【てんやもの】

11月23日・晴れ


休日は決まって、母のお客様(仕事上のお付き合いがある人)がうちにやって来る。


話が盛り上がった頃、お客様は『お昼がまだなのだけどね…』と言いにくい声で母に言う。


母はにこやかな表情で『それじゃあ、てんやものでもとりましょうか?』と答えた。


母から『お客様にてんやものを頼むから…』と言われたアタシは、てんやものの注文をするために飲食店へ行った。


おすしにうな重にカツ丼にざるそば…


み~んなアタシが食べたいものばかり…


母は、お客様にてんやものを出すくせに、アタシには『栄養バランスがどーのこーの…』とクドクド言いまくる。


てんやものを注文するカネがあるなら、アタシにおいしい手料理を作ってよ…


忙しい忙しいと言うて…


アタシに、コンビニのサンドイッチやお弁当ばかりを出して逃げている…


アタシだって…


てんやものが食べたい!!


(まりなの家の玄関の前には、てんやものの重箱やどんぶりなどが山のように置かれていた。)

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