第19話
辺り一面の水を氷へとしながら少し考える。
例えば能力の保有量のキャパシティ総量が全員同じなら特化型に成れば成る程最大火力は上の領域へと行ける。だが、例えばエレメンタラー種は元素因子結晶の集合体で、元素系の因子結晶が幾ら増えようが強化されようが自分の体が大きく成ったのと大して差は無い。要は所有因子結晶が増えれば増える程、強化されればされる程にキャパシティも上昇していくと言う反則にも程が有る状態な訳だ。
自力で因子結晶を創る方法は一つのテーマのエネルギーを自力で大量に産み出すか何かで、それを己に順応させる事が必要で、それをこなす事で己の中に因子結晶が初めて産まれる。
…つまり、万能型の因子結晶を零から創るのは難易度が高すぎる上に、因子結晶に常備されてるいわゆる守護領域の性能も具体性の無い物に成る。例えば、数多の能力を使える様に成る能力が有るとしても、使える様に成る能力側では無くその能力自身の領域が展開されてしまうからだ。
…つまり万能型系能力は創るのが難しい上に失いやすい能力って事に成る。そんなのを好き好んで得る奴はそんなには居ないんじゃないかな。まあ、その能力単体で戦えるタイプの奴ならその限りでも無いけども。
まあ要はアレだ。特化型の方が能力としての領域が上に行けるが、メタられた際のカバーのし易さの点ではある程度の種類を持っている方が良い訳だ。
だから今回の場合は体を水化出来るなら氷系も持っていた方が無難では有るが、…特化型じゃ無くす以上、氷系の特化型を相手にしたら押し負けやすいと言う事に成るし、水系の特化型相手にも厳しい形に成る。
つまり特定の条件下の相手には高い確率で勝てるが他の条件下なら高い確率で負ける。か、火力負けを高確率でするが広い範囲の相手と戦え無くは無いのを選ぶ必要が有る。…まあ常に数で押すなら他のに特化した奴も一緒に用意すれば良い訳だから前者一択だけど、個人で全部と戦うなら火力不足や火力負けを技量で補いながら後者でやるしか無い。何せ、何時も自分に有利な条件下で戦える訳でもないのだから。
まあ実際、キャパシティ量がそもそも違うなら特化型を特化せずとも超える奴も居るだろうが、一般的な例とは言えないだろうし。
何が言いたいかって、そりゃ…一属性の存在に何の制限も無しに多属性持たせたりしたら元ネタ側の立つ瀬がないんですよね…。
まあそれはともかく、粗方の水を氷にしたあとに進軍を再開する事にする。
次に行くエリアは岩山的に岩が大量に散乱している場所の様だが…?
実際に見えたのは沢山の大小様々な岩が空中に浮かんで動いているカオスな場所だった。
…サイコキネシスか何かなんだろうか?
多分迂回したほうが良さそうだ。
皆で迂回する事にするが、近場には来ては居たわけだから、岩の幾つかが飛んできた。…相応の電気を纏いながら。…ってレールガンかよ!結界の人が結界を展開するがいきなり結界が消え、各々が能力を展開したが一部犠牲者が出てしまった。
…普通のレールガンとは違った様だが。何故結界は消えた?
そこで己の状態を顧みて気付く。明らかにこれは一回能力を使った程度の体力消費量では無い。敵の能力による力の浪費か何かが原因だ。…つまり結界が消えたのは攻撃に依って結界を維持するエネルギーを過剰に要求されて結界を出す奴のエネルギーが尽きたのだ。
…エネルギーが無尽蔵な奴でも無い限り今回のレールガンを放ってきた奴を倒そうとしても途中でエネルギー切れに成ると思われる。
本来ならエネルギーを回復する道具は有るのだが、ルール上使用禁止だ。…それをアリでやると切りが無いし、仕方ないのだが、…今回はこっから先は結界には自然回復分以外殆ど頼れないって事かよ…。洒落に成らんなこれは…。
そして此方の出方を覗っていたのか、少しの空白が有った後にレールガンを連発し始めた。…一発一発自体は対処出来ない程でも無い…が、能力なり何なりで防ぐとゲーム的に言うならMPが物凄いスピードで削られていく。
このままではこれをやってる奴を見る前にゲームオーバーだ。
…すると先に闇の因子の能力を教えてくれた人がやれやれと言う顔をして、能力で闇のマントを羽織った。
…中二病発症してる暇が有るならば対処してくれと言おうとしたら、
「やれやれ、今回は手を出す気は無かったんだがな」
と呟いた。
そして気付いたら闇のドームの中に居た。近場に有ったレールガンとかそう言うのも消え失せて居る。今もレールガンは連発されているはずなのにそれらしい音も聞こえて来ない。
気付いたらドームは形を変えていた動き出したかと思えば移動した後の場所に気付いたら居た。…なんだこれは?まるで行動の間が抜け落ちて居るような?…ああ、成る程。闇の因子の内容に付いて知ってたのはそれを持っていたからで、これは行動に掛かる時間を欠落させているのか。で、敵の攻撃の威力も欠落させてガード、と。…有能能力処かクソチートじゃ無いですかやだー。
