第15話、ウズラとセキショクヤケイ

萌の能力は、どうやら生物と同化できるのではないかということだった。

それを使いこなせれば、例えば家畜とコミュニケーションをとることも可能なのだ。

卵も、今は水鳥のものを使っているがニワトリの原種も探してみたい。

サトウダイコンの搾りかすを使って、牛も量産出来たら人々の暮らしはもっと豊かになる。


サトウダイコンの世話は、城で面倒をめてもらう。


俺は毎日、リハビリを兼ねてニワトリやイノシシを探し回る。

オオカミとのコミュニケーションは可能だったので、情報を集めたところ、地を走る小型の鳥の情報が集まった。

早速確認したところ、ウズラとセキショクヤケイのような鳥を数羽捕獲できた。


早速、これを飼育していく。

まずは、増やすことだ。

飼育環境を整え、萌にも協力してもらって、快適な飼育環境課をチェックしてもらう。

キツネなどに襲われないよう、オオカミの群れを誘導して警備に当たらせる。


ウズラは、小さいながら年間250個くらいのタマゴを生むらしい。

軌道に乗せられれば、肉と卵を確保できる。


俺は、毎日のように駆けずり回り、ウズラとセキショクヤケイを捕獲する。

その甲斐あってか、一か月すると100話程捕獲できた。


セキショクヤケイはニワトリの祖先とはいえ、野生の状態では繁殖期にしかタマゴを生まない。

ここは、萌に交渉させるしかない。


だが、交渉に応じてくれるのだろうか……心配である。




「智代梨、お前の治癒能力って、舐めないとダメなのか?」


「うーん、色々と試してるんだけど、今のところはダメみたいね。

あっ、もしかして妬いてくれてるのかな」


「そりゃあ、好きな子が他の男を舐めるなんて……」


二人とも顔が真っ赤になってしまった。

だが、初心者同士の恋愛なんて、こんなものだろう……多分。



「なあ、恭介、こんなもんでいいのかな」


「ああ、雑貨屋は好調だし、委託してるところからも、どんどん入金されてくる。

まあ、老後は安泰だな」


「ゴム底の靴が、すごい売れているみたいだな」


「ああ、お前の見つけてきたゴムは、すごい用途が広がってる。

俺の作ったアルミフレームとゴムのタイヤをあわせて、馬車の車輪を作ったんだ。

木と違って、ブレも少ないし、板バネでサスペンションを作ってやったら、城ですぐに採用されたよ」


「自転車は無理か」


「ああ、空回りする構造が必要だからな。

あれも、意外と複雑なんだなって実感したよ。

スケボあたりなら作れるぞ」


「いや、オオカミになって走ったほうが早いよ」


「それもそうか」

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