第1話、与えられた選択肢

ひとまず落ち着くよう、俺たちは部屋をあてがわれた。


とりあえずは二人部屋だといわれ、俺と恭介は同室になる。

女子2名には、後で部屋に来るよう言ってある。


「どうすっかなぁ」


「とりあえず、魔王ってのを倒すしか道はないだろう」


「いや、魔王を倒さずに生きてくって選択肢もあるだろ」


「その場合は、この国の支援をあてにできねえってことだな」


「まあ、男二人ならどうとでもなるだろう」


「いや、女の子二人はどうすんだよ」


「知らん」


「恭介は冷てえよな」


「いや、女は男を見つけるとか体を売るとか、どうとでもできるだろ」


「おいおい……」


「まさか、生徒会の人がそういう人だとは思わなかったわ」


「ああ、来たのか」


「来いって言ったのはそっちでしょ」


「あ、あの、そんなにけんか腰にならないで……」


「じゃあ、自己紹介だな。

俺から、一年、美術部の犬神 仁だ。

ジンと呼んでくれ。

身長176cm、体重58kg。

特技はスケッチとどこでも寝られること。

運動は一通りできるつもりだ。

次、恭介な」


「大神恭介、一年、生徒会の書記だ。

以上」


「お前なぁ、俺の自己紹介聞いてただろ」


「キョウスケでいい。

身長175cm、60kg。

特技は剣道で、他人には興味ない。

一応言っとくが、この髪は地毛で、メガネは花粉対策だ。

以上」


「ちょっとナル入ってっけど、入試はトップだったらしい。

茶髪でいきなり呼び出し食らったけど、今いった通り昔からこの色だ。

次、そっち頼む」


「坂下智代梨よ。

チヨでもチヨリでもどっちでもいいわ。

一年、陸上部。

身長165cm、体重は未測定。

男には興味ないわ。

私にはモエがいればいいから」


「ちょっと、智代梨ちゃんたら……」


「以上よ」


「えっと、二年の遠野萌です。

モエでいいです。

料理研究部の副部長です。

特技は料理と裁縫で、運動は苦手です。

身長151cmで体重は48kgです」


「ポニテが智代梨ちゃんで、ショートが萌ちゃんね。リョーカイ。

でだ、今話してたんだが、魔王を倒さずこの世界で生きてくって選択肢もあるはずだ」


「その場合、国をあてにしないで生きてくってことでしょ。

体は売らないし、男に媚びるのもお断りよ」


「まあ、そこは今決めなくてもいいだろう。

最低限の知識と体術を覚えてから、やっぱ魔王はやめときますとか、行くふりしてバックレる選択肢もあるだろうよ」


「じゃ、一応魔王討伐の方向で受けるのね」


「それしかないだろうな」


「了解よ」

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