もしもえっちなことをしてる途中で異世界転移しちゃったら。年の差4000歳以上の異世界バカップル。【異世界転移奇譚 NAYUTA 1~】
第9話 もしもえっちなことをしてる最中に異世界転移しちゃったら ④
第9話 もしもえっちなことをしてる最中に異世界転移しちゃったら ④
「なんでボクが、ピノアの下着や服を持ってこさせられなきゃいけないんだ……」
全裸で転移してきてしまったふたりの衣類を持って女王の間に現れた、中性的なボクっ子もまた、銀髪で赤い瞳をしていた。
そして、ひどく屈辱的な顔をしていた。
「おっ、アナルバイブ男爵じゃん!!
ひさしぶり!!!」
ピノアがそのボクっ子をそんなありえない名前で呼び、レンジがまた吹き出していた。
この人、沸点低すぎるだろ。
「誰がアナルバイブだ、ロリババア。
イルル・ヤンカンシュだ。さすがにそろそろボケがきたのか?」
イルルという名前らしいそのボクっ子は、おそらくアナルバイブが何かもわかってはいないだろうが、ろくなものではないだろうことと、男爵という爵位がつくことによってより屈辱的なあだ名になっていることはわかったらしい。
服を手渡されたピノアは、
「ありがとね。ショウゴも元気にしてるよ」
と言った。
イルルは、「そうか、よかった」と言って笑った。
ショウゴという人が、たまにナユタの家に遊びに来る大和ショウゴという人だとしたら。
イルルもまた叔母を知っているのだとしたら。
ピノアがふたりが何年か前から付き合っていることをイルルに教えなかったのは、きっと昔いろいろあったのだろうな、と思った。
イルルは、ナユタにも服や下着を渡し、キミはタカミにもマヨリにもミカナにも良く似ているね、と言った。
この世界に来たことがないはずの母を、彼女(彼?)がなぜ知っているのかや、ステラが言っていた「あちらの世界の真依」という言葉から、ナユタにはなんとなく、この世界には母と同じ名前で同じ顔をした人がいるのだろうとわかってしまった。
「ピノアのことをよろしくね」
彼女(彼?)は、優しくそう言った。
きっとここにいる誰もがピノアのことが大好きなのだとわかった。
ステラはまた「アナルバイブって何?」とレンジに尋ねていた。
ふたりはまた顔を真っ赤にして、どうやらなんとかして開発しようと話がまとまったようだった。
まさかとは思うが、国のお金で作る気じゃないだろうかと不安になった。
ピノアが、同盟国でもあるジパング(おそらく日本のような国があるのだろう)との貿易で取り寄せたという、あちら側の世界の下着に非常によく似たパンツに脚を通そうとすると、ステラは立ち上がり、
「ピノア、あなた……
あの、その、あそこのお、おけ、おけけは……どうしたの?」
まるで昔の少女漫画の「なんておそろしい子……」みたいな顔をしていた。
「あー、これねー、あっちの世界では、先進国では永久脱毛するのが主流なんだ。結構お金かかるけど、二度と生えてこないよ。脇も。
あれ、不衛生だし、においがこもったりするからさ、レンジがいた時代では、レンジの国だけ遅れてたみたいで、パイパンって呼んでたんだっけ? ロリコンが喜ぶものみたいな感じだったんでしょ?」
レンジはピノアの股間をガン見しながら、うなづいた。
昔振った女の子で、しかも今彼氏が横にいるというのに、実に正直な人で、もはや逆にすがすがしかった。
「今は、日本でもハイジニーナって呼ぶようになって、みんなこれが普通になってるよ。
そういえば、イルルって最初から生えてない子だったなー」
ステラはまた同じ顔をしていた。
「でも、イルルは、おっぱいだけじゃなくて、ちんこついてるから。
ちんこが常に丸見えだよ。
まぁ、あっちだと男もみんな永久脱毛してるけどね」
ステラさんは、顔芸で女王まで上り詰めたのだろうか?
もはや、ナユタにはそんな風にしか見えなかった。
双子だからか、その顔はピノアにとても良く似ていた。
良く似ているのだが、ピノアはかわいい女の子で、ステラは美人のお姉さんという印象を受けるから不思議だった。
普段は女王らしくキリッとした表情をしている人なのだと思う。
だが、顔芸のインパクトがあまりに強すぎる。
おそらく彼女は顔芸をしているつもりもないのだろうから、またそれがおかしかった。
永久脱毛についても、やっぱりレンジに相談した結果、この世界では一本一本抜くか、剃るか、という選択肢しかないとわかったようだ。
抜くのは痛いが次に生えてくるまで少し日があき、剃れば次の日には伸びている。どちらにせよ伸びてくればチクチクするらしいとわかり、一度だけ剃る方向で試してみることにしたようだった。
「なんか薬みたいなの塗って、固まったら勢いよく剥がすと、めっちゃ痛いけど一気に全部抜けちゃうのとかあったから、材料さえわかれば作れるかも。
あ、でも、スマホ使えないから無理か。電波もワイファイもないもんね、こっち」
ステラは一瞬期待したようだったが、期待した分落胆が大きかったようだった。
「さてと、じゃ、ちゃんと服も着たし、ひさしぶりにサクラと遊んでこようかな」
ピノアは満面の笑みでそう言った。
「その前に、ぼくらの年の差が4000歳以上あるって話じゃなかった?」
ナユタが訊ねると、
「えーっと、一回世界が滅んじゃってー、世界を滅ぼしたレンジのお父さんと、わたしだけが生き残ってー、レンジのお父さんが神になって、自分とレンジのお母さんそっくりの人を作って、人の歴史をやり直して、で17年前にみんなで親玉みたいな連中をやっつけたんだよね。
一回滅んでから、今の時代まで大体4000年くらいかかってるから? かな?」
全然意味がわからなかった。
わからなかったが、別に、
「ま、年の差なんか、関係ないか」
と、ナユタが言うと、
「ナユタはそう言ってくれると思ってた。
わたしね、閣下より長生きするつもりから、ナユタもちゃんと長生きしてね」
ピノアは、どうやら閣下が本当に一万歳を超えてると信じているようだったから、ほんとにこの子はかわいいな、と思った。
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