怠惰なオレがめちゃくちゃ忙しい

東宮 小十郎

怠惰な独白


心を亡くすと書いて「忙しい」。

「疲れる」という感じにも疒(やまいだれ)が入っている。


つまり人はゆっくり平穏に過ごすべきなのではないだろうか。

全力を尽くしても疲れるだけであり、場合によっては面倒事に巻き込まれる可能性すら出てくる。


さらに世の中不平等なもので本気を出して是とされるものと本気を出すことを許されないものが存在する。


例えば体育の授業で野球でも行われたとしよう。

クラスのイケメンで陽キャな、まるで主人公のような者がホームランを打ったり投手として三振に抑えたら盛り上がるだろう。


チームメイトは喜び、相手チームも「あいつならしょうがない」という感じになり、仮に女子が観戦していたとしたら黄色い歓声が上がるという全員がハッピーな展開が待っている。


しかし、そうでない者。


いわゆる陰の者が同じことをしたらどうだろう。


答えは決まっている。


気まずい空気。


これ一択だ。


特に陽キャを抑えたりなんかしてみろ。


一気に盛り下がり、陽キャをフォローする声がかかり、抑えてしまった陰キャには「空気読めよ」的な冷たい視線があちこちから突き刺さること間違いない。


誰も得しない結末を迎える。


そういうわけで全力など尽くさずにほどほどに手を抜く方が良いのだ。


だがしかし、困ったことに目に見えて手を抜いているとそれはそれで避難の視線が降り注ぐ。


クラスの中心側の人物に「ちゃんとやれ」と喝を入れられてしまう。


手を抜くのも他人に悟られてはいけないのだ。


そのためにも日頃から陰で目立たないように過ごすというのが大切だ。


面倒事を避けるには面倒事がそもそも起きない状態に持っていく。


また、一時の面倒もその先の面倒と天秤にかけて行使を厭わない。

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