…そう言えば、何故闇が欠落かって理由は二元論に有って、二元論は光と闇で言われる場合も有るけど、何かが有るから起きる事と何かが無いから起きる事の二つに分ける事が出来る。…で、何かが無い…つまり無くなった失ったで起きる事も含むとして、結果として欠落が当てはまった事に成る。二元論の片方的な意味での闇や欠落と言うわけだ。…まあ、闇である必要性は無いが、光に対抗可能な能力でこじつけ可能な範囲の能力だったわけだからそうなったのではないかと言う話だ。
…それはともかく、…これじゃ外がどうなってるか解らないな…。どうするか…。
其所にテレパスが繋がる。
『此処で皆に質問だ。俺がこれをやってなかったらエネルギー切れで詰んでた訳だけど、このまま進む?それとも撤退する?』
『………』
皆が沈黙した。つまり、本来なら復活も出来ずに詰んでたが、今撤退すればそうならなくても良くなるぞ、と。
『今回の敵の能力がアレなだけで、他の奴なら何とかやりおうが有るだろ?』
『まあ確かに、レールガンが幾つも飛び交う場所を能力的な補助や防御無しに突破しろ。ってのは無理ゲーだ。だがな、例えば【転移】系能力が有れば敵の懐に一気に突貫出来るし、ゲーム的なクールタイムとか無いなら回避だって余裕だろう』
『レアな因子を例に出すとか、要は俺達では実力不足だと?』
『其所までは言ってない。と、言うか、実力を積み上げる為の戦争演習で実力が足りないから、とか言ったら元も子もない。つまりは、本陣のサポート側に俺達もまわるかどうか?って話をしてるんだ』
『なら今の奴を倒してから…』
『それだとかなりの比率でエネルギー切れに成るのは目に見えてるだろうし、援護もまともに出来ないだろう…さて、とりあえず倒して来るから、どうするか考えときな』
そして彼は消えた。…移動時間を欠落させたのだろう。
闇のドームの中に今居る関係上、戦闘の様子が見れない。…せめて音くらいはと思わなくは無いが、闇のドームは防音体制もしっかりしてるらしい。対象を絞る事でこちら側が触れても問題無い様にしてるのか、地面側にも展開されてるので、箱の中に居る気分である。…と言うか地面側にも展開してなければ、外の音くらいは普通に伝わってきそうなので展開した最初からそうなのだろう。
まあ、流石に負ける事は有るまい。負けて死んでたらこの箱ドームも消えるだろうし。ドームがある限り死んでは居ないはずだ。…出力ゲーで出力で上回れば良いって言うならゲーム的に例えれば自分からダメージ判定関連部分を欠落させてしまえば幾ら高い威力の攻撃を食らおうが基本的にはそもそもダメージに成らないだろうし…。
そして少しの時間が経った後に彼は帰ってきた。…しかも、無傷で。
「いくら何でも速過ぎるが、本当に倒してきたのか?」
「…攻撃で起きる現象側を欠落させたら大抵の攻撃は無意味なんだよな。相手の能力自体では無くそれを受け取る空間側への介入だから相手の能力は基本的に関係無いし」
「なら相手が空間側に干渉出来たら話は変わるんじゃないのか?」
「あくまで能力の現象と空間は別物で、世界その物の意思とかの世界を直接操れる奴相手じゃ無きゃ力のぶつかり合いにそもそも成らないぞ。それが出来てレベルも格上だから勝てるとかほざく奴が居ても、前提を同じにし無いと能力自体の比較検証では意味が無いがな。もしレベルが上でその能力に勝てましたとか言ってもそれはそいつだけの話で、そいつの強さで有って能力が劣っているって訳では無いな。…結果的に能力が弱いって事にし無いために創作なんかでは強能力持つ奴は愚者なり無能なりにされやすい訳だが、それと似たような物だ」
「しかし出力で勝った負けたに成ると正直水掛け論ですよね…」
「それはそうだな。能力を語る時にその能力を運用するのに必要な基礎能力について言うのは良いが、それ以外を大量に付け足すとそれなら能力ほぼ関係ないじゃん。的な話に成る。能力の強さ議論をしてる時にキャラの強さ議論を持ち込まれる様な物だから考慮し無いために基本的にはぶつかり合いに成らずとも根本的に対処出来る方法を取る訳だが」
「まあ確かに能力単体を議論として話してる時にぼくのかんがえたさいきょうのきゃらを前提にされても…って感じですね」
「まあこれの場合は大抵の能力相手なら単なる現実として、能力では相手自身には一切介入し無くても問題無いのだから相手が幾ら強かろうが関係ない訳だがな」
「介入内容としてはどんな感じなんだ?」
「要は力が空間内を伝達するって事を空間へ力を使い欠落させる。だな。それに自身を含めても良い」
「ふむ」
