友人の弟

@pyon99

第1話

友達の弟


「じゃあ、弟のことよろしく頼むな」

「おう、いってら〜」


友人の卓馬はいきいきと家の外へ出ると、鍵も閉めずに出かけていった。


…ガシャン!


…と扉が閉まると、部屋の中には僕がやっているゲームの音だけが響いた。

僕と卓馬は受験生だが、卓馬の家で勉強する、というアリバイをお互いに作っては息抜きをしていた。卓馬の両親は共働きで夜まで帰らないから、本当は僕が来なくたって卓馬にとってアリバイ作りは簡単…なはずだったんだけど…。


カシャン…


隣の部屋から扉を開ける音がする。


「うちの兄貴、デート行った?」

「あぁ、そうみたい」


卓馬の弟だ。小さい頃からよく知ってる。卓馬がデートに出かけると、この弟の優馬が両親にチクってしまうことがある。そこで僕の出番ってわけだ。


「ねぇ裕にぃ、今日も遊べる?」

「あぁ、夕方までいるよ」

「やった!じゃあちょっと待ってて!」


優馬は僕と遊ぶのが大好きで、僕さえいればチクったりするようなことはしない。要は、自分の兄だけが楽しんでいると不公平さを感じてしまうのだ。

僕は優馬の面倒を見つつゲームをして過ごし、卓馬は心置きなく一つ年下の彼女とデート。誰もがウィンウィンの関係…のはずだった。


「裕にぃ、これ見て!」


優馬が今度はドタドタと部屋に入ってくる。


「どう?ユニフォーム新しくなったの!」


真っ白な野球のユニフォームに着替えた優馬は、眩しいほどの笑顔で一回りして、僕にその感想を求める。後ろを向いた時の尻のふくらみが何とも言えない危ない色気をかもしだしている…が、そんなことを言うわけにもいかない。


「…かっこいいじゃん、背番号いくつ?」

「8だよ!」

「へー、8番ってことは…」

「僕はね、センター!わかる?センター」

「あぁ、なんとなく、ね」

「じゃ、着替えてくるね!そしたら先週の続きやろ!」


あちら側に振り返りながらそう言うと、優馬はまた自分の部屋に戻っていく。部活のユニフォームを僕に見せるためにわざわざ着替え、また元の部屋着に着替える。全くすごい行動力だ。そして、普段兄に甘えたりてないんだな、と感じる。だからまったりと話に付き合う僕との時間が、優馬は大好きなのだ。なんというか…満たされないブラコンの捌け口になっている感覚だ。


「お待たせ〜!」


戻ってきた優馬はTシャツにショートパンツ姿だ。


「お前そのパンツ短いな…」


付け根から露出した太ももの筋肉が、短い布の切れ目からこれでもかとはみ出している。


「え、これ?変?なんかすげぇ伸びるから履き心地いいんだけど。

それよりねぇ、ゲーム変えてよ。先週の続きからだよ!」


優馬はそう言うと僕がやっていたゲームを強制的に打ち切り、先週一緒にプレイしていたオープンワールドRPGに切り替える。

ゲームの切り替えが済むと僕の方にやってきて、コントローラーを奪うと、横向きに寝転んでいた僕の前にすっぽり同じ姿勢で収まる。本当に人懐っこいというか、血が繋がってはいないがブラコンみたいだ。

