ランボー

【作品情報】1982年 アメリカ 監督: テッド・コッチェフ


【あらすじ】

 ベトナム帰還兵ジョン・ランボーは、かつての戦友を訪ねて山間の田舎町へ立ち寄る。戦友の家を訪ねたところ、ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤の影響により彼が癌で死んだことを母親の話で知る。


 失意のまま町をさすらうランボーに、ティーズル保安官が声をかける。ランボーの身なりを見た保安官は、彼にこの町を出るよう高圧的な態度を取る。しかし、それに応じないランボーは浮浪罪で逮捕される。


 保安官事務所でも、ランボーは若い保安官たちに嫌がらせを受ける。髭を剃るため向けられたカミソリに、ベトナム戦争で受けた拷問が突如フラッシュバックする。ランボーは暴れ出し、保安官たちを打ちのめしてバイクで山中へと逃走する。


 平和な町にトラブルを持ち込み、仲間を痛めつけたランボーに怒りを燃やすティーズル保安官は大規模な山狩りを始める。そこへベトナム時代の上官トラウトマン大佐がやってきて、ランボーの説得に応じる。しかし、ランボーは聞く耳を持たない。

 頼れるものはナイフ1本、たった一人の孤独な戦いが始まる。


【見どころ】

 シルヴェスター・スタローンの代表作でもある「ランボー」シリーズの第1作。80年代を色濃く反映した作品で、ベトナム帰還兵の苦悩と孤独が描かれている。警察と州兵を相手に一人孤独な戦いを挑む男の姿には目頭が熱くなる。


 若きスタローンの鍛え抜かれた肉体と、ギラギラした目はとてもパワーがあり、思わず引きこまれる。山でのサバイバル戦では、ランボーが優秀な兵士だと分かる印象的なシーンが多数出てくるのも見どころ。


 作戦本部にやってきたトラウトマン大佐との交流も物語の重要なポイントだ。ラストまで飽きさせない展開とアクション、古い作品だが今でも見応えがある。

 

【感想】※ネタバレ含

 この頃のスタローンは本当にカッコ良い。シュワちゃんと比べてストイックな細マッチョ、そして目力がいい。ランボーはシリーズ化されて、舞台も派手になっていくけど、ランボーの苦悩にスポットを当てたこの作品が一番好きです。


 ベトナム戦争で必死に戦って帰国したら、差別や偏見にさらされろくな仕事にも就けない。そして今も悪夢に悩まされる。スタローンはこうしたベトナム帰還兵の苦悩と怒りを見事に表現している。当時、ハリウッドのドル箱マッチョ俳優として並んでいたアーノルド・シュワルツェネッガーには出せない雰囲気だった。


 差別を偏見を隠しもしない頑固者のティーズル保安官も良いキャラだった。よそ者のランボーに対し、憎悪を剥き出しにする田舎気質の保安官役を見事に演じていた。彼が最後に徹底的にランボーにやり込められる場面は爽快感すらある。


 銃を乱射し町を破壊したランボーは最後に泣きじゃくり、トラウトマン大佐に戦争の悲惨さを語る。そしてエンドクレジットとともに流れるランボーのテーマソングも印象的だった。孤独な男の戦いの結末に熱いものがこみ上げてくる。暗いテーマながら何度でも観たくなる作品です。

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