「さて、説明はこれくらいで良いだろう」
「なら問題点はなんか有るか?」
「…有ることは有るが、対策すれば問題無い範囲の話だな、とりあえず、メタを張ろうとしても個の認識を違えてるなら今の所は心配するほどの事でも無いかな」
「はい?」
「いや、こっちの話。要は概念としての能力は、と言うか能力の使い道が一定以上自由度が高い奴は、それを正しく認識をして可能性を突き詰めないと、そもそも十全には働いてくれないからね。能力を創った奴の想定した使い方のみしか使うつもりが無かったり、限られた使い方のみしか使わないで良いなら話は別だけどさ」
「まあ、何でも出来る能力が有るのに、一部の能力しか使わないならその能力を持っている意味が無いものな」
「さて、とりあえず今回の敵はトールだったんだが、さくっと殺してきた。まあ、概念に至ってる神に関してはその概念を成立させる要素が全部消えでもし無い限り存在としては再生するからな。まあ、結果として神によっては世界その物を造り替えでもしないと存在を滅するのは無理ゲーな奴も居るから、多少殺した程度で意味は無いんだけどね」
「概念=神、の式か。概念が集まって産まれた神はその集まった概念やそれを成立させる全てが完全に消え去りでもし無い限り残った物や概念からまた産まれ直す。って話だったよな。…で、名前だけ完全に消した所で同じ意味の別の言葉の神に成ると。本当酷い話だ」
「でもその説明だと世界その物を壊せる奴が居たら普通に倒されそうですが…」
「実際、世界を壊す流れで破滅願望があるのでも無ければ他の世界も有るのが前提なんじゃ無いか?そしたら幾つかの世界の概念を自分の根幹に据えればその全ての世界が同時期に一気に破壊でもされない限りは問題無いぞ」
「…世界を渡る手段又は世界と世界の間での連絡手段か世界を超える攻撃手段が無いと倒すの基本的には無理ゲーって事ですか…」
「まあ、一つの世界の一つの概念を元にする程度なら世界その物を改変出来れば普通に対処可能だ。例えば一つの天候の概念を基盤にしたのなら、その世界のその天候に関する記録と記憶を消して、世界改変して、その天候に成らない様にすれば良い。…まあ逆に言えば普通に生きてれば多用されるような根幹的な概念を基盤にする奴についてはその世界の生物全殺しするのもし無いと暫くしたらまた復活するだろうがな。例えば時間の定義なり日付なり何なりとかさ」
「うわー…」
「ついでに言えば元素系の因子の取得には純粋な火力よりもその火力への順応が必要…つまりは何らかの手段で誰かが出せる火力以上の火力を出せる因子を手に入れるのは一つの元素因子単体では厳しい事に成る。だから、因子以外の方式が無いと元素因子は色々と火力キャップが有る事に成る訳だな」
「ならレメンタラー種は成長限界有るって事なんですかね?」
「レメンタラー種については様々な種類の奴を同時に使えば問題無いんじゃないか?」
「そんなもんですかね…」
「概念が寄り集まって産まれた存在ってつまりは元となる概念が存在しうる状態でなら幾らそいつを殺そうが一時的に死のうが最終的には死ぬ余地が無い。それでも殺したいなら基盤全ての概念が存在出来ない状態に持って行かないと、幾らでも蘇る。概念から産まれる存在を概念を残した状態で根絶しましたとか言っても一時的な物でしか無いわけだ先のポセイドンの例で言えば、体の水を別の物に変えても体の供給元を潰さなかったから其方に体を移して逃げる余地を与えてしまった様な物だ」
「…体を幾ら物理的に殺そうが、その体を成立させる要素を潰さないと新しく体を成立させられて殺した意味が無い的な話ですか…。」
「要は水面に映る月を消すために水面を波立てさせようが、その水を抜くなり何なりとでどうにかし無いと意味が無い的な話だな」
「本当酷いですね…。」
「…お?流石に目立ち過ぎた様だな。外に敵が来た様だ。俺は手を出さないから、頑張ってみようか」
「では敵の数は?」
「アジ・ダハーカ、二体と…ペルーダ、一体、だな。アジ・ダハーカ二体の方は炎を纏ってら、…つまりは傷口を焼いて塞ぐ手は簡単には通用しない様だな」
「えっ。昆虫どうすんですかそれ」
「体を切った後に結界なり何なりに部品毎に隔離しつつ閉じ込めるしか無いんじゃね?…問題はその結界が多用出来る状態じゃ無いって事だが」
「…自分が【剛体化】で疑似結界創りますから後は何とかしてください」
「じゃあ準備は良いか?十秒後にとりあえずドーム解除するぞ。構えな」
…やるしか無いか…。
…前に説明だけして放置していた召喚獣の強制送還の話が有るのだが、今回はそれを狙ってみる話に成った。
上手く行けば良いのだが…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。