2人で横向きに寝転び、共に右肘をたててゲームを始める。僕より身長が一回り小さい優馬の坊主頭が、顎のあたりに刺さる。優馬の汗の匂いが鼻をかすめた。


「あぁーもう!ねぇ裕にぃ、ここのトラップわかんね!わかる?」

「んー。そこのフックにワイヤーを引っかけるんじゃね?」


質問に応えつつ、僕は左手で優馬の腰に手を回す。ブラコンなら、このくらいどうってことはない。そう思って、Tシャツが少しはだけた優馬の横っ腹を、さすった。


「あ、そうかわかった」


優馬はトラップを解くと、どんどんダンジョンの奥へ進んでいく。


「これはチョー簡単なんですけど」

「すごいやん、1人で解いてる」

「うん…」


少しトーンダウンしたように優馬が相槌をうつ。僕はゲーム画面を見ながら、優馬の横腹をさすり続ける。優馬がダンジョンの奥に進むたび、指の動きを変えたり、位置をずらしたりして、いつの間にか腹筋の下辺りまで手を伸ばしていた。さすがに少し、変な空気だ。それでも優馬はダンジョンを進んだ。そして、ついにダンジョンの最深部で重要なアイテムを手に入れたが、その頃には僕の指は優馬のショートパンツの中に半分侵入していた。優馬と僕はほぼ無口になっていた。なんだかゲームよりも他のことに夢中になりたい。そんな雰囲気を2人とも感じ取っているようだった。

僕はさすっていた手を一度離し、今度は後ろから優馬の内股に滑り込ませた。優馬は無口でゲームを続け、そこらへんの雑魚敵を狩っている。


「優馬、すべすべだね」


不意に僕が声を出す。


「う…うん」

「ちょっと興奮してんの?」

「うん、してる」

「優馬はオナニーとかしてんの?」

「それ、よくわかんない。どうやるのさ?」


まるで性欲と無邪気の狭間にいるような奴だ。僕は一気に頭のネジが外れた気がした。今なら、何をしても許される気がした。

その確信をえて、僕は内股から優馬のショートパンツの中へ指を入れ、ふくよかな秘部の谷間に中指を沿わせた。


「んっ…!」


たまらず優馬が一瞬ゲームの手を止めた。僕は容赦なく谷間をこすり、そのまま程よい弾力を持った竿まで指を伸ばした。どうやら優馬は下着を履いていないみたいだ。

どうりで異常にエロさを感じたわけだ。今はショートパンツが完全に優馬の肉棒をかたどって隆起している。なめらかな生地だから、亀頭の形までばっちりわかる。少ししごいてやると、優馬はビクビクと体を震わせ、快感をうったえてくる。優馬の手は完全に止まり、ゲーム画面では主人公がひたすら雑魚敵に殴られている。


「んはっ…裕にぃ、気持ちい…ぃ」


ガクガクと震え出す優馬は初めての快楽に溺れているように見える。


「どうする?最後までしてみる?」

「うん…する…」


もはや聞くまでもないことだったが、一応最終確認だ。

これで僕に罪はない。


「脱がすよ?」


そう聞くと優馬はコントローラーから手を離し、完全に身体を僕に任せた。僕は優馬の腹筋の方から指を入れ直すと、そのままショートパンツを膝まで下ろした。そして優馬の竿を後ろから握り、親指で亀頭に溜まった我慢汁を塗り広げる。亀頭全体がぬるぬるになるほど溢れた我慢汁をカリの部分まで広げて徹底的に指でこねくりまわすと、優馬は首や腰など、曲がるところを全て曲げて床の上でうねり出した。


「あぁっ…やばっ。裕にぃ、やばいやば…っ、い、いっちゃいそ…」


その言葉で僕は少し手を緩め、優馬の首筋に舌を這わせた。


「キス、してみる?」

「え…?」


…さすがにまずかったか。成り行きでこうなってるだけなら、普通キスしたいなんて思わないかもしれない。


「うん、じゃあついでに…してみよかな」


意外だった。優馬はどこまでやりたいと思ってるんだろうか。僕はどこまでやっていいんだろうか。そう考えてる間に、優馬は身体をよじって僕の方を向き、顔を近づけてきた。とりあえず今はやってしまおう。僕は優馬の後頭部に手を回し、自分の唇を優馬に重ねた。


「ん…ぬふ…」


優馬の歯は少し開いているが、舌が中まで入らない。ディープキス、なんて知らないのかもしれない。僕は優馬のわずかな歯の隙間を舌でぐいぐいと広げ、やっと優馬の口内までたどり着いた。お互いの舌が絡み合い始めると、優馬は口を開けて自分からを舌を伸ばしてくる。僕は優馬を床に敷くと、上に覆い被さりながらキスを続け、空いた手で自分もパンツを膝まで下げた。それから肉棒同士をかすめるように擦り合わせたあと、2本とも強く握って扱き出した。


