第3話、萌ちゃんは料理王になる
「酵母は、このリンゴの実と皮の間にあるんです。
準備としては、雑菌が入らないように容器を煮沸消毒します。
それと、沸騰させた湯冷ましを作っておきます。
これも、雑菌の繁殖を防ぐためです」
一時間後、作業を再開する。
「リンゴを8等分にして、ビンの中に入れて、砂糖と湯冷ましの水を入れます。
今回はザラメが売っていましたので、これを適量入れて、よく振ります。
あとは一週間、毎日蓋をあけて、糖が分解する時に発生する炭酸ガスを抜いてやります。
この時点で、シードルというお酒になってるんですね」
「じゃあ、飲めるのかい」
「ええ、でも余計な作業は雑菌を入れる元ですから、今回は飲みません。
だいたい28度くらいのところが発酵に適してるんですよ」
基本的には萌ちゃんに任せきりで、俺たちは訓練に励んでいる。
「はーい、一週間で泡がでなくなりました。
これが酵母液で、ワインでもあります。
これを100ccほど小麦粉に混ぜてこねます。
水分が足りないので、卵と水を加えてしっかり捏ねたら30分休ませます」
「ふむ、いい感じですね。
塩を混ぜて更にしっかり捏ね、冷蔵で半日寝かせ、そのあとで3時間ほど常温で発酵させます」
「うん、2倍まで膨らみましたね。
そしたら、打ち粉した台に乗せて、伸ばして畳みます。
これを3回ほど繰り返して形を整えて1時間放置。
出来上がったものをオーブンで焼くだけです。
簡単でしょ」
「「「どこが!」」」
だが、出来上がったのは俺たちの知ってるパンだった。
「うめえ!」
「美味しいわ、さすが私の萌ね」
「こ、こんなパンがあったなんて……」
このレシピを食堂に伝え、パンが全面的に改良された。
そして萌ちゃんは、牛乳でバターを作り、卵とオリーブオイルと酢でマヨネーズを作り出し、焼肉サンドを開発した。
当然、タマゴサンド・野菜サンド・トマトサンド・ハンバーガーへと発展していく。
この功績が称えられ、萌ちゃんに勲章が贈られたことを見ても、どれだけ食糧事情が改善されたかわかるだろう。
萌ちゃんは更に、パスタを発明し、トマトクリームパスタやカルボナーラへと発展させる。
ブイヨンを作り、さらに煮込んでコンソメを作りだし、より複雑な味に広げていく。
コンソメがあればコーンスープも作れるし、シチューにも発展していく。
こうして、萌ちゃんは料理王の称号を獲得した。
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