(二)-10

 男が通りを走り抜けていくと、背後から警察官が走って追いかけてきた。警察官は男のことを「ジャリル」と呼び、立ち止まるように説得しながら走った。ジャリルも走った。

 ジャリルは走って川にかかる橋を渡った。その際、持っていた鞄を私ごと川に放り投げた。その直後、川を渡りきったところで、ジャリルは警察官たちに取り押さえられた。

 それにしても何故ジャリルは骨董品店に押し入ったのだろうか。私には全く理解できなかった。何か欲しい物でもあったのであろうか。金目の物が欲しいのであれば、押し入るのは骨董屋ではなくとも良かったのではないかと思うのだが……。


(続く)

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