9月6日(土)17:50 喫茶店
映画を観終わり、二人は喫茶店に入りました。話題はもちろん映画の感想です。主人公は詐欺師でした。天才詐欺師が、ターゲットの娘に恋をしてしまうというありがちな設定でした。ありがちな設定ではありましたが、ターゲットの大富豪やその娘、ライバルの探偵といった魅力的な登場人物、圧巻のトリック、そして何より主人公の心理描写が非常に丁寧で、二人は大満足でした。しかし、女には少し思う所があったようです。
「しかし、映画っていうのは時間制限があるのが残念だね。」
「何か、物足りなかったのかい?」
「救急車で星空を観にいくシーンだよ。劇中最大の山場としては素晴らしい演出だったのかもしれないが、今際の際に星を観にいきたくなる人間なんて存在するか?」
映画では、ターゲットの娘は主人公達の争いに巻き込まれて命を落とすことになります。金銭や人脈といったあらゆる資産をなげうって延命を試みる主人公に対して、娘がした最後のお願いというのが、幼い頃に観た星空をもう一度観ることだったのです。
「うーん、思わなくもないが、そこがあのキャラクターらしさだとも思わないか?それに、星空には魔力があるからね。世間知らずで夢見がちなお嬢様にとって、最愛の人と最高の景色の中、最期の時を迎えるというのは、最高にロマンチックだったと思うよ。」
「…星空の魔力か。」
「いまいち腑に落ちないようだね。じゃあ、確かめに行かないか?素敵な映画の聖地巡礼というのも、理想の死に方としては無しじゃないと思うのだけど。」
残金 男:45,167円(コーヒー代)女:45,762円(コーヒー代)
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