第28話 若い祓い屋
祓い屋は、『若者』が少なくない。
まだ、未成年で年端も行かない子供も夜守には、多く在籍する。
大人は極端に少ない。
穢れに殺される、もしくは、少しでも世間の事を知っている『大人』は、祓い屋がどれだけ割に合わない仕事か、わかっているからだ。
現代日本、裕福な時代も今は昔、一部の富豪層は除き、誰もが貧困に喘ぐ時代だ。
特に若者はお金が無く、お金が必要で、結果として、短期で身の入りの良い祓い屋は、仕事としては割りが良く見える。
また、『人々を守る正義のため』というお題目もいかにも世間を知らない若者を惹きつけそうなキャッチフレーズである。
ならば、『国家的な仕事として、穢れを排除する仕事』を作れば良い。
そう考える者も当然居た。江戸時代から明治時代にかけて、そういう国家機関は存在した、それは今なお続く『夜守』の原型だった。
だが、今現在の夜守の権力は、かつてのそれとは比較にならないほど弱まっている。
理由はある。
『穢れ』に関する書物やそれを知る人物は、『穢れ』を寄せる。
実際に検証されたわけではないが、この、まことしやかに、囁かれる性質が非常に厄介だ。
穢れに関する書物を世に広める事もできないし、情報を集める事も困難になる。我が身が可愛い権力者や政治家が、穢れに積極的に関わることも、また無くなる。
穢れに関わった者は、必ず『非業の死を遂げる』、それが祓い屋の現実であり、運命なのだ。
今も昔も、それは変わらない。
穢れから、身を守る方法は、主に二つだ。
『夜中にあまり出歩かない事』と『穢れについて知ろうとしない事』
この二つさえ守れば、生涯、穢れと関わる事は無い。
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