293_副音声

『79 61 6d 65 72 75 6e 64 61 21』

『62 61 69 6b 69 6e 6d 61 6e 21』

『68 61 68 69 68 75 68 65 68 6f 2d 21』


聞いたことのない言語音声が脳に響く。

今見ている番組は、私が子供の頃から放送している長寿アニメだ。


「もうこのアニメも…か」


リモコンの副音声ボタンを押すと、違和感のある音声が流れ始めた。

どうやらこのアニメは音声の配慮はしてくれているみたいだ。

最近の番組は副音声はなく、字幕ボタンを押すと平仮名のみ表示されるものばかり。

その平仮名も時々間違っているのだが。



「6e 75 6d 62 65 72 35 39 32 34 2e」

「69 74 69 73 73 74 69 6d 65 74 6f 64 6f 62 75 73 69 6e 65 73 73 2e」

部屋に入ってきた無表情の警備が私に向かって言う。

いつものことながらいきなり部屋に来るたびに驚いてしまう。


「67 6f 72 69 67 68 74 61 77 61 79」

私は急いで身支度を済ませ、仕事場に向かう事にした。


今日も大勢のお客さんが私を見ている。

「49 61 6d 61 68 75 6d 61 6e 2e」

「50 6c 65 61 73 65 74 61 6b 65 63 61 72 65 6f 66 6d 65 74 6f 64 61 79 2e」

初めの頃は言えなかったが、慣れればスラスラと言えてしまうもんだ。


「74 61 6c 6b 6e 6f 77 21」


「今にちわ!」

今の私の言葉は合っているのだろうか。

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