ジェラルドのゲーム

【作品情報】2017年 アメリカ 監督:ジェラルドのゲーム


【あらすじ】

ジェシーは夫のジェラルドと共に人里離れた別荘にやってきた。その道中、道路の真ん中で動物の死体を貪る犬を見つける。

別荘に到着し、庭に出たジェシーは道で出会った犬を見つけ、可哀想だからと冷蔵庫にあった肉を与えた。


食事の後、二人はベッドの上で向かい合う。

別荘にやってきた目的はマンネリ化した互いの関係を解消するためだった。勃起不全のジェラルドはバイアグラを使い、さらに興奮を導き出すためにジェシーの両手をベッドに繋いでしまう。


しかし、ジェシーはジェラルドの強引なプレイに嫌悪感を覚え、彼を拒絶した。ジェシーは手錠を外すよう懇願するが、頭に血が昇ったジェラルドはそれに応じない。興奮したジェラルドは突如苦しみ始め、心臓発作でジェシーの上に倒れ込み動かなくなった。


ジェシーは手錠を外そうとするが、それは叶わない。ベッド下に蹴り落としたジェラルドの身体からはじわりと血が滲み出し、彼は完全に死んでいることを悟る。さらに寝室に入り込んだ例の犬がジェラルドの遺体に噛みつき始める。


別荘の近くに人家は無く、人が訪ねてくることもない。ベッドに繋がれて身動きが取れないジェシーは幻覚を見始める。


【見どころ】

手錠に繋がれた絶体絶命のジェシーがどうなるかが一番気になるところ。


幻覚として現われた自分自身とジェラルドと会話をすることで、過去のトラウマが暴かれていく。さらに、遺体に噛みつく飢えた犬、夜中に現われる恐ろしい怪物とジェシーにさらなる恐怖が襲いかかる。


手錠外しのギミックよりも押さえ込んだ自分と向き合うジェシーの姿に注目したい。怪物の正体も気になるところ、ネタバレを聞いたら驚くだろう。


【感想】※ネタバレ含

あらすじを聞くと、別荘でお楽しみ中のセレブカップルの女性がひどい目に遭う話、どうやってこの恥ずかしい状況を切り抜けるのかというサスペンスドラマかと思いきや、地に足がついた恐怖と、トラウマと、リアルホラー展開の三段オチにやられた。


少女のジェシーを心理的に責めてくる卑怯な父親が怖かった。性的虐待も直接的でないところが逆におぞましさを感じた。お前が秘密をバラすと家庭崩壊だと脅す父、それを見て見ぬ振りの母という救いの無い状況がリアルに怖い。

また、知的でハンサムに見えたジェラルドも結局ジェシーを責めるような男性だったというのも悲しい。


飢えた犬、これも怖い。体力を失っていく自分がいつ生きたまま食べられるかという恐怖は想像するだけで恐ろしい。あのベッドの柱どうにかしてブチ折れないかと思いながら観ていた。


墓荒らしの男ジュベールが実在する人間だというのはやられた。恐怖から来る幻覚が見せたものだと思っていた。これも後から分かってゾッとするところだ。

見ている観客側も神経衰弱のような映画だが、多彩な味つけの恐怖や嫌悪感が満載で、良くも悪くも心に残ってしまった作品だ。











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