第180話 怖くなった格闘技の一側面

 年末年始ということで、様々な格闘技がテレビで放送されたので、今回はその話。

 なんとなく時間潰しにRIZINという総合格闘技みたいなのを部分的に見ていたのですが、とある試合で、片方の選手が腕ひしぎ十字固めにいって、これが明らかに相手選手の肘が極まってましたが、レフェリーが止めず、続行になった後、結局、頭を蹴るような形になったりして決着しましたが、あの肘の極まり方は凄かった。本当なら頭を蹴りつける方が危険だし、直撃すれば格闘技の選手でも生死に関わると思うけど、僕にはあの絞め技の方が怖く見えた。だって、腕が骨折する、関節が曲がらない方に曲がりそうになるとか、なんか、逆にリアルじゃないですか?

 その次の日くらいに、こちらはたまたま、スターダムという女子プロレスの特番をチラッと見たのですが、そちらはそちらで怖かった。これは一般的にプロレスがどう解釈されて、どう解釈するのが正しいかは分かりませんが、プロレスは動きは激しいけど、とりあえずそういう激しい戦いを見せるのが目的で、格闘技のように相手をダメージで立てなくするようなものではない、と僕は思ってましたし、思ってます。プロレスは相手に押さえ込まれてもスリーカウントの寸前に相手を跳ね飛ばしたりするので。でもこの女子プロレスのリング上の様子を見たら、怖すぎて、ちょっと引いてしまった。

 蹴りつけたり、殴りつけたりするのが、うーん、露骨ではないし、演技的な動作ではあるんだけど、暴力! って印象が強すぎて、怖かったです。

 この辺りの錯覚が、例えばチャンバラ、殺陣みたいなのにも関係しそうで、一撃で相手を倒す、っていうのは、非現実的とはいえ、ある種の芸術だし、極端な暴力でありながら、そこに「痛めつける」みたいな印象はない。あるいは剣とかを使わないもの、柔道とかレスリングとかでも、相手を痛めつけることはないし、ボクシングもちょっと違う。キックボクシングでローキックで相手の足を痛めつけるのも、どこか違う。先に書いた総合格闘技も、やはり痛めつけているようではない。

 この感覚がもしかしたら、プロレスにおける、ダメージを与え合って、立ったり倒れたりを繰り返す演出から来るのかもしれないとは思う。他の格闘技では、片方が立たなくなった時には終わるし、倒れることが負けを認めるという形で許されるように見える。でもプロレスはグラグラしながらでも立ち上がる。

 暴力って現実世界では目にすることってほとんどないけど、実はすごく残酷なんだ、と思い知ったような気がする。というか、格闘技って暴力じゃないんだな、と認識が改まった。しかし、うーむ、まだ認識が定まらないかもな……。

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