9月6日(土)21:30 コンビニ

いくつかのコンビニやパーキングエリアに立ち寄りつつ、二人を乗せた車は、着実と目的地に近づいてきました。おそらく道中最後になるであろう街に差し掛かる頃、女はある提案をしました。


「夕食についてなんだが、コンビニで簡単なものを買って済ますことにしないかい?君も気づいていると思うが、私たちのような人間にとって、今日という一日はカロリーオーバーだったよ。」


「…いい考えだと思う。確かに胸焼け気味だ。ちょうど僕も、最後はいつものスケールで安心して眠りたいと思っていたところだよ。」


男は虫よけとおむすび二つ、緑茶、そして煙草とマッチを買いました。女はウェットティッシュとおむすび一つ、緑茶、そしてお酒を二缶とお菓子を買いました。おむすびと緑茶の他にもうひとつ、共通の買い物をしました。男の提案です。


「どうせなら、店員さんに『チップだよ』と言って渡してみたかったんだけどな。」


「最期をコンビニのバックヤードやパトカーの中で迎えるのは勘弁だよ。」


 二人に残されていたお金は全て、レジの募金箱へと納められていました。



残金 男:0円(虫よけ代、おむすび代、緑茶代、たばこ代、マッチ代、募金)女:0円(ウェットティッシュ代、おむすび代、緑茶代、お酒代、お菓子代、募金)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る