【アタシにかくれて何してるのよ!!・2】
10月18日・晴れ
あの日を境にして、カレはアパートに帰らなくなった。
それと比例するように、部屋の留守番電話は毎日のように赤いランプがチカチカと点滅することばかりが続いた。
カレのお父さまは、毎日のように『帰郷せえ!!』と怒号をあげていた。
会社の社長さんは女々しい声で『うちの会社は若い働き手がおらんのや…ワシにクビつれと言うのか…チクショーチクショーチクショーチクショー…死んでやる~』と言うてビービービービービービービービー泣きよる…
なによ!!大の男が女々しいわね!!
アタシの怒りは、頂点に達した。
この日の夜8時過ぎだった。
カレの大学の時の親友と名乗る男性からメッセージがあった。
『(カレの名前)か…お前さ、伊林のヤツがカンカンに怒っとるぞ~…お前、ムツミが伊林と婚約したことをしらんようだな…知らずにムツミと会っているのか?お前がムツミをつれてホテルに入りよるところを雑誌の記者が写真撮りよったぞ…来週発売の『(大衆週刊誌)』でお前のことが公表されるぞ…公表されたら、お前はホーコーされるぞ…それでもええんか?…お前、他にも複数人の女をつまみ食いしよるのぉ~まあええわ…オレはお前がどないなってもしらんけん…そのうち、ドラム缶にコンクリ詰めにされて、鞆の浦にドボーンとなるだろう…お前のおいやんも、ヤクザに殺されたみたいだな…お前もおいやんと同じ形で命をおとすだろな…オレ、もうしらんけん…ほな、さいなら…』
そうよね…
そのうち、ドラム缶にコンクリ詰めにされて、鞆の浦に沈められるわねぇ…
サイアク…
アタシ、なんであななボロ男にほれたのか…
アタシは、両手で顔をかくしてくすんくすんと泣いた。
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