第439話 ヤバい客が僕です。
今回は、自分が明らかな「ヤバい客」ムーブをしてしまった話。
ジョギングシューズを買いにスポーツ用品店に行ったのですが、四千円台の靴が妥当かな、という目安で棚を見てました。
棚にはそれぞれのモデルの靴が一足、置かれていて、それぞれに番号が振られています。買う方はこの番号を頼りに棚の下の積まれた箱から、買いたい靴の、自分に合うサイズを手に取ってレジへ向かうシステムになります。
で、僕は四千円台の靴で、サイズが合うものの箱を手に取って、試し履きしようかな、と箱を開けてみた。
違う靴が入っている。
瞬間的に混乱して、慌てて番号をチェックしたのですが、棚にある僕が買いたい靴の番号と合っている。じゃあ、僕の手元にある違う靴の番号は? と見てみると、なんと、同じ番号。
どうやら店の方で何かの手違いで番号がダブっている。
ここまでなら、普通に欲しい靴を選べばいいのですが、そうは問屋が卸さない。
靴の値段に二千円の差があり、よく見ると、同じ番号を当てられた二つの靴の箱が棚の下でごちゃごちゃに積まれている。
さらに観察すると、値段も混ざっている。
四千円台の靴と、棚には六千円台の札が出ている靴が混ざっているのですが、両方とも、本来の値札の上にセール価格の値札が重ね貼りされているのです。
想像するに、店員さんが四千円台の靴の箱の値札に、四千円の値札を上から貼り付ける中で、番号が同じ六千円台の靴の箱の値札にも、四千円の値札を貼ってしまったらしい。
僕がまず考えたことは、四千円の値札の六千円の靴をレジに持って行ったらどうなるだろう、ということです。レジではバーコードを読み取るわけで、後付けの値札のシールは無視して、レジは六千円という値段を表示するのは間違いない。では、その時、店員はどんな対応をするのか。
仮に、値札が間違ってます、と言われると、やや気まずい。
しかしここで、六千円の靴を四千円で買えるかもしれない。
そんな感情が入り乱れた結果、僕は恐る恐るレジへ靴を持っていって、
「すみません、この靴ってこの値札の値段で売ってもらえますか?」
と聞いたのであった。
明らかにヤバい客である。
店員さんはやや胡乱げに「そうですよ、この値段です」と答える。値札の間違いにそうそう気づけるわけもない。
で、僕が想像したレジの表示ですが、まさにレジはちゃんと六千円の値段を表示した。そしてなんというか、ちょっと可笑しいですが、店員さんが手で何か入力して、六千円の表示を四千円に変えてしまった。
というわけで、ちょっといい靴を安く手に入れました。全てが店の側のミスとチェックの不十分とは言え、やや申し訳ないな。店員も「この値札の値段か」などと意味不明なことを聞いてくる客に困惑しただろうけど、さて、あのミスにはあの後、気付いたのか、気づかなかったのか。
しかし、次にあの店には行きづらいな。変な客として認知されていそう。
2023/6/25
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます