第25話 生き続ける意味
自分は、あの日、踏切で電車を待っていた、自殺するために
あれだけ、苦労して仕上げたコンペに落ち。
しかもその理由が下らないコネと癒着による物だと分かり、全てが虚しくなったのだ。
踏切の遮断器の降りる音
ふと、後ろを見た瞬間、黒い化け物が居てそれに喰われた。
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不機嫌そうな少年に『特盛牛丼』を奢ると少し機嫌が直った気がした。
少年は「この話を信じるも信じないもあんたの勝手だが・・・」と前置きして話し始める。
自分が『穢れ』と呼ばれる化け物に喰われて、死んだ事。
その化け物が、自分の死体から情報を読み取って、成り代わっている事。
普段ならば、そんな『世迷言』信じるはずもないが、最近体験した全てが、それが『真実』であると物語っている気がした。
「・・・本物の私は、もう死んでしまった・・・そうなんだな?」
「ああ、その通りだ」
私は涙が止まらなくなり、その場で啜り泣く。
会社の仲間達の笑顔が浮かぶ。
全てを信じきれずに、死んでしまった彼が浮かばれない事が堪らなく悔しかった。
・・・
しばらく沈黙が続く。
少年は、ちびちびと牛丼を口に運んでいた。
別れ際、思い切って聞いてみる。
「人喰いの化け物である自分を・・・殺さなくて良いのか?」
「・・・あー・・・あんたがそうやって『人間のフリ』してる限りは、六畳の家の人間は手を出さない」
ただし、『夜守』の連中は別だ。あいつらは『穢れ』と分かると見境が無いからな!
あと、夜中に出歩くのは出来る限りやめろ、穢れに関わるリスクが増える。
そんなアドバイスをしつつ、少年は夜道を自転車を漕ぎながら消えていった。
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