第三幕 099話 花の夢 ~閑話~
花園の記憶。
色とりどりの花が揺れ、香る香りは甘かったり涼やかだったり。
物心ついて唯一美しいと思った景色。
世界はもっと汚くて、救いようがなくて。
だから思ったのだ。汚いものが生きる世界なのだと。
美しいものは幻想だと。夢の中だけに存在する。
それまで見て来たものもそうだったし、それから目にしたものもそうだった。
世界は汚い。どうしようもない。
それを見ている己もまた汚い。
汚濁と腐臭ばかり。
あの花園の景色は夢の中。
女神が見た夢に違いない。
「才がある」
拾われて、それまで手にできなかったものを手にしてみても。
綺麗な花弁かと思えば、触れた先から腐ってしまう。枯れてしまう。
世界はやはり汚濁と腐臭に塗れて。
同じ悪臭を振り撒く己の手を呪ったこともある。
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