第6話、ダンジョンに挑戦……

戦闘訓練では、俺は格闘系で恭介が魔法剣。

智代梨が棒術で、萌は剣技を学んでいる。


召喚者には、武術と魔法以外に何らかの特性を授かっていると聞かされたが、未だに表面化してこない。

唯一、恭介は魔法の才能があり、土魔法の応用で金属の鍛錬にその特殊性が出ているらしい。

アルミやチタンなどを鉱石から抽出し、武具として俺たちに提供してくれる。

中でも、簡易鎧は素晴らしく、四人とも愛用している。


俺には、チタン製のキャットクローを作ってくれて、手甲に装着する軽くて硬いクローは最高の威力を見せてくれる。


最近になって、ちゃんや君はつけないようになってきた。

智代梨が最初に君付けをしなくなって、それに習った形だが……


魔法にも慣れてきた俺たちは、実地訓練としてダンジョンへ行くことになった。

ダンジョンは町を二つ経由した先にある。

二人の教官と一緒に馬車でダンジョンへ向かう。


「最初に言っておきますが、ダンジョンではちょっとした気の緩みが死につながります。

くれぐれも油断しないようにお願いします」


「「「はい」」」


ダンジョンでは、毒を持ったモンスターや、溶解質の体液をもったモンスターも出るため、俺も剣で戦う。


「では、出発しします。

先頭は仁さんと恭介さん」


「「おう」」


「我々は最後尾につきますので、皆さんで対応してください」


「「はい」」


ダンジョンには照明なんかない。

俺と最後尾のジャンヌ教官が松明を持っている。


最初のフロアでは、スライムや虫系と爬虫類系が中心だ。

スライムは問題ないのだが、虫やトカゲ系は動きが早い。


だが、洞窟で火なんか使っていいのだろうか。

変なガスが溜まっていたら、全員即死である。

それに、酸素の問題もある。


教官、ここには風穴かなにかあるんですか?


「いえ、そういったものはありませんが」


「穴の中で火なんて使ったら、空気がなくなりませんか」


「特に、そういった事例はありませんが……」


「……恭介、二酸化炭素は空気よりも重かったよな」


「ああ、だが、酸素がなくなれば火も消える……

しかし、ちょっと考える必要があるな」


「教官、一旦戻りましょう」


「なぜだ?」


「こんな行動は危険すぎます」


「だが、今まで……いや、戻ってこないパーティーもあったが」


「そのパーティーが、モンスターにやられたのかどうかは確認できないんですよね」


「ああ、その通りだが、どういう事だ」


「とりあえず出てから説明します」

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