ですから。早く目を覚ませ。
「プピ、ぜぶしゃま、しっこ!」
「おおっと、まだ我慢だぞ。すぐトイレに」
「でた! プピッ!」
「……そうか。じゃあ水浴びしてから着替えような」
「うん、プピッ!」
違うなぁ。俺の知ってるファンタジーと違うなぁ。
仔豚幼女のパンツを履き替えさせる大魔王はいなかったよなぁ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます