第312話 いやー、これがハケンだ

 今回は久しぶりにアニメの話。

 全く知らないまま、アニメ「リコリス・リコイル」を途中から見ることになりまして。いったいどんな話なんだ??? と思いながら、よく分からないテロリストが地下鉄でマシンガンをぶっ放すのを眺めたところからスタートなのですが、いよいよここに至って、すげぇ良いな! となった。

 ファッションがまず優れてるのですが、終盤になると台詞回しがすごい。たきなが「心臓が逃げる!」って叫んだのは、凄い芸だった。他にも弾丸が首元をかすめて髪の毛を突き抜けるような描写があるけど、あれも凄い。今までになかった演出ではないけれど、僕には響いた。

 この作品において終盤で大きく取り上げられる、「命」、あるいは「寿命」のテーマはかなり重いし、作中でも声優さんの迫真の芝居で、響きすぎるほどなのですが、そういう難しいものを織り込んでいくところに、創作の可能性、未知なる領域があるのかもなぁ、と思ったりもした。

 書くのを、描くのを、避けたくなるものって実は多くあって、同じような感じを「聲の形」を見た時にも感じた。前に記事にしましたが、22/7の宮瀬玲奈さんが「目を背けたくなる場面もあったけど」という表現をして感想を発信してました。その、目を背けたくなるものは、暴力的だったり、残酷だったり、純粋な悪意だったりして、本当に存在すると考えてしまうと恐ろしくなるものなのでは。だからこそ目を背けて、無かったことにする。まぁ、創作においては、そういうものを「創作だから」という一線で、必要以上に誇張したりする方法もあるのですが。ともなく、この、怖いものを何とか調理しよう、解釈しようとするのが、創作の役目、もしくは使命で、避けては通れない道なのかも。僕にはなかなか、出来ません。

 何にせよ、「リコリス・リコイル」は2022年を象徴するアニメになるでしょう。全てにおいてハイレベルで、隙のない作品でした。これを書いている段階ではまだ最終回が放送されてないのですが、期待しかない。どんな風に結ぶんだろう? 明るい終わりになれば良いなぁ、と思ったりもするけど、こういう、明るい終わりを期待することが、重いもの、暗いものから逃げようとする習性だよなぁ……。

 しかしあの、真島の「よぉ」のシーンは痺れた。あんなカッコいい絵も演技も、久しく触れていなかった。感動した。偶然にも見始めだけど、最高の幸運でした。はぁ……、感動で震える……。

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