独断と偏愛の映画紹介

逃亡者

【作品情報】1993年　アメリカ　監督： アンドリュー・デイヴィス

【あらすじ】

　シカゴ記念病院に勤務する優秀な外科医リチャード・キンブルは緊急オペから帰宅すると、瀕死の状態の妻ヘレンを発見する。自宅に潜んでいた男と揉み合いになり、階段から落下、気を失った。男は片手が義手だった。

　義手の男が見つからないことで裁判で無実を証明できなかったキンブルは死刑を言い渡される。

　護送中のバスで囚人たちが逃走計画を実行し、バスは横転して列車と衝突、キンブルはそれに乗じて逃げ出した。

　彼を追うのは有能な連邦保安官のジェラード。無実の証明のために危険を冒して駆け回るキンブルと執念深く彼を追うジェラードの緊迫した戦いが始まる。

【見どころ】

　最後まで飽きさせない緻密なシナリオとハリソン・フォードとトミー・リー・ジョーンズの名演が素晴らしい。人情的なキンブル医師と厳格で冷徹にも思えるジェラード保安官の対決が魅力。ミステリとしても優れており、解き明かされて行く謎とキンブルが自分の立場をどう挽回するかが巧妙に組み立てられている。

　ハリウッド映画独特のキレの良い台詞回しも最高。

【感想】※ネタバレ含

　古い作品ですが、年代を超えて面白い作品はこういうものだ、としみじみ感じさせられる。キャラクター、シナリオ、俳優たちの演技ともに素晴らしい。CGを使うようなド派手な演出は無いが、ドキドキする場面がふんだんに盛り込まれており、上質なサスペンスを楽しむことができる。

　キンブルの賢さや人柄が分かるエピソードが盛り込み方が上手く、彼を応援したくなる。賢いキンブルに呼応するようにジェラードが行動するところは非常に爽快感がある。

　コートに赤いマフラー、ジャケットにジーンズ姿のジェラードのファッションがカッコいい。あの頑固者の保安官が日本のゆるーいCMに出ていると思うとほっこりしてしまう。トミー・リー・ジョーンズはこの作品でアカデミー助演男優賞を受賞している。

　ラストのカタルシスは最高で、パトカーに乗り込んだ二人が理解者として顔を合わせる場面は印象的だ。

　ぜひ観て欲しい作品です。