「裕にぃ…っ、すげ…、んふっ」


優馬が何か喋ろうとするたび、僕はその口をキスで塞ぎ、できる限り深くまで自分の舌を押し込んだ。


「んく…っ、んぐぅぅぅ…!!!」


言葉にならない音を発した後、優馬の肉棒から温かいものが湧き出たのを感じた。何度も脈打ち、身体をよじらせながら、唇づたいに優馬の音を全て受け止めた。


「んぐっ、んぐぁーっ!んぐ!んぐぅ!」


何度もイク!イク!と言っていたようだった。少し呼吸が苦しくなるまで我慢して、僕は唇を離した。


「んはぁっ、んはぁっ、はぁっ、はぁっ!」


激しく優馬の声が漏れる。


「どう?気持ちよかった?」


僕は、少し兄貴ぶってそう聞いてみた。


「うん、すげ…すげかった…」

「はは、よかったやんな」


僕はまだ予防線を外しきれないでいた。一発イったあと、優馬はどう思うんだろう。冷静になって、やっぱりこんなことするんじゃなかったって思うのだろうか。そうなったら僕は気まずくて、もうここに来れたもんじゃない。でも、もしそうじゃないなら…。


「ちょっと…もう一回キスしていー?」


混乱した僕は無意識でそんな言葉を発していた。


「うん、…いいよ、しよ」


優馬は嫌がってない。そう思えて安心したと同時に、僕は再び冷静さを失い、優馬の唇を激しくむさぼった。優馬の舌は、さっきよりかは動きが鈍かったように感じた。



夕方のチャイムが鳴り、五時のニュースが始まった。僕と優馬はすっかり元通り服を着ていたが、相変わらずピッタリとくっついていた。体育座りの優馬の後ろから両手を回し、股や胸に手を這わせ、首筋にキスをする。たまに手を休めるが、数分後にはまた同じように手を這わせる。そんなことを30分位は続けていた。


…ガシャン!


不意に玄関の扉から音がして、卓馬が帰ってきた。僕たちは瞬時に身体を離し、不自然な格好でテレビのニュースを見つめた。


「あれ、お前ら何してんの?ニュースなんか見て」

「あ、いや明日の天気とか気になってさ…」

「明日何かあったっけ?」

「いや、いつでも晴れてた方がいーじゃん?」

「はは、何言ってんの」


なんとか場の空気を自然に戻そうとするが、慣れないのでうまくいかない。


「僕、そろそろ帰るわ」

「お、そうか。えっと、来週も火曜日集合でいい?」

「あぁ、多分ね」

「おっけ、また来週頼むわ」

「あいよー、じゃ、行くね」


そう言って僕は少し散らかした自分の荷物を鞄に押し込むと、玄関に向かった。


「あ!僕、郵便ポスト見てくるー」


優馬がそう言って後ろからついてきた。なんだ?何か言いたいことがあるのか?

よくわからなかったが、そのまま優馬と家を出た。5階のエレベーターにのり、ドアが閉まる。


「裕にぃ、今日はありがとな」

「ん?あぁ、別にいいよ、楽しかったし」

「うん、僕も!」


そう言って優馬は僕にきつくハグをすると、僕の頭を掴んで強引にキスをした。エレベーターのドアが開くと、郵便ポストまで走り、何もないやぁ〜と呟いている。


「来週、またきてね!」

「あぁ」

「じゃあまたねー!」


優馬は大きく手を振ると、またエレベーターの中に消えていった。

その姿を見守りきびすをかえすと、急に現実の世界に戻った。いつもと同じ風が吹き、木々がざわめく。ただそれだけなのに、今日は何だか湿っぽく感じる。いつもは匂いなんて感じてなかったのに、いろんな匂いがする。新しい世界に一歩を踏み出すような感覚で、僕は帰路についた。

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