テキーラを飲むうなぎ
敵ーラ。敵ーラ。
元日にガスタービン回して、どこに行くんだい? ゆっくりと、おせちかい? 海老は入れたかい? あいつらいい奴だから、そんなに獲ってやるなよ笑
敵ーラ。敵ーラ。
夜中に電話かい? ノコギリみたいな声しやがって。タバコの吸い過ぎだぜ。しっかりと、養生しろよ。
敵ーラ。敵ーラ。
乳房にたこ焼きかい? なんでもないさ、潺潺と、乳房笑
敵ーラ。敵ーラ。
縣県に行ってみたよ。早速仲間は狩られた。残ったのは、俺だけだ。孤独なうなぎだよ。孤独なうなぎ。仲間には、ちゃんと、大根添えてやれよ。
敵ーラ。敵ーラ。
久々に、新参の外来魚と出会ったぜ。ピラニアっていうらしい。獰猛だけど、普段は優しい奴らなんだぜ。でも、あいつら、時々俺を美味そうな目で見るんだ。これって差別かな?すごく迷うよ。俺は、俺が疑り深くて、嫌いだ。
敵ーラ。敵ーラ。
舟が来た。上流にいりゃ、舟は来る。ただの船じゃねえ、舟は、仲間を積んでるのさ。舟から無数のうなぎが、海に放られる。てめえらが食った分、それでちゃらにしろってことらしいぜ。そんなことで、友だちのホテオスも、ネュヒメも、帰ってこないぜ。......まあいいさ、次の仲間ともうまくやるよ。俺は、プランクトンをたらふく食うからよ。たっぷり食うから。
敵ーラ。敵ーラ。
仲間のやつが早速一人消えたぜ。テフヴルのやつさ。狩猟の舟は来なかった。つまり、誰かがやったのさ。誰とは言わねえけどよ。
敵ーラ。敵ーラ。
今、すげえことがあったんだ。すぐにでも話してえんだが、興奮が冷めやらねえし、酒も抜けねえし、なかなかうまく話せる気はしねえ。でも、そのうち、絶妙に話すから。近々。今日は、友だちのことを思って、泣くよ。テフヴル , ミダクハ , ゥシビシ , ジメレィ , ブゲスオ , ズマアン , ホネクベ , ヒボビサ , ヘラッツ , タルアモ , デュメズ , ユヰオリ , ダスュハ , タッミラ。
敵ーラ。敵ーラ。
ピラニア1匹の葬式に、奴ら、総出で出向きやがった。話を盗み聞きした限り、奴らには、どうやらまだバレてねえらしい。群れをはぐれた1匹のピラニアが、別のあらゆる種に取り囲まれ、無惨にも殺されちまったことは。全く、冷や汗かいちまうぜ。下手人がバレた暁にゃ、俺の身体は八つ裂きになるに違いねえ。深手を負ってる今だと、逃げ切れる気がしねえからよ。良かったよ。
敵ーラ。敵ーラ。
ていうか、なんで俺がこんなに気負いしなきゃなんねえんだ。死んだスイミーの野郎は、死に際の抵抗で、無数の仲間を道連れにしたんだ。俺ら、被害者じゃねえのか? なあ、おい、答えてくれよ。パペグン , タセァヤ , ナペヤタ , エペォコ , ンレバヒ , リオボカ , ヂヱヮピ , ヱゲラマ , エコヵン。
敵ーラ。敵ーラ。
むかつくぜ。たまらなく、むかつく。狩猟の舟がやってきて、俺らの仲間を連れ去りやがった。夏の、まだ脂も乗ってきてねえこの時期にだぜ。別に、脂が乗ってたら嬉しいってわけじゃないけどよ。ホントに、舟の野郎が考えることは、さっぱりわからねえぜ。
敵ーラ。敵ーラ。
ついに、ピラニアの野郎が気づきやがった。俺は一足先に(足なんてねえけどな笑)逃げて、下流の方までたどり着いた。しかし、運が悪かった。下流には、釣り針があったのさ。それも、海老の形をした綺麗なルアーだ。あんなちゃちいプラスチックの塊、美味そうに見えたことなんて一度もねえんだが、神様の野郎が言うんだよ。「ルアーを見つけたら、飛びついてあげなさい。人間が喜ぶから」って。飛びつかなかったら、一生、自分の尻尾を口にくわえさせられるのさ。だから、あのゴミを見たら最後、俺の死は決まったも同然なんだ。というわけで突然だが俺の話はそろそろ終わりにさせてもらうよ、悪いな、恨むなら釣り人を恨んでくれよ。
敵ーラ。敵ーラ。
なんで喋れてるかも分かんねえけど、最後に言い残したことがあった。いなくなったテフヴルのやつだけど、見つかったよ。俺は釣られたあの後、競りに出されたんだけど、そのクーラーボックスの中に、なんと奴もいたんだ。先に釣られたのか、俺と同じ日に釣られたのか、今となってはもうわからねえ。ただ、ピラニアの奴には悪いことしたなって。それだけ。じゃあな。
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