第3話 守護騎士の刃

3-1

シャインシティ北部、工事現場。ダークフォースの刺客ドライバーダークとスパイナーとの激闘が、今まさに始まろうとしていた!


「現れたなダークフォース!」

「ドルルル!よく来たなスパイナー」

ネジーを従え高らかに叫ぶ機械怪人。銀色の素体にプラスチックのような質感の黄色い装甲。シンプルな外見だが、その右腕には槍と見紛うほどの巨大さを誇るドライバーアームが装着されていた。


「早速だがご退場願うぜ!来いネジー共!」

ドライバーダークは右腕のアームを傍らのネジーの一体に突き出した。ネジー達の頭部は、黒一色ののっぺら坊を思わせる顔面に巨大なネジが突き刺さっており、そのネジ頭が十字のモノアイがついた仮面のように見えるというデザインになっている。そして、その顔面の十字に、プラス型になっているドライバーアーム先端がぴったりと差し込まれた。ドライバーダークがそのまま右腕を高速で回転させると、直立不動の姿勢をとったネジーも頭部を中心に全身を回転させる。


そしてドライバーダークが右腕を持ち上げ、スパイナーに向けてネジーをぶん投げた。

「食らえ、ネジースクリューショット!」

「ネジジジジジ……」

巨大な回転ネジと化したネジーが、高速でスパイナーに突っ込んでくる。

「!!」

ジャンプで躱すと、彼のいた足場へネジーが突き刺さり、深々と地面を抉る。まともに食らったら洒落にならない威力だ。

「まだまだ行くぜぇ!」

ドライバーダークが手下のネジーを片っ端から飛ばし、回転ネジ弾がスパイナーを次々と襲撃する。彼はダッシュでネジーの連撃を避けつつ、隙を見て垂直に跳び上がり、スパナアームをバットのように振るって飛来するネジーを横から殴りつけた。


「ネジッ」

スパイナーに撃ち返され、きりもみ回転しながらドライバーダークの方に軌道を変えて飛び戻るネジー。だが、怪人はそれを避ける様子もなく右腕を突き出す。

「フン!」

ドライバーアームはネジーの胴体を易々と貫通する。そのまま2体、3体とネジーがドライバーに刺さっていき、焼き鳥のような状態になったかと思うとネジー達は連鎖的に爆発した。

「ネジ〜!」

戦闘員とはいえ、機械怪人を構成する特殊金属をあっさり貫通するとは。スパイナーは改めてドライバーの威力を思い知る。


「どうした、ビビったのかぁ?」

ドライバーダークが一気に距離を詰め、高速でアームを振るってくる。スパイナーは連続突きを冷静に捌いていくが、その先端を警戒して攻め手がおろそかになったのは否めなかった。とはいえ、それも無理はない。一撃でもまともに食らえば、ドライバーは容易く彼の纏うマインドアーマーを貫通する。スパイナーの直感がそれを告げていた。


しかし、防戦一方では不利になる一方なのもまた事実だ。

「さあ、もう逃げ場はないぜ!」

ドライバーアームの猛攻から後退し続け、スパイナーは壁際まで追い詰められていた。このままでは遅からずボディに一撃を食らってしまう。どうにかして体勢を立て直さなければ!だが、どうする?彼は最小限の動きで周囲を確認し、打開策を探す……!


「ドルルル、今度はお前が串刺しだーっ!」

とうとう工事現場の端まで敵を追い詰めたドライバーダークが、一気に踏み込んで右腕を突き出す。スパイナーのエネルギーコア、いや心臓部分を狙って真っ直ぐに穿たれる魔の一撃。しかし、ギリギリの所でスパイナーは真上に跳躍し突きを回避、怪人の魔槍は背後に置かれていた箱型の装置に突き刺さる。


「ええい、小癪な!次こそは……ドル!?」

彼は金属製の装置をあっさり貫通したドライバーを引き抜こうとするが、ここで異変に気付いた。右腕を通して、素体内に電流が流れ込んでくる。工事現場の片隅に置かれていた巨大な箱型装置。それは、建設用の機械を動かすために導入されていた大型の発電機だった。スパイナーは後退しつつ、密かに敵が発電機を攻撃するよう誘導していたのだ!


「ドルルッ!お、おのれ……!」

電流に襲われながらもどうにか右腕を装置から引き抜くドライバーダーク。しかし、その隙を黙って見ているスパイナーではない。既に建設中の建物の骨組みに登っていた彼は、敵が腕を引き抜くと同時に高所から飛び降り、両膝をついていた怪人の右腕に向けて巨大スパナを思いっきり振り下ろした。

「スパナノックダウン!」

「ドルァッ!?」

鈍い音と共に、ドライバーアームは真っ二つに叩き折られていた。スパイナーは無言で着地し、構えの姿勢をとる。建設会社には申し訳ないが、一か八かの賭けには勝った。ドライバーが使えない今、奴の戦力は一気にガタ落ちしたはず。ここで一気に蹴りをつける!


しかし、敵もさるもの。身軽になったのを利用してすかさずその場で連続バック転を決め、スパイナーから充分に距離をとる。

「ドルル、覚えていろ!」

そう捨て台詞を吐いて、ドライバーダークは脱兎の如く逃走。マインドヘルム内のレーダーからも反応が消え失せたため、スパイナーも追跡を断念。脅威が去ったのを確認し、空戸研究所に帰還することにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る