292_冀望山

この山の向こうには光がある


舗装された道を歩むことしかできない

金があれば車を使えるらしい

飛行機が飛んでいるのが見えないのは

山の向こうが見えてしまうからなのか



僕らはいつか死ぬ、大半は光に届かず死ぬ


「これでよかった」と振り返って納得をする

気持ちよく死ぬにはこれが一番なのかもしれない

そんな笑顔を崇拝して進んで進んで


僕らはいつか死ぬ、大半は光に届かず死ぬ


「まだ」と野垂れ死んだ奴は笑われ蹴飛ばされ

辛いまま死ぬにはこれが一番なのかもしれない

そんな苦顔を笑って、蹴飛ばして



舗装されていない道の先は知らない

生きて辿り着いた者はズルいと笑われる

死んで倒れた者はやっぱりと笑われる



僕らが目指す先には何があるんだろう

僕らが求める光には何があるのだろう



死体だった上に胡坐をかいて座り

何もない綺麗な石碑を今日も拝む

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